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クリスティアーノ・ロナウド、W杯史上初の5大会連続弾を達成したヒーローの愛の逸話【ワールドカップ2022】

11月24日に行われたカタールW杯のポルトガル対ガーナ戦で、史上初の5大会連続ゴール記録という偉業を達成したばかりのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド。一方、その数日前には双方の合意によりマンチェスター・ユナイテッドとの契約を解除したことを公式発表し、「無所属」でW杯に挑んでいることでも話題を呼んでいる。さらに、ロナウドは「世界で最も慈善活動に貢献したアスリート」の称号を持つだけに、寄付だけじゃないファンとの心温まるエピソードが満載だ。
DOHA QATAR  NOVEMBER 19 Cristiano Ronaldo of Portugal poses during the official FIFA World Cup Qatar 2022 portrait...
DOHA, QATAR - NOVEMBER 19: Cristiano Ronaldo of Portugal poses during the official FIFA World Cup Qatar 2022 portrait session on November 19, 2022 in Doha, Qatar. (Photo by Buda Mendes - FIFA/FIFA via Getty Images)Photo: Buda Mendes - FIFA/Getty Images

リオネル・メッシにチェックメイトを

2022年11月24日、カタールW杯グループHのガーナ戦で史上初の5大会連続ゴール記録を達成した、ポルトガル代表FWのクリスティアーノ・ロナウド。Photo: Marvin Ibo Guengoer - GES Sportfoto/Getty Images

ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは、先日ルイ・ヴィトンLOUIS VUITTON)の最新キャンペーンに、時代をともに牽引してきたリオネル・メッシと登場し、写真家のアニー・リーボヴィッツが撮りおろしたレジェンド2人の姿が話題を呼んだ。ロナウドは37歳、メッシは35歳を迎え、ふたりにとって今回が最後のW杯になると言われている。現地時間11月21日の記者会見にサプライズ登場したロナウドは、メッシとの写真についてこう言及した。

「自分にとって5回目のワールドカップ。集中しているし、うまくいく自信がある。僕たちはチェス上だけではなく、人生においてもチェックメイトをしている。自分がメッシにチェックメイトをかける選手になりたい」

5度のバロンドールに、W杯で史上初の5大会連続弾

17歳でプロデビューを果たし、これまで5度のバロンドールを手にしてきたロナウド。今年10月にはクラブキャリア通算700ゴール達成し、スポルティングCP、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリード、ユヴェントスの4クラブで成し遂げた偉業に、多くの称賛が寄せられた。さらに、現在開催中のカタールW杯では、24日に行われたグループHのガーナ戦で史上初の5大会連続ゴール記録を達成したばかりだ。一方で、その数日前にはマンチェスター・ユナイテッドとの契約を解除したことを公式発表し、「無所属」でW杯に挑んでいることでも話題を呼んでいる。W杯終了後の行き先にも注目が集まっている。

ゴールデンシューを売り、ガザ地区の学校建設費に

彼が世界から愛されるのは、その超人的なサッカーテクニックからだけではない。2011年に受賞したゴールデンシューを翌年チャリティ・オークションにかけ、その収益140万ポンド(約2億3500万円)を、パレスチナの子どもたちを支援する財団に寄付した。2017年以来イスラエルによって軍事封鎖されているパレスチナ・ガザ地区で、学校を建てる資金へと活用されたと言われている。

ボーナスや賞金は児童基金へ

2013年2月、マドリードにて。UEFAチャンピオンズリーグのチーム・オブ・ザ・イヤーを受賞した際に、賞金10万ユーロを贈呈された。Photo: Jasper Juinen / Getty Images

さらに、2013年にUEFAチャンピオンズリーグのチーム・オブ・ザ・イヤーを受賞した際には、賞金10万ユーロ(約1400万円)を受け取らずに赤十字社へ直接寄贈。翌年、レアル・マドリードを10度目のチャンピオンズリーグ制覇に導くと、クラブから贈られる予定だった45万ポンド(7600万円)のボーナスもまた受け取らず、セーブ・ザ・チルドレン、ユニセフ、ワールド・ビジョンという世界の名だたる児童基金や国際NGOへ寄付した。また、9000人近くが亡くなった2015年のネパール大地震の際には、500万ポンド(8億4000万円)をセーブ・ザ・チルドレンに贈ったそうだ。同年、DoSomething.orgから「世界で最も慈善活動に貢献したアスリート」として表彰されている。

バロンドールもチャリティオークションに

2017年には、2013年に受賞したバロンドールをチャリティオークションにかけ、その収益60万ポンド(約1億円)を難病と戦う子どもたちをサポートする団体メイク・ア・ウィッシュ財団に寄付した。直近では、世界がパンデミック状態に陥る中、新型コロナ支援として地元ポルトガルの医療機関へ100万ユーロ(1億4000万円)を贈っている。

寄付だけなじゃない、病気と闘う子どもへの愛の逸話

2014年6月、ブラジルで開催された第20回目のFIFAワールドカップにて。ジグザグの剃り込みを入れたヘアスタイルは、脳腫瘍の摘出手術をした子どもの回復を祈るためのものだったと推測されている。Photo: Kevin C. Cox/Getty Images

また、ファンに対するロナウドの愛のエピソードを挙げだすとキリがない。

2014年、右の側頭部にジグザグの剃り込みを入れたヘアスタイルには、ある秘話が隠されていたと言われている。ロナウドは、脳外科手術が必要な生後10カ月の子どもエリック・オルティス・クルスの手術費や治療費を負担することを申し出た。そして、エリックが無事に手術を受けるのと同時に、ロナウドは新しいヘアスタイルを披露。子どもの回復を祈ったものではないかと多くのメディアが報じた。

自爆テロで両親を失った子どもを抱きしめて

自爆テロによって孤児となってしまった少年とのエピソードもまた、世界中の人々の胸の奥を揺り動かした。2015年11月にレバノンの首都・ベイルートで過激派組織ISによる自爆テロが発生し、43人が死亡、240人以上が負傷した。当時3歳だった少年ハイダル ・ムスタファもこのテロに巻き込まれ、彼をかばった両親は無念にも命を落とした。当時、ハイダルを取材していた一人のジャーナリストが、彼がロナウドの大ファンであることを知ると、「#CristianoMeetHaidar(ハイダルとクリスティアーノの対面)」というハッシュタグとともに彼の境遇をSNSに投稿した。するとその投稿は瞬く間に拡散し、後日レアル・マドリードはハイダルをクラブに招待。ロナウドは、目にたくさんの涙を浮かべたハイダルをそっと抱きしめた。その後も、ロナウドは彼が親戚とともにロンドンで暮らせるよう、サポートしたと言われている。

来日時に神対応した少年は、高校サッカーを全国制覇

6年前にロナウドが来日した際に、彼がみせた神対応を覚えている人も多いのではないだろうか。当時、抽選でロナウドにインタビューするチャンスを手にした小学校6年生の少年が、猛勉強したポルトガル語で「僕の夢はサッカー選手になることです。その夢を実現させるためには、どうすればいいですか?」とロナウドに質問した。すると、少年のポルトガル語がたどたどしく聞こえたのか、報道陣から笑いが起きた。それに対し、ロナウドは「なぜ笑うんですか? 彼のポルトガル語はとても上手です」と報道陣に向かって言い放ったのだった。その少年、岩岡遼太は現在20歳。昨年行われた第99回全国高校サッカー選手権大会のピッチに立ち、山梨学院高校の25番を背負い全国制覇を果たしたというのだから、彼の努力には心が熱くなる。現在は山梨学院大学に進学し、ロナウドからのエールを胸に、夢に向かって走り続けているという。

Text: Mina Oba