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キム・カーダシアンがドルチェ&ガッバーナのミューズに!ショー直前に行われた会見をリポート。【2023年春夏 ミラノコレ速報】

9月24日(現地時間)、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)は、キム・カーダシアンをキュレーターとして迎えたコレクションを発表した。ショー前には、プレスカンファレンスが開かれ、キムとデザイナーのドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの3人が、記者の質問に回答。その模様をお届けする。

<左から>ステファノ・ガッバーナ、キム・カーダシアン、ドメニコ・ドルチェ。

ドルチェ&ガッバーナDOLCE&GABBANA)は、キム・カーダシアンをキュレーターとして迎えたコレクションを発表した。ショー前には、プレスカンファレンスが開かれ、キムとデザイナーのドメニコ・ドルチェステファノ・ガッバーナの3人が、記者の質問に回答。その模様をお届けする。

朝8時45分にプレスカンファレンスが開かれるとの連絡があり、ドルチェ&ガッバーナのミラノ本社へ。会場となったライブラリーの壁には貴重な資料ずらり。本でできたデザイナー2人の自画像も飾られている。豪華な朝食も用意され、慌ただしいファッション・ウィークの朝を優雅に迎えることができた。

コートニー・カーダシアンとトラヴィス・バーカーの結婚式がコラボのきっかけに。

9時を過ぎた頃にステファノとドメニコが登場。ステファノは「この話は、コートニー・カーダシアン(キムの姉)と夫のトラヴィス・バーカーの結婚式から始まったんだ。キムや家族と話している中で、『一緒に何かやってみない?』とドメニコが声をかけて、今回のショーが実現した」と切り出した。今年5月にイタリア・ポルトフィーノで行われた式は、同社が所有するヴィラで執り行われ、新郎新婦をはじめ、カーダシアン・ジェンナー家の全員が「ドルチェ&ガッバーナ」を着用したことで話題になった。

5月にイタリア・ポルトフィーノで行われたコートニー・カーダシアンとトラヴィス・バーカーの結婚式は、「ドルチェ&ガッバーナ」が会場や衣装を提供。 Photo: Backgrid UK/Aflo

ドメニコは、「今まで過去を振り返ることはなかったが、ここ3シーズンはアーカイブを掘り起こして、今の視点に置き換えながらデザインをしている。今季はミューズであり、ずっとブランドのファンでいてくれたキムをキュレーターとして招いて、1987〜2007年の20年間のアーカイブと彼女の視点を融合していった」と明かす。また「カラーパレットはブラック、ベージュ、グレー、バーガンディー。キムは柄はいらないと言ったけれど、せめて一つだけでも入れたいと伝えたらレオパードはOKしてもらえた(笑)」とステファノ。

キム・カーダシアンが語る、ドルチェ&ガッバーナの魅力。

「Stromboli」コレクション(1989年)からインスパイアされたレオパードプリントのルック。

和やかなドメニコとステファノの前説が終わると、キムと長女のノース・ウェストが到着。ここからはキムの記者からの質問の回答とともにコレクションをご紹介する。

――これまで「ドルチェ&ガッバーナ」はあなたにどのような影響を与えてきましたか?

昔から母のクローゼットには「ドルチェ&ガッバーナ」のドレスがあり、義父とデートや、特別な日に着用していたのを覚えています。そのドレスを着た彼女は、とてもスマートに、強く、美しかったです。私が最初に働いたセレクトショップでは、「D&G」(2000年代まで展開していたセカンドライン)を扱っていました。どのアイテムも欲しくなり、給料のほとんどを使って「D&G」のドレスやジーンズ、ベルトなどを買いました。

給料日前には父のクレジットカードを使って購入して…、クリスマスに父がその支払いをチャラにしてくれた思い出も(笑)。ある年には、母の「ドルチェ&ガッバーナ」のチョーカー付きのブラックドレスを借りて、クリスマスカード用の写真撮影をしたことがありますね。それに、我が家で飼っていた犬の名前もドルチェとガッバーナでした。ガッバーナはブラックのラブラドールレトリバーで、亡くなった後も同じ犬種でガッバーナ2を迎えました。ドルチェは可愛い小さなチワワでした。

「La Dolce Vita」コレクション(1992年)のストレッチ素材のドレスを再提案。

――この協業のきっかけを教えてください。

母はブランドと親しかったのですが、私たちは過去のアーカイブを購入させてもらったり、貸してもらったりすることはできなかったんです。そこで、私は過去の「ドルチェ&ガッバーナ」のアイテムを、ビンテージストアなどで少しずつ買い集めていました。ちょうどドメニコに会ったときに、お気に入りのビンテージピースを着用していて、「これは1997年のコレクションだね。どう手に入れたの?」と気づいてくれて。だから、このコレクションは私の夢が実現したと言っても過言ではありません。

1997-98年秋冬コレクションをインスピレーション源にしたテーラードルック。

――「ドルチェ&ガッバーナ」のどのようなスタイルに惹かれましたか?

シンプルで美しいテーラリングや、煌びやかなクリスタル使いがお気に入りです。特に2000年代前半のコレクションはクリスタル使いが特徴的で、その要素を今回のコレクションに多く取り入れていただきました。

2001年春夏コレクションから着想を得た、全身にクリスタル刺繍を施したジャンプスーツ。

――ファッション業界の歴史に、どんな価値をもたらした人だと紹介されたいですか?

私はずっと、ファッションは多様性や包容的であることが重要だと考えてきました。あらゆる体型の人々が楽しめるファッションをデザインすることが、多くの人にとって必要であるということを広めていきたいです。

 1990年のコレクションの再解釈。ショーには体型や年齢、人種も異なるモデルを起用した。

――多様性の重要さについてお答えいただきましたが、このコレクションではどのように表現されていますか?

年齢も体型も問わずに、全ての女性たちにフィットする、とてもウェアラブルなコレクションになりました。美しい服を見て、躊躇してしまうこともあるかもしれませんが、女性たちが自信を持って着用できる服が揃っています。きっと私の祖母も、娘も、友人たちを含め、全ての世代の人々に欲しいと思ってもらえると思いますね。特に2000年代のアーカイブから着想を得たシリーズは、妹たちが絶対に気に入ってくれるはず。

2001年に発表されたコレクションのリバイバル。ローライズパンツと、ミニ丈のトップス、“LOVE”のチョーカーがポイントに。

プレスカンファレンスは笑い声が飛び交う和やかな雰囲気で行われた。コレクションはあらゆる時代をミックスしながらもモダンでタイムレスな印象にまとまっていた。多用されたストレッチ素材は、ブランドがスタートした1985年初期から使用し続けているスタイルなのだそう。体のラインを見せるキムらしいスタイルとぴったりで、両者のリスペクトが感じられた。

プレスカンファレンスで、ステファノ、キム、ノース、ドメニコのグループショットをキャッチ。

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Photo: Alessandro Lucioni / Gorunway.com  Text: Mami Osugi