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ビヨンセの最新アルバム『ルネッサンス』をもっと楽しむための、5つのポイント。

ビヨンセが7月29日、6年ぶりとなるアルバム『ルネッサンス(Renaissance)』をリリースした。全16曲を収録した最新作には、自身の解放を表現するとともに、黒人やクィアコミュニティのクリエイターたちを称賛するメッセージが詰まっている。世界中から錚々たる才能が集結した本アルバムを聴いてわかった5つのポイントをまとめた。

Photo: Courtesy of Beyoncé

1. 黒人のクィアコミュニティへの賛歌。

7月29日にリリースされたニューアルバム『ルネッサンス(Renaissance)』に先駆けて、ビヨンセは新曲「Break My Soul」を発表し、アルバムのトーンを示した。ロビンSの「Show Me Love」や、ビッグ・フリーディアの「Explode」をサンプリングした本曲は、ハウスミュージックを率いる黒人およびクィア・コミュニティへの賛歌なっている。

このメッセージは同アルバムの収録曲に散りばめられており、「Cosy」のリリックはプライドのレインボーフラッグを連想する内容で、「Heated」ではボール(クィア・コミュニティーのダンスパーティー・カルチャー)で鳴り響くチャントを歌う。

「Heated」はゲイだったビヨンセの亡き叔父、ジョニーに捧ぐ楽曲だ。「All the fallen angels whose contributions have gone unrecognized for far too long(あまりにも長い間、その貢献が認識されなかったすべての堕天使たち)」というリリックでビヨンセは彼に対する思い、そしてコミュニティ全体の影響力を綴っている。

また、黒人でトランスジェンダーを公表するハウスミュージックのアイコン的存在、ハニー・ディジョンが「Cozy」と「Alien Superstar」の2曲のプロデュースに関わっている。

2.全世界のクリエイターとコラボレーション。

本アルバムでビヨンセは、音楽のジャンルやオリジン、そして国境も越えたさまざまなクリエイターとのコラボレーションを果たした。ロンドン出身の敏腕プロデューサーのA・G・クックやアフロビートの気鋭アーティストのテムズ、ドレイク、ドナ・サマー、スクリレックス、グレース・ジョーンズ、そして彼女の夫であり、最高のクリエイティブパートナーであるジェイ・Z。錚々たる才能が集結し、その証拠に「Alien Superstar」だけでも28人ものクレジットがある。ビヨンセはそれぞれのサウンドを取り入れながら、見事にまとめ、すべてをひとつのハーモニーに完成させた。

3.巧みなトランジションが紡ぐ至高のストーリー。

さまざまな音楽ジャンルのトップアーティストとコラボした本アルバムに収められた楽曲は、各曲でムードが異なる。ファンたちは、それぞれの曲の違いとテンポの速い切り替え(トランジション)に熱狂している。多くのアルバムは曲の終わりと次の曲の始まりをぼかし、全体のまとまりを演出する。しかし、『ルネッサンス』では、それぞれの楽曲の境界線が明確だが、シームレスな繋がりを感じさせる。才能のあるDJのプレイを聴いているかのような躍動感と幸福感を、アルバムのセットリストをそのまま聴くだけで味わえる。アルバム全体ではもちろんのこと、各曲も自由に音楽のジャンルをミックスし、新鮮なメロディを奏でている。例えば、「Church Girl」ではゴスペル、ソウル、そしてラップなど、正反対なリズムが巧みに融合され、アップビートな盛り上がりを見せる。

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4. 圧倒的なクイーンBの存在。

ビッグスターであるビヨンセはあらゆるインスピレーションをミックスし、ダイナミックな感性でフレッシュな音楽を生み出し続けている。ドナ・サマーの「アイ・フィール・ラヴ」(1977)は、メロディだけですぐに認識されるアイコニックな曲だ。それをサンプリングするのは神聖なものへの冒涜だとする見方もあるかもしれないが、ビヨンセは自身の世界観に落とし込み、また新たな命を与えた。彼女は着想源を隠すことなく堂々と語り、クリエイティブな人々を称賛する。そしてその挑戦し続ける姿勢こそが、ビヨンセを永遠のクイーンたらしめているのだ。

5.内面を解き放つ、フリーダムスピリット。

アルバム全体を通して、ビヨンセは性を解放すること、自身の体を楽しむことを発信し、ボディ・シェイミング(見た目に対する批判)を一蹴する。本作は、ビヨンセの歴代アルバムの中でも最も自由で、自己を解放するアティテュードが感じられる。そうして自身の表現の主導権を握るのは常に自分自身であることを、ビヨンセは改めて証明した。

Text:  Amel Mukhtar Adaptation: Sakurako Suzuki
From VOGUE.CO.UK