経産相に西村前再生相、防衛相には浜田靖一氏-岸田改造内閣
広川高史、萩原ゆき-
鈴木財務相・林外相・松野官房長官は留任、経済安保相に高市氏
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自民政調会長に萩生田氏、麻生副総裁・茂木幹事長は続投-骨格維持
岸田文雄首相は10日、内閣改造を行った。経済産業相に西村康稔前経済再生担当相、防衛相には浜田靖一衆院議員が就任。鈴木俊一財務相、林芳正外相、松野博一官房長官らは留任した。
昨年の総裁選で争った自民党の高市早苗氏を経済安全保障担当相、河野太郎氏をデジタル相で入閣させた。政権発足時は3人の女性閣僚を任命したが、今回は2人にとどまった。少子化担当相は野田聖子氏から小倉将信氏に代わり、男性が務めることになるが、首相は「若いフレッシュな目線」で対応できるようにしたと説明した。
自民党役員人事でも麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長が続投し、政権の骨格は維持した。最大派閥である安倍派の萩生田光一経産相を政調会長に起用した。総務会長には選対委員長だった遠藤利明氏が就任し、後任には森山派会長の森山裕元農相を充てた。
明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミストは、「派閥のバランスに配慮した安定的な布陣」と指摘。岸田内閣が安倍派の協力や後押しを必要としているとのメッセージを感じたと述べた。日本経済の中長期的な構築というよりは、目先の物価高や安全保障体制に取り組む上でのベテランが重要ポストに配置されたとしている。
一方で岡三証券の会田卓司チーフエコノミストは、「政策決定内閣から、政策推進内閣に変えてきた」と述べた。岸田首相が提示したのは、グリーンやデジタル投資など積極財政で成長を促す「新しい資本主義型アベノミクス」であり、政調会長に萩生田氏、経産相に西村氏、経済安保相に高市氏を充てたことで、故安倍晋三元首相を支えてきた布陣が政策を実行に移す形を整えたとしている。
改造内閣で岸田首相は来年4月に任期満了を迎える日本銀行の黒田東彦総裁の後任人事に着手するほか、足元の物価高や新型コロナウイルス対応、「新しい資本主義」の具体化に取り組む。外交安全保障面ではウクライナや台湾情勢、「国家安全保障戦略」の改定と防衛力強化も課題となる。
安保政策を担う浜田氏は麻生政権で防衛相、第2次安倍政権では安全保障法制を審議した特別委員会の委員長を務めた。選択的夫婦別姓の推進派としても知られ、昨年の総裁選では野田聖子氏を支援した。岸田首相とは1993年に衆院初当選の同期で、林外相らと音楽ユニット「ギインズ」を組む。
安倍氏の側近だった萩生田政調会長は就任会見で、外交安保政策の強化が最大の課題として、対国内総生産(GDP)比で2%以上を視野に入れた5年以内の防衛力抜本強化を「速やかに実行に移していかなくてはならない」と述べた。物価も抑制するエネルギーの供給力強化は大きな課題として、原子力発電の最大限の活用が必要だとも語った。
茂木幹事長は、来年度予算の概算要求や9月の沖縄県知事選、秋の臨時国会に向け「新体制で難局突破、政策断行を進める岸田政権をしっかり支えていきたい」と語った。
内閣支持率はNHKが5日から3日間行った調査で、3週間前の前回調査より13ポイント下がって46%となり、昨年10月の内閣発足後最も低くなった。「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と政治との関係について、政党や国会議員が「十分説明している」は4%、「説明が足りない」が82%。安倍元首相の国葬実施に関しては「評価する」が36%、「評価しない」が50%だった。
改造内閣の顔触れ | |||
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総 務 | 寺田稔 | 防 衛 | 浜田靖一 |
法 務 | 葉梨康弘 | 官房長官 | 松野博一 (*) |
外 務 | 林芳正 (*) | デジタル | 河野太郎 |
財 務 | 鈴木俊一 (*) | 復 興 | 秋葉賢也 |
文部科学 | 永岡桂子 | 国家公安 | 谷公一 |
厚生労働 | 加藤勝信 | 地方創生 | 岡田直樹 |
農林水産 | 野村哲郎 | 少子化 | 小倉将信 |
経済産業 | 西村康稔 | 経済再生 | 山際大志郎 (*) |
国土交通 | 斉藤鉄夫 (*) | 経済安保 | 高市早苗 |
環 境 | 西村明宏 |
備考:(*)は留任
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