1億円超のアストンマーティンがすごい! ヴァルハラが日本上陸

アストンマーティンが開発を進めているハイパーカー「ヴァルハラ」のほぼ最終完成形モデルが上陸した。実車を見た小川フミオがリポートする。
1億円超のアストンマーティンがすごい! ヴァルハラ、日本上陸

ホンモノ志向

路上を走るF1マシンともいうべき、アストンマーティン「ヴァルハラ」。限定999台しか生産されないスーパーで、スーパーなスーパーマシンは、現在、完成に向けて急ピッチで開発が進められている。ついに内装まで作りこまれたモデルが、2022年11月22日に日本に持ちこまれた。

ヴァルハラにはEV専用モードも設定。電気のみで走行する場合の最高速度は130km/hで、航続距離は15km。

Hiromitsu Yasui

「シートに座ると、ペダル類が、腰より高い位置にきますよ。まさにフォーミュラマシンみたいでしょう」

ヴァルハラがジャーナリスト向けに公開された東京・青山の「アストンマーティン青山ハウス」で、英国本社の広報担当者が、そう教えてくれた。

上に跳ね上がる「ディヒドラルドア」を採用。

Hiromitsu Yasui

今回、ヴァルハラが披露された主目的は、顧客にその圧倒的な存在感をアピールするためだろう。「ディヒドラル(航空機の翼の上反角などの意)ドア」と、アストンマーティンでは呼ぶ、前ヒンジで上にはねあがるドアを開けて、内装をのぞき込むと、こりゃあ、かなり本気のマシンだ、と、感心させられる。

さきに紹介したドライビングポジションにくわえ、シャシーに固定されたように見えるふたつのシート、楕円形の小さなステアリングホイールが印象的だ。

物理的なスイッチがほとんどないシンプルなデザインのインパネまわり。

Hiromitsu Yasui

シートは固定式のレーシングタイプ。

Hiromitsu Yasui

スエード調のシート地をはじめ、使っている素材はぜいたく、というか、ホンモノ志向。「真にドライビングにフォーカスにしたスーパーカー」とするアストンマーティンの言葉どおりの仕上がりだと感心してしまう。

ちなみに今回の車両は、米西海岸ペブルビーチで、アストンマーティンファンの顧客に公開されたあと、日本に持ちこまれた。

パドルシフト付きのステアリング ホイールは、一部にカーボンファイバーを使う。

Hiromitsu Yasui

新開発の8速DCTトランスミッションを採用。

Hiromitsu Yasui

グッと前進したキャビン、専用開発されたフロント20インチ、リア21インチの高性能ミシュランタイヤ、4.0リッターV型8気筒ガソリンターボ・エンジンと組み合わされたモーターによるプラグイン・ハイブリッド・システムを、後車軸前に搭載したミドシップレイアウト、キャビン背後にあって、大きく空に向かって突き出した排気管……。

それらを眺めていると、「米国でも大反響でした」という英国人の広報担当者の言葉は嘘でないなと納得する。

ヴァルハラは、アストンマーティン初の量産ミッドエンジン・スーパーカー。左ハンドルと右ハンドルの両方を設定する。

最高速度は349km/h!

外からは見えないが、シャシーはカーボンモノコック、ボディは下面も徹底的に空気の流れが整流され強いダウンフォースを生み出す設計という。そしてサスペンションはフォーミュラマシンのようなプッシュロッドタイプ、と凝りに凝っている。

「4.0リッターV8エンジンのパワーは、150kW/400Vのバッテリー・ハイブリッドシステムによって増強され、さらに204psを上乗せすることで、1000ps以上ものシステム出力が実現している」と、アストンマーティンは述べる。

特注のミシュラン・タイヤはフロントが20インチ、リアが21インチ。

Hiromitsu Yasui

2本出しのマフラーは上部に向いている。

Hiromitsu Yasui

最大トルクも1000Nmを超す。いっぽう電気モーターによって発進時からスムーズな加速を実現。モーターだけで130km/hに達するそうだ。

車重は1550kg以下になるそうで、最高速度は349km/h! 静止状態から100km/hに達するまでに要する時間は、わずか2.5秒とされている。

段差などを乗り越える時に便利な「フロントアクスル・リフトシステム」も搭載。

フロントには先進運転支援システム用のレーダーが備わる。ヴァルハラには自動緊急ブレーキ、前方衝突警告、アクティブ・クルーズコントロール、ブラインドスポット・モニタリング、リアビュー・パーキングカメラなどを搭載。

Hiromitsu Yasui

「いま世界的に、よりリアルというか、本格的なレーシングテクノロジーを採用したスーパースポーツカーが人気を集めています。私たちは、アストンマーティン・コグニサント・フォーミュラワンチームとして、F1にフル参戦していて、その技術もフルに活かしているという強みを持っています」

さきの広報担当者の言葉だ。

Hiromitsu Yasui

価格は1億200万円とされている。

「圧倒的な性能を手に入れたいという満足感と、限られた台数しか生産されないという稀少性は、これからアストンマーティンが目指す方向性を指し示しています」と、されるヴァルハラ。

すごいクルマが上陸したものだ。

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文・小川フミオ