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日銀総裁、ETF購入「必要に応じ大胆に」-点検後も変わらず

更新日時
  • 効果と副作用を注視し、必要に応じて金融政策を調整する
  • 米インフレ上昇は一時的、金融政策の変更迫るものではない

日本銀行の黒田東彦総裁は13日、上場投資信託(ETF)購入についての考えは3月の政策点検後も変わらず、「必要に応じて大胆」に実施し「リスクプレミアムの拡大を抑止する」と話した。参院財政金融委員会で述べた。

  黒田総裁は、ETFを含めた現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和による大規模緩和について「緩和を減らすことはまったく考えていない」と説明した。

ETF購入に関する発言
  • 日々の購入は市場動向踏まえて実務的に決定
  • 市場が大きく変動した時の大規模買い入れが効果的
  • 特定の株価水準を目指していない
  • 具体的な運用は市場に不測の影響あり非公表
  • 機械的なルールで購入していない
  • 保有ETFの時価が簿価下回る株価は2万1000円程度-内田理事
Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda Speaks at Business Lobby Keindaren

黒田東彦日銀総裁

  大規模緩和の推進に当たっては効果と副作用を注視し、「必要に応じて金融政策を調整していく必要がある」と主張。追加緩和の際には、「貸出促進付利制度」の導入で機動性を高めた長短金利の引き下げが「需要なオプション」と述べた。

  米国を中心とした海外のインフレ懸念の強まりに関しては、コロナ禍で抑制されていた需要がワクチン接種の進展などを受けて顕在化していることが背景にあり「一時的」とし、米金融政策の変更を迫るものではないとの見解を示した。日本は状況が大きく異なり、消費者物価が急騰するような「懸念は感じていない」と語った。

  日銀は3月の金融政策決定会合で、より効果的で持続的な金融緩和を行うための点検を行い、ETF買い入れの柔軟化や長期金利の変動許容幅の明確化などの政策修正を決めた。政策維持を決定した4月会合後に公表した新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、黒田総裁の任期後の2023年度も物価は2%目標に届かない見通しが示された。

その他の主な発言
  • 金融政策
    • 超長期金利の過度な低下が経済活動に影響及ぼすこと念頭
    • 資金繰り支援と市場の安定維持に努めていく
    • 金融仲介機能は円滑に発揮されている
  • 物価
    • 物価2%目標の未達成は残念、目標を変更する必要はない
    • 物価目標の実現には、金融緩和の副作用にも配慮が必要
    • 日本の物価の相対的な低さは適合的期待形成の根強さが要因
    • 賃金上昇がデフレ脱却・経済の安定成長に重要
  • 景気
    • 経済・物価見通し、当面は下振れリスクが大きい
    • 景気は厳しい状態にあるが基調としては持ち直し
    • 対面型サービス中心に経済下押し
  • その他
    • 貸出促進付利制度は利下げしても金融機関収益への影響を緩和
    • コロナ対応プログラムは必要ならさらなる延長も検討-内田理事
    • 特別付利制度、地域金融機関の応募はかなりの数-山田理事
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(米国のインフレ動向に対する総裁発言を追加して更新しました)
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