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大手米銀の資本要件引き上げへ、バーFRB副議長が改革案説明

更新日時
Buildings in the Manhattan skyline in New York, U.S., on Thursday June 17, 2021. 

Buildings in the Manhattan skyline in New York, U.S., on Thursday June 17, 2021. 

Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

米国の大手銀行に対する規制は、金融危機後で最大級の改革を迎える。危機時に備えて確保する資本の額を巡り、ウォール街との衝突は必至だ。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)は10日、信用や業務、トレーディングのリスクについて、銀行が自主的に試算するのではなく、標準化されたアプローチを採用し始めるのが望ましいと述べた。銀行に起こり得る危険をより正確に把握できるよう、毎年のストレステスト(健全性審査)を見直すべきだとの見方も示した。

  バー副議長が説明した計画は、数カ月に及んだ銀行の資本要件見直しを踏まえて策定された。今年に入り複数の銀行が破綻し、銀行の資本要件は政治的に難しい問題となっている。バー氏はこの日、現在の銀行システムは全般に健全ではあるが、複数の変更が必要であることが精査の結果で分かったと指摘。変更により、銀行は将来に発生し得る損失に備えた緩衝材として、より多くの資本を確保しておくことを義務付けられるという。

動画:バー連邦準備制度理事会(FRB)副議長
出所:ブルームバーグ

  バー副議長はワシントンのシンクタンク、バイパーティザン・ポリシー・センターで講演。事前テキストによると「こうした変更は全般的な資本要件引き上げにつながるが、ここで強調しておきたいのは規模が最大級で極めて複雑な銀行がその主な対象になるということだ」と話した。「寄せられるコメントを慎重に検討し、変更すべき点があれば適切に段階的に導入していく」と述べ、大半の銀行は既に新たな要件を満たせる十分な資本を有していると続けた。

Senate Banking Committee Hearing On Recent Bank Failures
連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(写真左)
Photographer: Al Drago/Bloomberg

  バー氏によれば、この案が発効するには、まず案が提起され、連邦準備制度理事会(FRB)と連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)が承認する必要がある。計画の第1案は今月にも公表される可能性があるが、実際に発効するのは数カ月、数年先になる可能性が高く、銀行業界には検討する機会が与えられるという。

  「それぞれの銀行が独自に自行のリスクを試算する慣行をやめ、透明性が高く首尾一貫したアプローチを採用する」とバー副議長は提案について説明した。

  この計画で「改善された資本ルール」が適用されるのは、資産が1000億ドル(約14兆2300億円)を超える銀行および銀行持ち株会社だという。現行では、そうした規制が適用されるのは国際的に事業を展開している、もしくは資産が7000億ドル以上の企業が対象。

  バー氏は資本要件の変更によって、銀行の業務慣行や金融サービスの提供手法が変わる可能性があるとの懸念があることを認識。しかし大半の銀行はすでに、新たな要件を満たせる十分な資本を有していると指摘した。そうではない銀行も「配当を維持しながら」、利益の内部留保によって十分な資本を確保するのに2年もかからないはずだと、同氏は発言。この数年と同ペースでの収益が可能だという見方を示した。

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原題:Banks Face Higher Capital Requirements in Plan From Fed’s Barr(抜粋)

 

(バー副議長のコメントなどを追加します)
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