ウッド氏にとって割高過ぎるエヌビディア株、バブルの領域との見方も
Kurt Schussler-
エヌビディア株は「先取りして株価が付いている」-ウッド氏
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ウッド氏は1月、ARKKで保有していたエヌビディア株全て手放す
上場投資信託(ETF)「アーク・イノベーションETF(ARKK)」を運用するキャシー・ウッド氏が、イノベーション経済の花形銘柄を割高過ぎると評することはよくあることではない。
しかし、米半導体メーカー、エヌビディア株の大幅上昇に対し、ウッド氏は珍しく懐疑的な反応を示した。同氏は29日、エヌビディアについて「先取りして株価が付いている」とツイート。ウッド氏は1月前半、ARKKで保有していたエヌビディア株を全て手放していた。これは同銘柄が2倍余り上昇し、時価総額1兆ドル(約140兆円)近くに達する前のことだ。
ウッド氏をちゅうちょさせたのは、人工知能(AI)を巡る投資家の熱狂の中で、エヌビディアの今年度の予想売上高に基づく株価売上高倍率(PSR)25倍という数字だ。これに対し、フィラデルフィア半導体株指数の構成銘柄のPSRは約6倍、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を支援する米マイクロソフトは約12倍となっている。
エヌビディア株は確かに新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降、他の銘柄に対してプレミアムで推移してきたが、最近の大々的な報道の中で、このプレミアムは一段と顕著になっているように見える。また、家電や従来型サーバーの需要低迷の中、AI向け以外の半導体の見通しは依然厳しいと指摘するアナリストもいる。
花屋武氏を含むSMBC日興証券のアナリストはリポートで、AIへの期待と市場全体の低迷は対照的だとし、これは半導体業界での継続的な値下げや在庫調整に示されていると分析した。
独立系アナリストのウィリアム・キーティング氏は週末、スマートカルマのリポートで「将来の潜在的な成長にかかわらず、われわれは基本的にエヌビディア株はバブルの領域にあると考えている」と指摘した。
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原題:Too Rich for Cathie Wood, Nvidia Shares Stretch Valuation Limits(抜粋)