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りそな社長、企業の承継支援強化-M&Aなど収益3割増の300億円ヘ

  • 商銀・信託兼営の強み生かす、少子高齢化に伴う後継者不足に対応
  • 資本の有効活用が課題、異業種や地域金融と組み「新しい領域」へ
りそなホールディングス・南社長(22日・都内)
りそなホールディングス・南社長(22日・都内) Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

りそなホールディングスは、中小企業が事業や資産を円滑に承継するための支援ビジネスを強化する。少子高齢化で後継者不足が問題となる中、商業・信託銀行兼営の強みを生かし、M&A(合併・買収)を含む承継関連収益として昨年度実績の3割増となる年間300億円の達成を目指す。

  南昌宏社長はブルームバーグとのインタビューで、承継関連ビジネスについて「その後もっと長いお取引をさせていただく非常に重要なポイント」と説明。法人向け業務の強化策の一環として融資をはじめ、信託や不動産、資産運用などの機能を最大限活用し、関連取引の拡大につなげたい考えを示した。

  りそなの顧客は貸出金ベースで4割弱を中小企業が占める。少子高齢化が進み、事業後継者などの不足が社会的な課題になる中、M&Aによるビジネスマッチングや有効な不動産の譲渡を通じて中小企業の活動を支援し、収益にも結び付ける狙いだ。

  承継関連収益300億円達成の時期について南社長は、専門人材の育成や経営資源の集中により、さらなる拡大を見越した「通過点として早期に達成したい」と述べた。前期(2022年3月期)の同収益は234億円だった。

  帝国データバンクの22年の調査によると、全国・全業種27万社の後継者不在率は57%。後継候補が判明した約10万社のうち、その属性で最も多いのは「非同族」の36%で、ファミリー企業でも「脱ファミリー化」の動きが強まっている。

新たな中期経営計画

  一方、現在策定中の次期中期経営計画(24年3月期から3カ年)について、南社長は「中長期的な収益構造改革を軌道に乗せ、さらに加速させたい」と述べた。承継関連など信託兼営銀行としての顧客基盤の活用、専門人材の拡充、デジタル技術を活用した営業力の強化などが柱になる見通し。

  個人分野では「貯蓄から資産形成への流れに一石を投じたい」と語った。長期、積み立て、国際分散をキーワードに「これまでなかったリアルとデジタル、データが融合するような世界観を持った仕組み、仕掛けを来年度に出したい」と言う。次期中計は来年5月に発表される予定。

  今期(23年3月期)を最終年度とする中計で掲げた連結純利益目標1600億円について南社長は、収益構造改革が進んでいることなどから、達成を「諦めていない」と述べた。11月に開示した今期予想では1500億円としている。

  公的資金の完済から7年たち、自己資本比率(バーゼル3)は期間収益の積み上げで9.9%程度と目標の10%に迫った。これまでは銀行業務に集中し、収益の安定性を重視してきたが、新しい収益機会の獲得に向け「資本の有効活用」が課題という。異業種や地域金融機関などと組み、「新しい領域に踏み出したい」と述べた。

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