FASHION / TREND & STORY

急に垢抜けたジェニファー・ローレンス、その理由は? 着こなしの“劇的ビフォーアフター”

ジェニファー・ローレンスは、アカデミー賞史上最年少で4部門にノミネートされ、世界中に名を馳せてからも茶目っ気あふれるキャラクターから、"お隣のクールガール"と呼ばれファンから親しまれてきた。そんな彼女のファッションがここ最近、グッと洗練されモード界を賑わせている。彼女に一体何が起きたのか? クワイエット ラグジュアリーを体現するジェニファー流の着こなしの変化を大解剖!

2023年のカンヌ国際映画祭にて。 Photo: Pascal Le Segretain/Getty Images

アメリカ南部ケンタッキー州で生まれ育ったジェニファー・ローレンスは、17歳の時に「メリル・ストリープの再来」と評され注目を浴びた後、『ウィンターズ・ボーン』(2010)でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞に同時ノミネート、「ハンガー・ゲーム」シリーズ、『世界にひとつのプレイブック』(2012)、『アメリカン・ハッスル』(2013)といった話題作に出演し、ハリウッドのスターダムを一気に駆け上がった。

アンディー・コーエンが主催するトークショー「Watch What Happens Live with Andy Cohen(原題)」の収録にて。 Photo: Charles Sykes/Bravo via Getty Image

戦争未亡人のような複雑なキャラクターからスーパーヒロインまで、シームレスに役柄を行き来することができる彼女の才能は、レッドカーペットでも遺憾なく発揮され、オートクチュールドレスの幻想的な美しさにリアルな雰囲気をもたらしていた。2012年にはディオール(DIOR)アンバサダーに就任。リップスティックとハンドバッグのキャンペーンの顔を務めたことも。そんな彼女はこれまでに、レイチェル・ゾー、ジル・リンカーンとジョーダン・ジョンソン、ケイト・ヤングといったハリウッドセレブ御用達の敏腕スタイリストたちを起用してきた。

人気スタイリスト、ジェイミー・ミズラヒの手腕

ジェニファー・ローレンスのイメチェンを成功させたセレブ御用達スタイリスト、ジェイミー・ミズラヒ。 Photo: Stefanie Keenan/Getty Images for Vacheron Constantin

レッドカーペット上でのジェニファーは、王道のグラマラススタイルでいかにも女優然とした印象が強いが、現在絶賛プロモーションツアー中の最新作コメディ映画『No Hard Feelings(原題)』(2023)で見せる装いはかつてとは趣が大きく異なる。それもそのはず、ジューシー クチュール(JUICY COUTURE)のリバイバルの仕掛け人でもあり、これまでアデルケイティ・ペリーニコール・リッチーらのスタイリングを手がけてきた敏腕のジェイミー・ミズラヒが新スタイリストとして就任したのだ。ジェイミーは過去のインタビューで自身のスタイリングをこう語っている。

「私はトレンドを追いかけません。私のスタイルは、クライアントが心地よく感じられるもの、着ているものに力強さや自信を感じられるものを着せることだから」

ジェイミーの言葉通り、ジェニファーは今季のビッグトレンドであるクワイエット ラグジュアリーを体現するザ・ロウ(THE ROW)をはじめ、アルマーニ プリヴェ(ARMANI PRIVÉ)ステラ マッカートニー(STELLA McCARTEY)といった上質でミニマルな美意識を携えたワードローブを積極的に着用している。レッドカーペットやコマーシャル撮影、あるいは単にニューヨークの街を散歩するだけのプライベートな瞬間でも、シックでオーセンティックな美意識を持った装いが、SNS上のファッションコミュニティの共感を呼ぶ秘訣だ。ここからは、劇的なスタイルアップに成功したジェニファーの着こなしビフォーアフターを見ていこう。

<ロングコート>
Before/中途半端なセクシー感が残念

Photo: James Devaney/WireImage

2015年12月、深夜トーク番組「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」の収録へ。ボルドーのコートで大人っぽさを狙っているが、中に着用しているネイビーのタキシードジャケットとのミスマッチ感が否めない。レース付きのブラトップを覗かせてはいるものの、中途半端なセクシーに終わってしまったようだ。

After/ザ ロウ(THE ROW)のトレンチコートは投資価値大

Photo: Gotham/GC Images

クワイエット ラグジュアリーを体現するために不可欠なブランド、ザ ロウ(THE ROW)はカーキのトレンチコートで取り入れていた。無造作にネイビーのニットを羽織るのも上級者のさりげないテクニック。ワイドパンツとバレリーナシューズとのバランスも絶妙だ。

Photo: Backgrid/AFLO

このカーキのトレンチコートは着回し度抜群。この日は友人のウエディングパーティへ。ボタンはすべて閉めて、ウエストをキュッと絞ったら、小粋なドレス風が完成。ヌーディなミュールで抜け感をアピールすることも忘れない。

<パンツ>
Before/スキニーデニムのブーツインはOUT!

Photo: Fred Hayes/Getty Images

2010年、とある映画祭に参加したジェニファー。19歳でまだ初々しいと言え、タンクトップ&カーディガンにスキニーデニムを合わせただけで洗練とは程遠い様子。ボリューミーなブーツで全身のバランスを取るも、ファーがトゥーマッチ。

After/こなれ感満載のワンマイルコーデ

Photo: Gotham/GC Images

6月30日(現地時間)、NYでキャッチされたカジュアルなスウェットパンツスタイル。一見、何気ないようなワンマイルコーデだが、ラフなボトムをアグUGG)のブーツでスッキリと履きこなしているのはお見事!

Photo: Backgrid/AFLO

バギーパンツにはクロップドTシャツを合わせて、上半身をコンパクトに仕上げるのが鉄則。キャップをさりげなく被ったレイドバックなコーディネートがよく似合う。

<ミニドレス>
Before/若さゆえのセクシーすぎる胸もと

Photo: Kevin Mazur/WireImage

ミニドレスは、肌見せのバランスが最も大切。2012年、映画『ハンガー・ゲーム』の試写会後のパーティーで披露したグリーンのドレス姿は、やや胸もとを強調しすぎでは? プリーツスカートの雰囲気に合わせてもっと淑女感を意識してもよかった。

After/肌見せは引き算が肝

Photo: Jose Perez/Bauer-Griffin/GC Image

ウォッチブランド、ロンジン(LONGINES)のCM撮影ではステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)のロングスリーブドレスを着用。ここ最近のジェニファーは、自分に似合う肌見せのバランスをしっかりと心得たようだ。構築的なドレスでトップに重厚感を出すことで、よりヘルシーが美脚が演出できている。

Photo: Paolo Blocco/FilmMagic

6月14日(現地時間)、マドリードのフォーシーズンズホテルで行われたで映画『No Hard Feelings(原題)』(2023)のフォトコールに参加した。ハリ感のあるアライア(ALAÏA)のシャツドレスは、ミニマルさとスウィートな雰囲気の両方を兼ね揃えている。ここでも露出は最小限に抑えていたのが印象的。

真似したい!ワンランク上のアクセ術

アイキャッチーなリングネックレス

Photo: Neil Mockford/GC Images

どんなスタイルにも相性抜群なステートメントアクセサリーをゲットしておくと、上品な着こなしに遊び心が加わる。ジェニファーは、大きめのリング状モチーフをラフに革紐で結んだタイムレスなデザインをチョイス。長さを調節すれば、チョーカー風にも楽しめて一石二鳥。

Photo: Backgrid/AFLO

デイリーに着回せるシンプルな万能ミニバッグ

Photo: Splash/AFLO

ザ・ロウがすっかりお気に入りのジェニファーは、同ブランドの人気バッグ「SLOUCHY BANANA」をヘビロテ中。名前の通り、バナナのようなカーヴィーなシェイプのクロスボディ仕様で、カジュアルに使えると同時に上品さが漂うのが人気の理由だ。控えめな存在感のバッグは、オール白のパンツルックやデニムスタイルに好相性。ジェニファーの着こなしになくてはならない相棒のようだ。

Photo: Gotham/GC Images

Text: Makiko Yoshida

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