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Photographer: Stefani Reynolds/Bloomberg
Cojp

不意を突かれた米富裕層、相続コスト上昇も-民主党の遺産課税強化案

  • 税金逃れの戦略に厳しく対処し、富裕層の財産管理が一変する恐れ
  • 夫婦の場合2340万ドルの基礎控除が半分に縮小され、課税対象が拡大

米下院歳入委員会の民主党メンバーが公表した増税案は、格差への対応で穏健派と進歩派が対立する中で、企業と裕福な投資家への課税を強化するバイデン政権の当初提案の多くを後退させる内容となった。だがその一方で、ホワイトハウスが除外した一つの要素が盛り込まれた。

  下院歳入委メンバーの増税案には、負担が軽減されてきた遺産税(相続税)と贈与税の見直しが含まれる。下院民主党の意向通りに事が運べば、米国の富裕層は恐らくコストが従来より高くつく新たな対応に追われるだろう。

  881ページに及ぶ増税案は、適切なアドバイザーを雇いさえすれば簡単に税金逃れできる幾つもの戦略に厳しく対処するものだ。上位0.1%の富裕層の財産管理を一変させ、遺産税の非課税対象外となる数百万ドル、場合によっては数十億ドル相当の資産の動きに大きく影響する可能性がある。

  相続プランナーが顧客に通常助言するような取引の大多数を排除するものであり、「グランタートラスト」と呼ばれる信託を標的にしている点も注目される。UBSグループのシニア資産ストラテジスト、ブラッド・ディロン氏は「大転換だ」と指摘する。

  現在の遺産税の基礎控除(非課税枠、インフレ調整後)は夫婦の場合2340万ドル(約25億7000万円)だが、民主党案では半分に縮小され、課税対象が拡大する。富裕層の米国人には40%の最高税率が適用される。

 

 

The Shrinking Estate Tax

Amount of wealth per person exempt from the estate tax, by year

Source: Internal Revenue Service; special rules applied to taxpayers who died in 2010

 

 

 

原題:
Rich Heirs Face Expensive Surprise Tucked in Democrats’ Tax Plan (2)(抜粋)

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