コンテンツにスキップする

FOMC、インフレ目標達成には追加利上げが必要-当局者3人が指摘

  • バーFRB副議長、「あと少しだが、まだやるべき仕事がある」
  • メスタ-、デーリー両総裁は年内2回の利上げが必要との見解

米連邦公開市場委員会(FOMC)は今年、インフレ率を目標水準に押し下げるために政策金利をさらに引き上げる必要があると、10日に3人の当局者がそれぞれ見解を示した。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)はワシントンのシンクタンク、超党派政策センター(BPC)での会合で、「インフレはまだかなり高過ぎる」と発言。「この1年余りにわたって、金融政策で多くの進展を遂げてきた。それは必要な仕事だ」と述べた上で、「あと少しだが、まだやるべき仕事がある」と付け加えた。

US Regulators Testify Before House Financial Services Committee
FRBのバー副議長
Photographer: Nathan Howard/Bloomberg

  FOMCは6月の会合で政策金利を5-5.25%に据え置いた。FOMC予測では、大半の参加者が年内に合計0.5ポイントの利上げを予想していることが明らかになった。

  サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はワシントンのブルッキングス研究所で、「インフレ率を持続可能な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必要になる公算が大きい」と述べた。

動画:サンフランシスコ連銀のデーリー総裁
出所:ブルームバーグ

  カリフォルニア大学サンディエゴ校でのイベントで講演したクリーブランド連銀のメスター総裁も、年内2回の利上げを見込むFOMCの予想に自身の見解が「一致している」と述べ、「インフレが持続的かつ時宜を得た形で2%へと戻ることを確実にするには、政策金利が現在の水準からさらに幾分か上昇する必要があるというのが私の見解だ。その後は、経済の展開状況についてさらなる情報を収集する中で、政策金利をしばらく据え置く必要がある」と話した。

  次回FOMC会合は今月25-26日。政策金利の引き上げを決定すると市場では広く見込まれている。

  デーリー総裁は、インフレ抑制のためには過大な行動より過少な対応の方がリスクは依然大きいと指摘。両者の差は狭まりつつあるとの認識も示した。景気減速の兆候が見え始めており、需給バランスは改善しつつあるとも述べた。 

  7日に発表された6月雇用統計では、雇用者数の伸びが鈍化したものの、賃金は堅調な伸びが続いた。メスタ-総裁は現在の賃金増加ペースについて、「想定される生産性の向上トレンドを考慮すると、依然2%インフレと整合する水準を大きく上回る」と指摘した。

米雇用者数、6月は伸び鈍化-賃金はなお力強い労働市場を示唆 (3)

  米金融当局が引き続き懸念しているのはコアインフレだ。個人消費支出(PCE)総合価格指数は5月に、前年同月比で約2年ぶりの低い伸びとなったものの、コア価格指数は同4.6%上昇と基調的インフレの根強さが示唆された。デーリー総裁は「インフレがわれわれにとって最大の課題だ」と語った。

  12日には6月の消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値では、コアCPIは前月比0.3%上昇、前年同月比では5%上昇への鈍化が見込まれている。

  アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレ率は高過ぎるとした上で、景気減速の兆しが見える中で政策当局者は今のところ忍耐強くいられるとの見解を示し、多くの当局者と一線を画した。

  「金融当局は忍耐強くいられるというのが私の考えだ。われわれの政策は明らかに景気抑制的な領域にある」とボスティック総裁は講演で発言。「景気が減速しつつある兆候が引き続き見られており、それは抑制的姿勢が奏功していることを物語っている」と述べた。

原題:Fed Officials Say Higher Rates Needed to Reach 2% Inflation Goal(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE