2021年、ワインの○と×──連載「ワインにあうツマミを探せ!」番外編

いいワインには、うまいツマミが必要だ──、という信念のもと、飲食担当エディター岩田桂視がワインと料理のマリアージュを探求する本誌連載の番外編。「ワインショップ・エノテカ」のバイヤー2名&広報2名と一緒に「2021年のワイン、○と×」について話しあった。

今年も飲みました

岩田桂視(以下、岩田) みなさん、こんにちは。『GQ JAPAN』の岩田です。毎号巻末で連載中の「ワインにあうツマミを探せ!」をご高覧いただき、感謝しております。今年は空前の家飲みブームだったんじゃないでしょうか。というわけで「2021年のワイン、○と☓」をテーマに「ワインショップ・エノテカ」のバイヤー&広報の方々とビデオチャットで話し合ってみました! まずはバイヤーの笠原亮さんからいきましょうか!

笠原亮(以下、笠原) 5月から、本格的に家でトレーニングをはじめたんですよ。最低でも毎朝10分、腹筋しています。ZoomやTeamsなど、ビデオチャットミーティングが増えて、画面に映る自分に愕然としたんですよね。家で飲みすぎた、というのもあります。で、○の話でしたよね。今年最大の出来事は「ルイ・ロデレール コレクション 242」が発表されたことです。温暖化などの環境変化に応じて、より良いものを目指して変化をする。何か今の時代にリンクするところもあり、35年ぶりの刷新でもあるので、非常に感慨深いものがありました。

こんかいのコレクションはよりコクが感じられる味わい。ルイ・ロデレール コレクション 242 [ボックス付] 8250円

岩田 えー、お話の途中ですが、ぼくが簡単に説明します。「ルイ・ロデレール コレクション 242」は、10月に発売された新しいスタンダード・キュヴェです。創業年からアッサンブラージュごとにナンバリングし、バックラベルには使われたリザーブワインのヴィンテージ情報を記載しています。ご承知のように、ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュのリザーブワインの比率などはこれまで秘密のベールでおおわれていました。しかしワイン愛好家が増え、要望が高まり、次第に情報を開示する流れになりました。とはいえ、「ブリュット・プルミエ」はうまかったので、終売とは残念でございます。

笠原 まだセラーに「ブリュット・プルミエ」をお持ちの方はぜひ大切に飲んでくださいね。あと、ワインテイスト飲料「ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ」をリリースできたのは、ぼくのなかで○ですね。

アルコール度数0.1%未満のワインテイスト飲料。ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ 1512円

岩田 あれ、いいですよね! このあいだ、東京・丸の内にあるプライベートクラブ「OCA TOKYO」で飲みました。そのときは試食会だったのですが、その後に打ち合わせがあるのでアルコールが飲めず、とはいえスパークリングウォーターでは物足りないというシチュエーションでした。料理にも寄り添うふくよかさとフレッシュな香りが印象的でした。

笠原 ありがとうございます。次に、☓についてはそんなにないんですよね。生産地を見に行けないとか……そういった真面目で面白みがない話ばっかりです。だから、来年は面白さをどうだしていくのか。ワインでいうブドウは変えずに醸造法を変えるとか、そんな感じですね。

岩田 すごく……真面目です……。では、次にバイヤーの石田敦子さん、行きましょうか!

「スータイ パッタイセット」299円。”本場っぽい味わい”と石田さん。カルディほか輸入食材店で購入可能だ。

石田敦子(以下、石田) 去年(リンクはいります)と同じように家飲みワイングラスが活躍しました。ただ進化がないわけではなく、夫の料理スキルが向上しました。手抜きの私はモツ鍋や回鍋肉をよく作りますが、夫の定番メニューはパッタイで、そこに月イチでグリルした塊肉が加わるようになりました。ネットでの食材調達もよく利用しました。「ハイ食材室」で、ワカヌイの骨付き仔羊リブロースを買ったりして。あ、そうそう。カルディで見つけたパッタイセットがコントラスト強めの味わいで、おすすめです。レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォンのマコン・ヴィラージュなど、気楽なワインをポンポンあけてました。

レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォンのマコン・ヴィラージュは3850円。フレッシュなアロマに魅了される。

岩田 ぼくも月イチで塊肉とか焼きたいですね。☓は?

石田 これ、笠原さんと近いです。やっぱり家で働いているから、運動してない。アップルウォッチを買って、測ったんですが、1日2000歩すら到達しない日があるんですよ。来年は健康になりたい!

岩田 では、広報の辻本愛子さんは?

辻本愛子さん(以下、辻本) こんにちは、今年はディプロマ(Wine and Spirits Education Trust Level 4)をとりました。

笠原 ぼくもぼくも。

岩田 同じ年に2人もとれたなんてすごい!

辻本 ありがとうございます。ほかに今年は、オンライン・コミュニティで乾杯する場がふえました。わたしが参加しているのは「The Wine Station」と「ワイン買いたい新書」などなど。オンラインで、はじめてのひととただただワインの話をするんです。で、オンラインのなかで人間関係がはじまっていくので、そこが面白かったですね。友人とはちょっと違う距離感なのも新鮮でした。☓は太ってしまったこと。いまはそれを解消すべく、週1でランニングをはじめました!

岩田 それでは昨年に引き続きメンバーを集めてくれた、エノテカのドラマ番長こと、広報の佐野昭子さんはいかがでしたでしょうか?

Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

佐野昭子(以下、佐野) リモート勤務のせいなのか、月日がたつのがいつも以上に早い気がしませんか? 今年もいろいろ新しくチャレンジしたのですが──、気がつけば今年もネットフリックス漬けでした。とりわけ、ドラマ『ヴィンチェンツォ』への漬かり具合といったらないですね。主人公のヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)はイタリアンマフィアの相談役で、組織に裏切られてイタリアを去り、韓国・ソウルに帰国するんですよ。目的は、そこにある金塊を手に入れるためなんです。ぐいぐい引き込まれるストーリーで、このドラマを観ながらのワインとめちゃめちゃ最高なんです。で、係争に発展するんですが──。

岩田 ちょちょ、ストップ、ストップ。飲みすぎ、じゃなくてネタバレさせすぎです。で、そのとき、ワインはなにを飲むんですか?

佐野 デイリーワインが多く、とりわけ印象深い1本はブルロットのソーヴィニヨン・ブランですね。これ、隠れた人気銘柄で、先日もオンラインでリストックされた2分後に完売しました。完売といえば、人形町にある「日本橋 SANO」のサバの棒寿司。これも人気です。……また韓国の話をしてもいいですか?

岩田 ドラマの内容以外ならいいですよ!

佐野 韓国では、コロナ禍でワイン市場が急拡大中です。ビールや焼酎よりワイン、という人がものすごく増えているんですよ。ドラマ『愛の不時着』の放映以降、韓国でワイン・ブームが訪れているんじゃないかと思っています。韓国には「ワインショップ・エノテカ」が4店舗あり、そのどのお店も売上が好調です。酒税の関係上、日本と比べてワインの値段が2倍近くしますが、バンバン売れてるんですよ。岩田さんも飲食担当としてブームを確かめに韓国を取材したほうがいいんじゃないでしょうか? 早く、早く!

カイケン・エステートのマルベック(左・1980円)は、濃厚さはほしいけどカベルネ・ソーヴィニヨンほど強くない味がいいな〜と思ったときに最適。飲み疲れしにくい。同じくカイケン・エステートのアンオークト・シャルドネ(右・1980円)は、フレッシュな酸味が際立つ1本。樽のしつこさがないので、これまた長時間飲みにぴったり。

岩田 フランソワ・ラブレーの小説『ガルガンチュアとパンタグリュエル』に「汝の意志することを行え」と書いてありましたが、それにしたって急な話です。ぼくはまずワインを片手に韓国ドラマを見ることからはじめようと思います。ちなみにぼくの○と☓は、今年も飲みすぎたことですね。ガルガンチュア王には足元にも及びませんが……。それはともかく2000円以下のテーブルワインを中心に、“ヤスウマ”を探しました。カイケン・エステート・マルベックとアンオークト・シャルドネあたりが好きでした。みなさんもこれから年明けにむけてガンガン飲むと思いますが、ツマミのことも忘れずに〜。

ワインショップ・エノテカ 広尾本店

住:東京都港区南麻布5-14-15
TEL:03-3280-3634
営:11:00〜21:00
休:なし

PROFILE
石田敦子
商品部・バイヤー

プライベートでも毎日ワインを飲み続け、日本のワイン消費量アップを目指す。飲んで記憶を失くしたことはないが、楽しい記憶だけを大切に、公私ともにワインを買い続ける。 

笠原亮
商品部・バイヤー

ルイ・ロデレールほかを担当。2021年はメゾンの変革期であり、自分自身も真面目すぎる性格を変革したいと考えている(笑)。2021年にWSET Level4 Diplomaを取得。

辻本愛子
広報担当

2021年から広報へ異動。また、WSET Level4 Diplomaを取得。変化の多い1年だったがマイペースに増量中。ドライ・ジャニュアリーの挑戦を目論む。

佐野昭子
広報担当

2020年に引き続き、ネットフリックスのドラマ鑑賞にハマった。ドラマ「エミリー、パリへ行く」のシーズン2がはじまり、ますますパリへの思いがつのる。

まとめ・岩田桂視(GQ)