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SBIなどネット証3社もクレディSのAT1債販売-書面説明不備か

SBIホールディングス(HD)、楽天グループマネックスグループのそれぞれ傘下のインターネット証券が、クレディ・スイス・グループの永久劣後債(AT1債)を販売していたことが12日までに分かった。同債券はクレディSの経営危機に伴い無価値化した。大手対面証券に加えて、大手ネット証券を通じても国内の個人向けなどに販売されていたことになる。

  ブルームバーグが入手したSBI証券、楽天証券、マネックス証券の商品説明資料によると、AT1債の最低購入価格は20万ドル(約2800万円)。クレディSのAT1債には、同社に「存続の危機イベント」が起きた場合に価値はゼロになるとの規定があったが、SBI証など3社の顧客向けの日本語での外国証券情報、債券概要説明書、契約締結前交付書面には、この規定についての説明がなかった。

  クレディSのAT1債は3月、スイスの銀行大手UBSグループによる同社の買収合意を受け、約160億スイス・フラン(約2兆3800億円)相当が無価値になった。

     国内では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券が約950億円を販売していたほか、みずほ証券や大和証券などでも販売していたことがすでに判明している。鈴木俊一金融担当相は4月、国内で1400億円程度が販売されていたとの認識を示していた。

  SBIHDの広報担当者はクレディSのAT1債販売について、「商品性に鑑みて、当該債券に適合すると当社が考える顧客を対象に営業員から対面での説明を行った上で販売していた」と電子メールで回答した。

     楽天証の広報担当者は、同社が契約する資産運用アドバイザーを通じて顧客に販売していたのは事実であり、無価値化したことを受けて、販売態勢や説明書面などの検証、見直しなどを行っていると説明。購入した顧客へのフォローを継続するとともに、今後訴訟が提起されるなどした場合には、個別の事案に照らして適切に対処していくと述べた。マネックス証はコメントは控えた。

     3社は具体的な販売額についてはコメントを控えたほか、クレディSのAT1債の「存続の危機イベント」条項について、口頭または書面で顧客に説明していたかどうかについても回答を控えた。

  楽天証とマネックス証の外国証券情報と債券概要説明書には、財務体質の指標であるクレディSの普通株式等ティア1比率が7%を下回った場合、元本が減額されると記載されている。また、SBIの書類には同比率が7%を下回った場合、または規制当局がクレディSを存続の見込みがないと判断した場合には元本は全額削減されるとの記載はされていた。

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