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新しい出会いの季節に纏う、フレグランス【エディターの推しコスメ:総集編】

見た目以上に記憶に残るとも言われる、香りの印象。新しい出会いの多い春にフレグランスを“衣替え”して、セルフプロデュースしてみては? ※エディターの推しコスメのほかの記事もチェック。

一筋縄ではいかない女性を演じたいなら。エルメスのヴィオレット ヴォリンカを/村松杏子

マスキュリンさとフェミ二二ティ嫌みなく演出したいなら、エルメスの「ヴィオレット ヴォリンカ」のオードトワレ(100ml ¥39,820)を纏ってみてはいかがだろう。可憐なスミレとスモーキーなレザーの意外性のあるコンビネーションが、ただ甘いだけでない、芯のある女性像を醸し出してくれる。レザーとスミレの予期せぬ組み合わせ、この香りを作り上げたのは女性調香師のクリスティーヌ・ナジェル。私は彼女が描き出す香りのファンでもある。レザーの力強さ、大胆さ、そしてパウダリーなスミレの儚さを感じさせるセントは、その上品でありつつも多面的な香りから、周囲の人の興味をそそる存在になれそう。

甘くて優しい、幸福感に満ちたルタンスのラドントゥーズアンカジェ/曽我ゆう

セルジュルタンスのオードパルファム、「ラドントゥーズアンカジェ」(50ml ¥17,710)は、奇才ルタンス先生が、コロナや戦争など世の中が閉塞感にあふれることへのアンチテーゼとして登場した香り。まず最初に引き立つのが、一番の鍵となるフランジパニ。甘く優しい香りの中に、ほのかにミステリアスなイランイランとアーモンドをひとさじ。

この香り、ルタンス先生によると「檻の中の調教師」という恐ろしさマックスの名前がついているけれども、閉塞感のある時代に刺す希望の光のようなもの?と個人的には解釈をしています。何より、個人的な記憶の中にあるフランジパニは、ハワイやバリ島、タイのリゾート地の明るく包み込んでくれるような温もりに溢れ、一瞬にして幸福に満ちたビーチにトリップさせてくれるから。甘ったるくなりがちなフランジパニの香りですが、ここまで濃厚でありながら、ほんの数%の色気も感じさせ、なおかつもったりしない絶妙なバランス。これをつけた日、自分自身の心もふわっと軽くなり、周りに対してもオープンになれるような気がするのです。

距離感が縮まり、どこかで高尚さを醸す。ジョー マローンの紅茶とキュウリの香り/三谷徹

紅茶、アールグレイを想起させるベルガモットやハニーの香り。その心地よい芳醇さと対局の位置にあるキューカンバーの青み、フレッシュさ、爽快感が絶妙にツイストされたのがこのジョー マローン ロンドンの「アールグレー & キューカンバー コロン」(100ml ¥20,680)。そう、まさに、いわゆる“ギャップ” “二面性”をさりげなくアピールできる香りなのです。

しっかりと香りが刻まれるコロンなので花粉が舞う今の時期でも、しっかり嗅覚を刺激するという点も良い。甘いといえば甘いけれど、紅茶のニュアンスのせいかクドさは皆無。その上、背後にはキュウリの気配が妙な歩み寄りやすさを醸しているのです。ちなみにジェンダーを選ばないオールラウンダーな印象も素敵なポイント。“カジュアルに高尚なムード”が漂い、かつ、多くの人に似合う王道感を持つ優秀な香水です。

濃密なのに軽い。このうえない好感度と幸福感のオーラを纏える、極上ローズ/小齊りえ子

やっぱり好感度No.1の香りといえば、“ローズ”です。なかでも、ゲランの「アクア アレゴリア フォルテ ローザ ロッサ オーデパルファン」(75ml ¥16,720)は万人ウケ。ブランドのシグネチャーとして、あまりにも有名な「ローザ ロッサ」ですが、改めて嗅いでみると洗練され調和のとれた香りにうっとりします。いい意味で癖がなく、誰からも愛される印象。品と華があって、それでいてどこか安心感のある親しみやすさが魅力です。センシュアルでありながら爽やかなのは、ホワイトピーチがフルーティを感じさせるから。フェミニニティを高めたいときはもちろん、初めての相手とのミーティング、ランチデートなど、幅広いオケージョンで活躍してくれます。

ふわっと頭上にスプレイして、その下をくぐるように纏う付け方がおすすめ。まろやかな香りだちなので、うなじなど顔の近くにもOKです。オーガニックアルコールを採用するなどナチュラルな成分処方や、リフィルで詰め替えられるボトルデザインといったサステナブルなアップデートも、つけたくなる理由の一つ。