早期利上げが大成功、新興国の現地通貨建て債がドル建て債を圧倒
Marcus Wong、Lilian Karunungan-
M&Gは新興国の現地通貨建て債の保有を再構築
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ブラジル・レアルやチリ・ペソなど大半の新興国通貨は過小評価
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新興国の中央銀行は昨年、世界に先駆けて政策金利を新型コロナウイルス禍での底から引き上げた。そうした先を見越した引き締めは現地通貨建て債のリターンを押し上げる上で大きな成果を上げ始めている。
ブルームバーグの集計データによれば、新興国の現地通貨建て債の指数は過去3カ月のリターンがプラス約1%。一方、ハードカレンシー建て債の同様の指標はマイナス2.9%。
こうした現地通貨建て債のアウトパフォーマンスは、積極的な金融政策がインフレの機先を制するのに十分であり、2022年に必要な引き締めが減るとの楽観論が背景にある。世界的な回復が進み経済状況が改善することも投資家を現地通貨建て債に引き付けている。
M&Gインベストメンツの債券投資ディレクター、ピエール・シャルトル氏は「バリュエーションがより魅力的になり、経常収支が改善し続け、多くの新興国中銀が先制的に金融政策を引き締めたため、われわれは現地通貨建て債のエクスポージャーを徐々に増やしている」と説明。その上で「新興国の現地通貨建て債は、ハードカレンシー建ての新興国債よりも変動性が高いことが多いため、分散投資を維持することが重要だ」と付け加えた。
新興国の中銀はインフレ抑制に向け過去1年間に引き締めを続けており、ブラジルやチリなどの中南米ではその傾向が最も顕著だった。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によると、主要新興国中銀20行のうち12行は2021年に利上げし、利上げ幅は合計で2300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。
新興国の現地通貨建て債券が総じて堅調な一方で、ドル建て債は差し迫る米金融引き締めから下押し圧力を受けている。米金融当局はここ数週間にタカ派姿勢を一段と強めており、市場では早ければ3月の利上げが織り込まれている。米国のインフレ加速もドル建て債の需要を弱めている。
現地通貨建て債は通貨のバリュエーションを考慮に入れると、さらなる上昇余地がありそうだ。ブルームバーグがまとめたデータによると、ブラジル・レアルの実質実効為替レートは5年間の平均に比べて19%、チリ・ペソは12%、ハンガリー・フォリントは5%それぞれ過小評価されている。
原題:
Early Rate Hikers Hit Jackpot as Local Bonds Trounce Dollar Debt(抜粋)