上村松園の日本画、100年ぶり発見 京都で初公開
美人画の大家として知られる日本画家、上村松園(1875~1949年)の行方不明となっていた作品が100年以上の時を経て発見された。京都市京セラ美術館で7月17日から行われる開館1周年記念の上村松園回顧展で、初めて公開される。
発見されたのは、1917~18年ごろに描かれたとみられる「清少納言」という作品。平安時代の作家・歌人である清少納言が中宮定子の問いかけに応えてみすを上げている様子を描く、枕草子のエピソードにちなんだ作品だ。名古屋市内の画廊経営者が作品を所有しており、制作当時の美術雑誌に掲載された図版や松園の書き残した随筆などに照らしあわせて鑑定したところ、松園自筆の本物と分かったという。
同館の後藤結美子学芸課担当係長は「みす越しに雪景色を見せる透かしの技法には松園らしい手腕が発揮されている」と評価。「松園は40年以上にわたり何度か絵の題材に清少納言を選んできた。男性中心の画壇に生きた女性画家として、清少納言に自身を重ねてみていたのではないか」と語った。