ホンダが通期営業益見通し上方修正、円安で-市場予想は下回る
稲島剛史-
為替が800億円のプラスも取引先支援コストなどで小幅増にとどまる
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中国都市封鎖影響は想定内で生産正常化-1000億円上限自己株取得も
ホンダは10日、今期(2023年3月期)の営業利益見通しを前年同期比4.7%減の8300億円に従来の8100億円から上方修正すると発表した。円安が追い風となる。
ホンダの新たな通期営業利益見通しは為替の影響がコスト増などのマイナス要因を相殺して若干上振れるものの、ブルームバーグが事前に集計したアナリスト21人の同期の営業利益予想平均値9093億円には届かなかった。
同社は同日、3200万株を上限に自己株式を取得することも発表した。発行済み総数(自己株式を除く)に対する割合は1.9%で取得総額の上限は1000億円。資本効率の向上や機動的な資本政策の実施などが目的で、取得期間は12日から23年3月31日まで。東京証券取引所における市場買い付けで取得するとしている。
ホンダの今期業績見通し |
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4-6月実績 |
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今期の為替前提を1ドル=125円とこれまでの120円から円安方向に見直すなど為替影響により、従来見通し比で800億円の営業利益押し上げ要因となるが、コスト影響などとして600億円のマイナス要因が発生するため増益幅は縮小した。
竹内弘平副社長は決算会見で、原材料価格の高騰を受けてサプライヤーに対しては個別状況を見ながら支援しているとし、業績見通しにはそれらのコスト増影響を織り込んでいると述べた。
竹内氏はまた、中国の都市封鎖(ロックダウン)影響はほぼ想定内で6-7月の生産は概ね正常化していると明らかにした。一方で、米国のペロシ下院議長の訪問で中国との関係が悪化している台湾の地政学リスクを踏まえ、半導体在庫を厚めにする対応も検討しているとした。
長引く半導体供給不足や新型コロナウイルス感染拡大の影響による減産、原材料価格の上昇が業績の下押し要因となっている日系自動車メーカー主要7社の決算発表が出そろったが、4-6月期に営業増益を確保したのはスズキとスバル、三菱自の3社にとどまった。中国ロックダウンの影響で4-5月に生産が落ち込んだマツダは2020年度第2四半期(7-9月期)以来の四半期ベースでの営業赤字となった。
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