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今年好スタート切った新興国市場、既に減速の恐れ-アダニ問題などで

  • まだ無差別に買える状況にはない-ゴールドマン
  • 新興国市場の株と通貨の指数は先週末に下落

新興国市場に対するウォール街の強気な見方に亀裂が生じつつある。インドの資産家ゴータム・アダニ氏率いる企業グループの株価急落や、米利上げ計画などのハードルを受け、投資アプローチがより選別的になっている。

  中国の経済再開や世界金融状況の緩和観測を背景に2023年初頭に上昇していた新興国資産は、既に幾らか勢いを失い始めている。新たなリスクが浮上していることを受け、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントやJPモルガン・チェースなどはより選別的な戦略を勧めている。

  ゴールドマン・サックス・アセットのマネジングディレクター、アンガス・ベル氏(ロンドン在勤)は「まだ無差別に買える状況にはない」と指摘。「昨年厳しいストレスに見舞われた国々にとって、マクロ環境が劇的に変化し、直面していた全ての問題が完全に消え去ったわけではない」と述べた。

Emerging-Market Sugar Rush Fades | MSCI benchmarks show hiccups in bullish EM outlook
 
 

  投資家にとって最近の出来事は、新興国市場でムードがいかに速く変化するかをあらためて示している。

  MSCI新興国通貨指数は先週末に終値ベースで昨年12月上旬以来の大幅下落。米雇用統計で労働市場の過熱感が示され、利上げ継続の論拠が強まった。これを受け、TDセキュリティーズはブラジル・レアル上昇を見込む取引を手じまった。

  新興国株の指標、MSCI新興市場指数も先週、週間ベースで今年初めて値下がり。アダニ・グループ傘下企業の株価下落や米中の緊張激化が背景にある。

  新興国資産は年初に好スタートを切っており、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは、新興国市場の10年が始まったと指摘。ゴールドマンの新興国市場クロスアセット戦略調査責任者でマネジングディレクターのシーサー・マースリー氏は、新興国株がまだなお10%近く上昇すると見込んでいる。

  「フロス(泡立ち)があるとは思わない。新興国資産にはさらなる上昇余地がある」と同氏は分析した。

原題:The Year’s Emerging-Market Rally Is Already in Danger of Slowing(抜粋)

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