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中国が半導体業界の汚職調査開始、国産化難航に不満-関係者

更新日時
  • 調査対象は半導体の国家基金、総裁が調べを受けている
  • 14年創設の「大基金」は資本450億ドル確保-SMICなどを支援

中国指導部の間で、米国製に代わる国産半導体の開発が長年難航する状況への不満が高まっており、国内半導体メーカーへの資金配分で中心的な役割を果たしてきた国家基金を主な対象とする汚職調査に発展した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  ここ10年にわたり半導体業界に巨額の資金を投入してきた中国政府だが、画期的な成果を得るには至らず、政府高官は怒りをあらわにしている。政権トップの考えに詳しい関係者がセンシティブな情報だとして匿名を条件に語った。一方で、米政府は半導体を巡る対中規制を強化し、テクノロジー面での野心の封じ込めに成功しているとも関係者は指摘した。

 

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習近平氏(2019年)
Photographer : Justin Chin/Bloomberg

  長年にわたり最高水準の公的支援を受けてきた半導体業界は、調査開始に衝撃を受けている。習近平政権は技術での欧米依存を脱しようと国内に半導体産業を育成するため1000億ドル(約13兆5000億円)余りを投じてきた。調査対象となっているのは、「国家集成電路産業投資基金」で、業界内では「大基金」として知られている。同基金の丁文武総裁が調べを受けているという。

  2014年に創設された同基金は約450億ドルの資本を確保し、中芯国際集成電路製造(SMIC)や長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ)など多数の中国企業を支援。ただ、表舞台に出ることは少なく、投資基準も一般の目に触れることはないため、説明責任を欠いているとみるアナリストもいる。

規律・法律違反の疑い

  米政府は対中輸出規制をますます強化し、自国企業が中国の顧客に輸出できる半導体製造装置などを一段と制限している。米国はニコンやオランダのASMLホールディングなどを念頭に同盟国に対してもテクノロジーの対中規制で協力を求めている。習国家主席が総書記として率いる中国共産党が抱える弱点が露呈しかねない状況で、指導部はいら立ちを隠せないでいるという。

  共産党中央規律検査委員会と政府の国家監察委員会は9日、大基金の資産管理に関与した3人について、重大な規律・法律違反の疑いで調べていると発表した。3人は華芯投資管理の楊征帆・副総経理と同社の元幹部2人。声明によると、工業情報省に調査チームが送り込まれた。肖亜慶工業情報相はすでに調査対象となっている。

  国務院新聞弁公室にファクスで問い合わせたが、返答はなかった。

原題:China Graft Probes Stem From Anger Over Failed Chip Plans (1)、China Probes Current, Former Executives of Sino IC Capital(抜粋)

 

(4段落目以降に加筆し更新します)
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