サンローランが、6月12日（現地時間）にドイツのベルリンで2024年春夏メンズコレクションを発表した。クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロは、胸もとに深いカットが入ったタンクトップや細身のパンツ、ヒールブーツなどを着用した男性モデルをランウェイに送り込んだ。これらのアイテムからは、昨年9月に発表されたメゾンの2023年春夏ウィメンズコレクションのムードが感じられる。
「私はウィメンズのシェイプを男性に着せるようにしてコレクションを作っていったのです」と、ヴァカレロは米版『GQ』に語った。「フェミニニティとマスキュリニティの要素を遊びながら交差させて、その境界線がわからなくなるくらいまで」。彼は、サンローランのメンズウェアをソフトで官能的なスタイルへと導いているようだ。
今季のキーアイテムであるサテンTシャツはボクシーなシルエットで、そこにサンローランらしいシャープなショルダーラインが落とし込まれた。このアイテムをまとったモデルがランウェイを闊歩するたび、なめらかな輝きを放っていた。
その数日後、ジョルジオ アルマーニが伊・ミラノで2024年春夏コレクションを発表した。リチャード・ギアが1990年代に着ていたようなツーピースやテーラードブルゾンを連想させるルックのほか、モデルが身につけたのは、やはりサテンTシャツだ。
ルーズフィットのサテンTシャツは、シルバーとスカーレットの2色が登場。スーツと合わせたり、シルクシャツの上に重ねたりして、着こなし方はさまざまだった。
ブランドのショーノートには、「weaving a new storyline: forms are soft（新しいストーリーを紡ぐ：フォルムは柔らかく）」と記載されていた。ソフトな質感をもつサテンは、ウェディングドレスやイブニングガウンなど、女性向けのアイテムに使われてきた。フェミニンなイメージの強いサテンがメンズウェアに多用されていることは、ファッションがよりジェンダーレスな方向へ進んでいることを表しているのだろう。
Tシャツだけでなく、英・ロンドン発のブランド、ジョーダンルカからはブラッシュピンクのショーツ、マーティン・ローズからはロングシャツなど、サテンを用いたアイテムが多く提案されている。
さあ、来年の春夏はサテンTシャツをまとおう！
From: British GQ Adapted by Winsome Li
