中銀の利上げ見通しが市場で後退、コロナ変異株懸念-円急騰で113円台
James Hirai、Libby Cherry-
短期金融市場、利上げ予想の修正急ぐ-米英の5年債利回り急落
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各中銀の利上げは半年程度遅れる可能性-みずほチャットウェル氏
短期金融市場では、中央銀行が利上げを急ぐとの見方が巻き戻されている。新型コロナウイルスの新たな変異株による経済成長減速への警戒が、インフレ懸念を上回った格好だ。
米金融当局が0.25ポイントの利上げを開始する時期について、短期金融市場のトレーダーは予想を来年6月から9月に後ずれさせた。追加利上げを織り込む時期は、一時2023年にまで後退した。イングランド銀行(英中央銀行)の利上げ開始時期も今や来月でなく、来年2月が織り込まれている。
トロント・ドミニオン(TD)銀行の金利ストラテジスト、プージャ・クムラ氏は「この動きは向こう数週間、続く可能性がある」とブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで発言。「中央銀行は緩和縮小に動く前に、状況への強い注視を続けるだろうと現時点で予想している」と述べた。
みずほインターナショナルのマルチ資産戦略責任者ピーター・チャットウェル氏は、新たな変異株が現時点で懸念されているように強力であることが判明するなら、「先進国・地域の大半の中央銀行が検討していた金融引き締めの必要性は打ち消される」と指摘。この場合、各中銀の利上げは半年程度遅れることになると予想した。
26日の米国と英国の債券市場では、金融政策への感応度が最も高い5年債利回りが下落。米5年債利回りは18ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.16%、英5年債利回りは14bp低下の0.60%でそれぞれ取引されている。
為替相場では安全資産とされる円とスイス・フランに資金が流入。ドルは円に対し、一時1.5%安の113円66銭に下落した。
原題:Traders Unwind Rate-Hike Bets as New Covid Fears Spread (2)、Yen, Franc Rally as Yields Plunge on Variant Fears: Inside G-10(抜粋)