債務合意巡る安堵感は短命か、TB大量発行に注目移る-米債券市場
Benjamin Purvis-
米財務省、7-9月末までに1兆ドル余りのTBを発行へ
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合意受け利回りは下げても、TB大量発行で低下は限定される可能性
米債務上限が引き上げられないことへの懸念から、同上限引き上げが短期金融市場にとって何を意味するのかに債券トレーダーの憂慮はシフトするとみられる。
ホワイトハウスと共和党、債務上限問題で原則合意-デフォルト回避
米財務省は7-9月(第3四半期)末までに1兆ドル(約140兆円)余りの財務省短期証券(TB)を発行し、現金残高を近く再拡大することが、最近の推計で示されている。米国の現金残高は現在390億ドルと、2017年以来の低水準となっている。
米財務省の現金残高、388億ドルに減少-特別措置残り670億ドル (1)
こうした大量発行は金融市場から著しい流動性を吸収する可能性が高い。米金融当局が利上げを実施し、バランスシートを縮小していることを踏まえれば、市場への圧力は強まるもようだ。
米債務上限を巡りホワイトハウスと下院共和党の交渉担当者が原則合意に達したことを背景に、米短期債の利回りは低下する可能性があるが、次に起こることを見極めようとする中、利回りの低下は限定される可能性もある。
ウィズダム・ツリー・インベストメンツの債券戦略責任者、ケビン・フラナガン氏は、「TBは不透明感の影響を受けてきたため、合意に対しては予想通りの反応を示すだろう」と26日に指摘。「利回りは高水準から低下するが、財務省が発行を増やすため、利回り低下は限られる」と話した。
原題:Debt-Ceiling Relief May Be Short as Focus Turns to T-Bill Deluge(抜粋)