スペースＸが「クルードラゴン」打ち上げ、民間人４人搭乗

米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ（スペースＸ）は15日、民間人４人を乗せた宇宙船「クルードラゴン」を打ち上げた。地球を周回する３日間の宇宙旅行となり、有人宇宙旅行の新時代を告げるものと受け止められている。

　　今回の宇宙飛行ミッションは「インスピレーション４」と称されたもので、クルードラゴンはフロリダ州のケネディ宇宙センターから現地時間15日午後８時２分（日本時間16日午前９時２分）にファルコン９ロケットで打ち上げられ、地球周回軌道に入った。

　　搭乗したのは、テクノロジー業界のビリオネア、ジャレッド・アイザックマン氏と他の米民間人３人で特別な宇宙飛行士訓練を受けていない。

　　米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）の商業宇宙飛行担当ディレクター、フィル・マカリスター氏は打ち上げ前に、「私はこれを人類の宇宙輸送のルネサンスだと本当に受け止めている」とコメント。スペースＸが監督する宇宙旅行で民間宇宙船に４人の民間人が乗り込んだ今回のフライトについて、有人宇宙飛行の商業的性質を示唆した。イーロン・マスク氏が率いるスペースＸは今回の打ち上げを皮切りに今後数年に複数回の民間宇宙飛行を計画しており、次回は2022年の早い時期に予定している。

　　今回のミッションは概念を実証するためのデモ飛行の役割を果たすだけではなく、小児がん研究のために２億ドル（約219億円）の寄付金も集める。決済処理会社シフト４・ペイメンツの創業者で最高経営責任者（ＣＥＯ）のアイザックマン氏は、スペースＸに今回の宇宙飛行の料金を支払ったほか、テネシー州メンフィスにあるセント・ジュード小児研究病院に１億ドルの寄付を約束した。

　　３日間の旅行で４人は地上から高度360マイル（575キロメートル）の宇宙空間を飛行する。これは09年５月にスペースシャトル「アトランティス」に搭乗した宇宙飛行士によるハッブル宇宙望遠鏡（軌道高度約340マイル）修理ミッション以降のどの飛行よりも宇宙の奥深くに行くものとなる。

原題：SpaceX Launches Four People on Private Dragon Spaceflight (1) (抜粋)