北京五輪選手のスマホ持参に懸念、ネットの安全性巡り専門家が指摘
Jamie Tarabay、Sarah Zheng-
データ収集や監視、AI専門の中国企業がスポンサーやサプライヤー
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一部企業の機器・ソフトはスパイ活動や監視に利用されている恐れ
来月4日開幕の北京冬季五輪に出場する中国以外の各国アスリートらには、新型コロナウイルス・オミクロン変異株の感染拡大や金メダルの数のほかにもう一つ心配の種がありそうだ。インターネットへのアクセスが安全かどうかという問題だ。
中国当局は、フェイスブックやユーチューブといったサービスを遮断する「防火長城(グレートファイアウオール)」と呼ばれるネット情報検閲システムを公式会場やホテルで解除することにより、部分的に自由なネットへのアクセスを世界のトップアスリートに約束している。
しかし、北京五輪のオフィシャルスポンサー(協賛企業)とサプライヤーには、データ収集や監視、人工知能(AI)を専門とする中国企業が名を連ねており、セキュリティーの専門家らは、警戒する理由が存在すると指摘する。
同国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)や音声認識を手掛ける科大訊飛など、ネットワーキングとデータ管理を提供するこれら企業の一部を巡っては、新疆ウイグル自治区の少数民族に対するスパイ活動や監視に利用されている可能性があると米国と同盟国が非難している。
こうした主張をファーウェイなどは否定するが、それらのシステムの下で、多くの中国市民が対峙(たいじ)するのと同じ種類の監視や行動追跡、モニタリングにアスリートもさらされるだろうとサイバーセキュリティーのコンサルタントは警告する。
国家主体や犯罪者がプライベートなやりとりを盗聴する目的で特定のWi-Fiバブルを利用したり、マルウエア(悪意あるソフト)や他の脆弱(ぜいじゃく)性を個人のデバイスにインストールしたりするリスクも懸念される。
米スタンフォード大学フーバー研究所のラリー・ダイヤモンド上級研究員は「私のアスリートへのアドバイスは、安価なセカンドフォンを購入し、主たるiPhone(アイフォーン)やアンドロイドのシステムを使わないということになろう。われわれが唯一分かっているのは、中国が最も高度な専制デジタル監視国家を構築しつつあるということだ」と主張した。
原題:Olympic Athletes Told to Leave Phones at Home to Dodge Spying(抜粋)