米CPI、予想下回るサプライズに賭ける方が得策-JPモルガン
Lu Wang-
ほぼ予想に沿うかそれを下回る数字になる確率を80%とみている
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インフレ率が劇的に鈍化し、S&P500種が急上昇する確率は10%
JPモルガン・チェースのセールス&トレーディングデスクによれば、12日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI )の予期せぬ数字から利益を得ようと期待するトレーダーらは、予想を下回るサプライズに備える方が良い結果につながるかもしれない。
6月の米CPI上昇率のコンセンサス予測は前年同月比3.1%だが、アンドルー・タイラー氏らセールス&トレーディングチームは、ほぼ予想に沿うかそれを下回る数字になる確率を80%とみており、他の全ての条件が同じなら株価の押し上げが可能だ。
一方、市場にショックを与える二つのテールリスクシナリオについては、インフレ率が劇的に鈍化し、S&P500種株価指数が急上昇する確率を10%、物価圧力が再び著しく増大し、株価が動揺する確率を5%としている。
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言い換えれば、タイラー氏らのチームは、1年間にわたりインフレ鈍化が続いた結果、米連邦準備制度が金融引き締めキャンペーンのアクセルを戻すことが可能になると想定しており、それは株価にとって幸先の良い状況だ。
タイラー氏らが提示する最も可能性の高いシナリオは、CPIの前年同月比上昇率が3-3.2%となり、S&P500種指数が0.5-0.75%上げるケースだ。CPI上昇率が2.7%以下に減速すれば、S&P500種は2.5%以上の急上昇が見込まれる。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のワンデー・ボラティリティー指数(ティッカー VIX1D)は、オプション価格に基づきS&P500種の今後24時間の予想変動率を反映する。直近は16に近い水準で取引されたが、2022年5月にさかのぼるデータで見る限り、米CPI発表前のセッションとしては最も低い。
それでもJPモルガンのチームが示すゲームプランは、投資家にとって大きな賭けであることをうかがわせる。
CPI発表当日にS&P500種は過去1年平均で1.6%動いた。パイパー・サンドラーのオプション責任者ダニエル・カーシュ氏によれば、オプション取引のインプライドボラティリティー(予想変動率)が反映する今回の動きは0.7%前後という。
原題:JPMorgan Sales Team Says Cool CPI May Be Better Bet Than Hot One(抜粋)