お取り寄せ&自販機──いま、世界に届けたいジャパン・カルチャー

コロナ禍がつづく今、"おうちごはん需要"の高まりを受けてますます存在感を強めている、DIY型のお取り寄せと食の自販機にフォーカス。世界よ、これが日本の近代食文化の結晶だ!

地域密着型の庶民派から星付きレストランまで、コロナ禍を受けて急速に進化したのがプロが提供する〝おうちごはん〟ではないだろうか。シェフのスペシャリテが店さながらに味わえるだけでなく、たとえば「食卓で揚げる串カツ」「ホットプレートでつくるもんじゃ焼き」のようなDIY型の取り寄せも増えている。いっぽうで、劇的に進化しているのが日本の昭和大衆文化を象徴する食の自販機。冷凍ラーメンに小籠包、市民権を得つつある昆虫食など、街には多様な自販機が並び始めている。社会が非対面の販売法を模索する今、メーカー各社は最新鋭機の開発に積極的だ。

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お店の味をそのまま食すテイクアウトとはひと味違う、つくる過程も楽しむことができる、DIYなお取り寄せメニューを紹介。

「Casa de Sarasa」のタコスBOX

オーナーのSARASAさんは、国内外でDJとして活躍する異色の経歴の持ち主。「メキシコで出合ったタコスの美味しさを伝えたい」と、「Casa de Sarasa」を渋谷に開業した。「コロナ禍でお店に来られずとも、フレッシュな具材を焼きたてのトルティーヤで包むタコスの醍醐味を楽しんでほしい」との思いで生まれたのが、このBOX。トルティーヤで具材を包むたびにコーンの香りがして、メキシコを旅しているかのような気分に浸れてしまう。2人前4500円〜(送料別)。

Casa de Sarasaオンラインショップ in オトリー 

https://otory.jp/pages/casa-de-sarasa

ティンガ(トマト風味のほぐし鶏肉)、カルニータス(豚のオレンジ煮込み)、ピカティージョ(挽き肉のトマト煮込み)、ピコデガヨ(トマトとタマネギの唐辛子和え)などが入る。

ティンガ(トマト風味のほぐし鶏肉)、カルニータス(豚のオレンジ煮込み)、ピカティージョ(挽き肉のトマト煮込み)、ピコデガヨ(トマトとタマネギの唐辛子和え)などが入る。

ハバネロやホオズキでつくられた自家製サルサヴェルデをかけて食べよう。

「串カツ田中」のうちで串カツ卓上フライヤー(山善製)+ 串カツ50本セット

2008年に東京・世田谷区に1号店を開業して以降、「串カツ田中」は今や全国に約300店舗を構える人気店となった。大阪市西成区出身の創業者・田中洋江さんの亡き父が考案したレシピを忠実に再現した串カツの専門店ではお取り寄せも好評で、セットにはフライヤーも付く本格派だ。串は豚、チーズ、レンコン、エビ、ハムが各10本。店オリジナルの丸皿やバット、ソース缶を揃えれば(すべて別セット商品)、"2度づけ禁止"を気にせずに「串カツ田中」の味を楽しむことができる。1万2980円(送料込)。

串カツ田中オンラインショップ

https://onlineshop.kushi-tanaka.com

2021年7月に発売するや即完売。フライヤーは自宅で揚げ物をつくる際にも重宝すると好評だ(デザインは変更の可能性あり)。

串カツは50本入りと大容量。油に串カツがすべて浸かるようにして揚げ、きれいなキツネ色になればできあがり。

2021年7月に発売するや即完売。フライヤーは自宅で揚げ物をつくる際にも重宝すると好評だ(デザインは変更の可能性あり)。

「月島もんじゃおこげ月島本店」の冷凍もんじゃ

1871(明治4)年創業の豊洲水産仲卸が直営する、行列必至の人気もんじゃ店。並ばずとも家庭のホットプレートでお店と同じ味わいが再現できるのが、こちらのお取り寄せ。セットにはハガシ2本も付属しており、同封の手引きに従えば、初心者でも簡単に本場・月島のもんじゃを焼くことができる。1日で3500個を販売したという実績も納得の美味しさ。母体の仲卸で目利きした海鮮と魚介、鶏ガラ、4種の香味野菜からとった自家製だしが香ばしい。1200〜1500円(送料別)。

月島もんじゃおこげ月島本店

https://tkjm.jp/tsukijiuogashi/store528/

人気の明太子もちもんじゃは1400円。計5種をラインナップ。ネットショップと店舗前の自販機でも購入可。

具材を炒めたら土手をつくり、だしを入れるだけのお手軽さ。

VENDING MACHINE

日本といえば、自動販売機大国。その数に驚く訪日外国人も多い。食の自販機はコロナ禍の新たな販売法として今、注目を集めている。

「MOGBUG」昆虫食

「MOGBUG」という自販機で昆虫食を展開しているのが、ジビエ料理店「米とサーカス」を高田馬場などに出店する「亜細亜TokyoWorld」だ。栄養価が高く、環境負荷が低いサステイナブルな食材として注目されている昆虫食は、コオロギ、サソリ、オケラなどのソルトフレーバーのスナックなど、13種をラインナップ。ゴミムシダマシ科の幼虫・スーパーワームのスナックはナッツに似た香ばしさで、おやつ感覚でイケる。

東京都新宿区高田馬場2-19-8

営 24時間

1.「MOGBUG」のBUGスナックソルトフレーバースーパーワーム1200円。

2. 高温で乾燥させたミルワームは、さっぱりとした後味。

「米とサーカス高田馬場店」のほか、秋葉原にも自販機を設置する。

「ヌードルツアーズ」の冷凍ラーメン

創業70余年の「丸山製麺」が昨年3月から展開する自販機では、全国の有名店の冷凍ラーメンを購入できる。設置場所は80カ所以上。麺は「丸山製麺」が冷凍用に開発し、スープは各店が厨房で調理したものを冷凍パック、忠実に店舗の風味と食感を再現している。開発時には試作品をブラインドで味見する徹底ぶりだ。東京「らーめんバリ男」「麺屋音」などのラーメンに、千葉「雷神餃子」などの餃子を加えた20店舗から、常時5種を自販機にラインナップする。

設置場所の詳細は、https://noodle-tours.com/map

営 24時間

『らーめんバリ男』1000円は二郎インスパイア系。麺とスープ、チャーシュー、特製唐花付き。国産の高級豚骨のみを煮込んだスープは旨味がたっぷり。強力なコシの極太麺も食べごたえ十分。好みで野菜も添えて。

大田区上池台の1号機をはじめ、都内23カ所に設置。

『らーめんバリ男』1000円は二郎インスパイア系。麺とスープ、チャーシュー、特製唐花付き。国産の高級豚骨のみを煮込んだスープは旨味がたっぷり。強力なコシの極太麺も食べごたえ十分。好みで野菜も添えて。

「京鼎樓」の中華惣菜

行列のできる小籠包の名店として、台湾のみならず首都圏でも人気の「京鼎樓」。その中華惣菜を扱う冷凍自販機が、今年2月に東京メトロ日比谷線恵比寿駅構内に登場した。水餃子など4種類が購入可能で、必食は小籠包。新鮮な豚骨を20時間ほど煮出して旨味を凝縮させ、野菜などの香味エキスを加えたスープが滋味深い。それを1滴も逃すまじと試作に試作を重ねた皮は、もちもちの食感。レンジでチンするだけの手軽さもグッドだ。

東京メトロ日比谷線恵比寿駅構内

営 始発から終電まで

冷凍自販機の主役は看板メニューの小籠包1000円。

袋から出したら、説明書きに従ってレンチンする。

箸でつまめるように皮は少し厚めだが、旨味が芳醇なスープと餡、皮が渾然一体となって溶けていく。この食味のために、2年以上の試作期間をかけたとか。

PHOTOGRAPHS BY YUJI KANNO @ SPOKE, TOKYO METRO (JIN DIN ROU'S VENDING MACHINE)

WORDS BY KOJI OKANO