地域密着型の庶民派から星付きレストランまで、コロナ禍を受けて急速に進化したのがプロが提供する〝おうちごはん〟ではないだろうか。シェフのスペシャリテが店さながらに味わえるだけでなく、たとえば「食卓で揚げる串カツ」「ホットプレートでつくるもんじゃ焼き」のようなDIY型の取り寄せも増えている。いっぽうで、劇的に進化しているのが日本の昭和大衆文化を象徴する食の自販機。冷凍ラーメンに小籠包、市民権を得つつある昆虫食など、街には多様な自販機が並び始めている。社会が非対面の販売法を模索する今、メーカー各社は最新鋭機の開発に積極的だ。
お店の味をそのまま食すテイクアウトとはひと味違う、つくる過程も楽しむことができる、DIYなお取り寄せメニューを紹介。
オーナーのSARASAさんは、国内外でDJとして活躍する異色の経歴の持ち主。「メキシコで出合ったタコスの美味しさを伝えたい」と、「Casa de Sarasa」を渋谷に開業した。「コロナ禍でお店に来られずとも、フレッシュな具材を焼きたてのトルティーヤで包むタコスの醍醐味を楽しんでほしい」との思いで生まれたのが、このBOX。トルティーヤで具材を包むたびにコーンの香りがして、メキシコを旅しているかのような気分に浸れてしまう。2人前4500円〜(送料別)。
Casa de Sarasaオンラインショップ in オトリー
1871(明治4)年創業の豊洲水産仲卸が直営する、行列必至の人気もんじゃ店。並ばずとも家庭のホットプレートでお店と同じ味わいが再現できるのが、こちらのお取り寄せ。セットにはハガシ2本も付属しており、同封の手引きに従えば、初心者でも簡単に本場・月島のもんじゃを焼くことができる。1日で3500個を販売したという実績も納得の美味しさ。母体の仲卸で目利きした海鮮と魚介、鶏ガラ、4種の香味野菜からとった自家製だしが香ばしい。1200〜1500円(送料別)。
月島もんじゃおこげ月島本店
日本といえば、自動販売機大国。その数に驚く訪日外国人も多い。食の自販機はコロナ禍の新たな販売法として今、注目を集めている。
「MOGBUG」という自販機で昆虫食を展開しているのが、ジビエ料理店「米とサーカス」を高田馬場などに出店する「亜細亜TokyoWorld」だ。栄養価が高く、環境負荷が低いサステイナブルな食材として注目されている昆虫食は、コオロギ、サソリ、オケラなどのソルトフレーバーのスナックなど、13種をラインナップ。ゴミムシダマシ科の幼虫・スーパーワームのスナックはナッツに似た香ばしさで、おやつ感覚でイケる。
東京都新宿区高田馬場2-19-8
営 24時間
創業70余年の「丸山製麺」が昨年3月から展開する自販機では、全国の有名店の冷凍ラーメンを購入できる。設置場所は80カ所以上。麺は「丸山製麺」が冷凍用に開発し、スープは各店が厨房で調理したものを冷凍パック、忠実に店舗の風味と食感を再現している。開発時には試作品をブラインドで味見する徹底ぶりだ。東京「らーめんバリ男」「麺屋音」などのラーメンに、千葉「雷神餃子」などの餃子を加えた20店舗から、常時5種を自販機にラインナップする。
設置場所の詳細は、https://noodle-tours.com/map
営 24時間
PHOTOGRAPHS BY YUJI KANNO @ SPOKE, TOKYO METRO (JIN DIN ROU'S VENDING MACHINE)
WORDS BY KOJI OKANO