デニムに咲くBリーガー! 各選手が『GQ JAPAN』のためにモデル出演

「B.LEAGUE AWARD SHOW 2021-22」で大きな話題となったのが、選手全員がデニムでコーディネートされていたこと。そのコンセプトや各人のコーディネートの狙いを紹介したい。
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© B.LEAGUE

デニムでドレスアップというコンセプトを立案し、選手たちそれぞれのコーディネートを担当した『GQ JAPAN』の森口德昭は、その狙いをこう語る。

「リベット付きの『ジーンズ』やブラウスのように丈短の『Gジャン』は、バスケットボールと同じく、アメリカで生まれたものです。ただ、これらのデニムは、日本で独自に進化していくことになりました。岡山と広島では60年代ごろからジーンズ産業が発展していき、いまや欧米のハイブランドが生産や加工を依頼しています。また、80年代後半から盛り上がるヴィンテージデニムブームを牽引したのは、ここ日本です。そこで、バスケ選手をデニムでコーディネートするアイディアが思い浮かびました。アワードなので、もちろんドレスアップはしながら。選手のみなさんのスタイリングには、アメリカで生まれたバスケットボールが日本に根付き、独自の文化を育んでほしいという願いを込めています」


森口によれば、基本的には、選手ひとりひとりに、日本のデニムブランドとアメリカのヴィンテージデニムを合わせてスタイリングしているという。「日本でアメリカ生まれのデニムカルチャーが成熟したように、B.LEAGUEというスポーツエンターテインメントが日本でさらに盛り上がってほしい」というのが、今回の衣装のコンセプトだ。

藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース)

MVPに選出された藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース)。「勝ってうれしい、負けて悔しいなど、いろいろな感情が湧くけれど、いちばん大事にしているのは常に楽しくバスケをやることです」

1960年代生産のリアル・ヴィンテージデニムジャケットであるリーバイス 557XX(通称サード)は、世の中にあふれるGジャンの基本の形。そこに、日本のデニムブランドの雄、ウエアハウスのジーンズ「DD1003 1946MODEL」を合わせた。ヴィンテージさながらに色落ちしたジーンズのヒゲは、まさに日本のデニムのレベルの高さを証明するもの。アメリカンヴィンテージ×世界に誇る日本ブランドの仕上げは、タイドアップスタイルで。

ジャケット ¥198,000<LEVI 'S(ヴィンテージ )/ハンドレッド バイヤーズ>シャツ ¥26,400<Individualized Shirts/メイデン・カンパニー>パンツ 参考商品<WAREHOUSE&CO/ウエアハウス>

安藤誓哉(島根スサノオマジック)

初めてベストファイブに選出された安藤誓哉(島根スサノオマジック)。「個人として初のタイトルで、ようやくここに立つことができました。来年も、再来年もここに立ちたいです」

日本有数の古着屋・ベルベルジンのディレクターを務め、またヴィンテージ・デニム・アドバイザーとしても知られる藤原裕が、自身所有のヴィンテージを絶妙にアレンジした「New Manual」というニューブランドを今年の4月にローンチした。安藤選手には、上下ともにこのブランドでコーディネート。ジャケットは通称ファースト(のTバック仕様)、ジーンズは1942年の501XXのオマージュ版。加工を担当した岡山県の「癒to Ri 18」が、高度な技術でヴィンテージを忠実に再現しているのが光る。

ジャケット ¥52,800、パンツ ¥52,800<ともにNew Manual/ニューマニュアル>タイ 参考商品<FAIRFAX/フェアファックスコレクティブ>ベルト ¥8,800<Tory Leather/メイデン・カンパニー>

古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ)

レギュラーシーズン最優秀インプレッシブ選手(MIP)に輝いた古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ)。「数多くの選手からこの賞に選ばれたのはファンのみなさんのおかげなので、本当にうれしいです。記録に残るプレイと記憶に残るプレイの両方を目指します」

ジャケットは、東京コレクションでも話題の「SUGARHILL」。Z世代のデザイナーである林陸也が解釈するデニムは、エネルギーに満ちあふれ、デニム界に新風となりそうな予感。そこに合わせたのは、頂点にして原点、1950年代の501XXのリアル・ヴィンテージだ。新進気鋭のデザイナーとヴィンテージの組み合わせから生まれるコントラストに注目を。

ジャケット ¥54,450<SUGARHILL/4K>パンツ ¥99,800<LEVI’S(ヴィンテージ)/ハンドレッド バイヤーズ>タイ ¥41,800<TIE YOUR TIE/タイ ユア タイ>

西田優大(シーホース三河)

新人賞に輝いた西田優大(シーホース三河)。「今シーズンは新人賞を目標にしていたので、受賞できてうれしいです。僕らのような若い世代ががんばることで、B.LEAGUEとバスケを盛り上げていきたい。来年は、また別の形でアワードに呼ばれたいと思います」

9月に再度予約販売を開始予定だという「Johnmungdemim」は、ジョン万次郎ゆかりの土佐清水市が、ヴィンテージ・デニム・アドバイザーの藤原裕とJEANSFACTORY、そしてウエアハウスとトリプルコラボしたデニムプロジェクトで、1880年のブラウス(Gジャン)を範にしている。コーディネートを担当した『GQ JAPAN』の森口は、自身のSNSのフォロワーから「西田選手とジョン万次郎が同じ四国出身だからですか?」というメッセージをもらったそう。「ナイス・アイディア!! 偶然ですが、そういうことにしておきます」と返信したという。

ジャケット 参考商品<Johnmungdenim/ウエアハウス>パンツ ¥217,800<LEVI’S(ヴィンテージ)/フェイクアルファ>タイ 参考商品<FAIRFAX/フェアファックスコレクティブ>

田臥勇太(宇都宮ブレックス)

優勝した宇都宮ブレックスのキャプテンとして表彰されたレジェンド、田臥勇太。「チームを代表していただきました。チーム全員とファンの方と一緒に勝ち取った優勝なので、心からうれしいです」

大阪のカジュアルブランドDEVISE FACTORYのデニムシャツとジーンズを着こなした田臥。合わせたジャケットは、ラングラーの60sヴィンテージジャケット「111MJ」(セカンドモデル)だ。この片ポケットのジャケットは、やや丈が長いため、ドレッシーな雰囲気。常道のオックスフォードのシャツではなく、デニムのシャツ&ボウタイと合わせることによって新鮮な雰囲気に。

シャツ ¥24,200、パンツ ¥24,200<DEVISE FACTORY/ディバイスファクトリー>タイ ¥13,200<giraffe/スマイルズ> ジャケットはスタイリスト私物

中山拓哉(秋田ノーザンハピネッツ)

ベストタフショット賞、レギュラーシーズン最優秀インプレッシブ選手、そして「バスケットLIVE」On Fire大賞と、3つのアワードに輝いた中山拓哉(秋田ノーザンハピネッツ)。「大変に光栄ですが、ここに満足せずに自分とバスケに向き合い、さらに成長した姿をお見せしたいと思います」

ジーンズは、富山のヴィンテージショップ「Matin」のオリジナルで、大戦時代のデニムを復刻させた1本。合わせた色落ちの良いカバーオールは、「HERCULES」のリアル・ヴィンテージ。「HERCULES」はデニムの3大ブランドから外れるマニアックなブランドだけれど、それだけに、アメリカのデニム産業の裾野の広さを感じる。「Matin」のような優れたショップが富山にあることは、日本のデニム文化の層が厚くなっていることの証拠だろう。

ジャケット 参考商品<HERCULES/10Rivet>パンツ ¥36,080<Matin/マタン>シャツ ¥20,900<Brooks Brothers/ブルックス ブラザーズ ジャパン>タイ ¥26,400<TURNBULL & ASSER/ヴァルカナイズ・ロンドン>

宮崎恭行(ファイティングイーグルス名古屋)

キャプテンとしてファイティングイーグルス名古屋をB1昇格に導いた宮崎恭行。「いままでともに戦った仲間と、ファン、そしてブースターに感謝します。愛知県で4クラブ目のB1チームということで、名古屋ダービーなど、名古屋からB.LEAGUEを盛り上げたいと思っています」

ジーンズは、尻ポケットがアーキュエイトステッチになった、「Lee 101 Cowboy」の大戦モデルで、今回コーディネートしたアイテムのなかで最高額となる100万円オーバーの超希少品。同じく大戦期のジャケット「Lee COWBOY JKT WWII-2nd」を復刻した人気ブランドNEXUSⅦ.の1着を合わせ、日米のデニムの歴史を融合させた。

ジャケット 参考商品<ネクサスセブン>パンツ ¥1,100,000<Lee(ヴィンテージ)/ベルベルジン>タイ ¥15,400<giraffe/スマイルズ>

磯野寛晃(熊本ヴォルターズ)

「バスケットLIVE」On Fire大賞を受賞した磯野寛晃(熊本ヴォルターズ)。「シーズンを通してのFire(応援機能による応援)をありがとうございました! みなさんのおかげで、すばらしいアワードに参加することができました」

当時の生地を分解・解析することが得意なこだわりのブランド「ジェラード」。こちらは彼らが復刻した大戦時代のデニムジャケットだ。物資が困窮していた時代のモデルが原型なので、余計な生地を使わないようにポケットにはフラップがない、いま市場でもっとも人気のあるカタチ。薄×濃のバランスを考えつつ、同じくジェラードのジーンズを合わせた。

ジャケット ¥40,480、パンツ ¥30,250<ともにJELADO/ジェラード>

富樫勇樹(千葉ジェッツ)

B.LEAGUEの開幕から6年連続でベストファイブに選出された富樫勇樹(千葉ジェッツ)。「毎年同じことを言っているような気もしますが、ファン・ブースター、スタッフ、そしてチームメイトのおかげなので、心から感謝しています」

千葉ジェッツのスーパースターである富樫選手に敬意を評して、千葉の「YMFACTORY」がアメリカ陸軍のプルオーバーデニム&デニムパンツをモチーフにしてオリジナルで作ったアイテムを選んだ。そこに、1940年代のアメリカ海軍のヘチマジャケットをコーディネート。

ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)

2年連続で4回目の受賞と、すっかりB.LEAGUEの顔となったニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)。「チーム関係者のみなさんのおかげで、今シーズンもこの場に立つことができました。もう若くはないですが、またここに呼ばれるように努力を続けます」

オーバーサイズのジャケットが大ブームになっていることから、身長207cmのニックにぴったりのサイズの商品も増えている。507XX(通称セカンド)のジャケットはサイズ46でニックにジャストフィット。ジーンズのL36もドンピシャで、まるでオーダーメイドしたかのよう。

ジャケット ¥38,500、パンツ ¥30,800<ともにLevi’s®︎ Vintage Clothing/リーバイ・ストラウス ジャパン>タイ ¥14,300<giraffe/スマイルズ>

ドウェイン・エバンス(琉球ゴールデンキングス)

最高勝率でチャンピオンシップに進出した琉球の原動力となったのが、ドウェイン・エバンス(琉球ゴールデンキングス)。「キングスは激しくプレーして、ファイナルまで健闘しました。クラブ、スタッフ、チーム、ファンのみんな、本当にありがとうございました」

ジャケットはLee 101の復刻モデル。ニックと同様に、デカGジャンブームのおかげでサイズには困らなかった。パンツはリアル・ヴィンテージで、Leeというブランドの歴史がこのコーディネートには詰まっている。

ジャケット ¥16,500<Lee/エドウィン・カスタマーサービス>パンツ ¥87,780<Lee(ヴィンテージ)/ベルベルジン>タイ 参考商品<FAIRFAX/フェアファックスコレクティブ>

クリストファー・スミス(千葉ジェッツ)

チームの得点王として活躍し、ベスト6thマンを受賞したクリストファー・スミス(千葉ジェッツ)。「すばらしいチーム、最高のファンに支えてもらい、たくさんの愛を感じました。来年もハードワークする準備ができています」

スミス選手はラングラーでコーディネート。1950年代のセットアップを復刻したジーンズは左綾織りで、柔らかな着心地が特徴。右綾織りのリーバイスとはまた異なる魅力がある。

ジャケット ¥19,360、パンツ ¥14,520<Wrangler/エドウィン・カスタマーサービス>タイ ¥16,500<giraffe/スマイルズ>

Photos: Utsumi

Hair:Chika and artifata team

Make-up:Tomoe and artifata team

Styling :Noriaki Moriguchi 

Styling Support:Atsushi Tanabe

Words:Takeshi Sato