コンテンツにスキップする

りそなHD社長、地域金融機関への出資も選択肢-資本活用ステージに

  • 重要なのは「ウィンウィン」の関係、システムやデジタルでの連携も
  • 今期から総還元性向50%目指すと南社長、追加の自社株買いも視野

りそなホールディングスの南昌宏社長は、公的資金完済から8年が経過し、蓄積してきた「資本の活用ステージに入る」と述べ、地域金融機関への出資なども選択肢に、グループ収益力を強化する方針を明らかにした。

Resona Holdings President Masahiro Minami Interview
りそなHDの南昌宏社長(22年11月)
Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  南社長はブルームバーグとのインタビューで、2026年3月期までの新たな中期経営計画について「これまでとは違うスタートラインに立てた」と述べた。地域金融機関と資本提携した場合、「その先にいる顧客とわれわれが地域を介在してつながることで提供できる価値がある」と、提携先の収益力向上に意欲を見せた。

  りそなHDは、普通株式等Tier1(CET1)比率が目標としてきた10%程度を23年3月末で達成した。今後は収益拡大に向け資本を投下して自己資本利益率(ROE)8%(23年3月期は約7.7%)を目指す。

  地域金融機関などとの提携について南社長は「ウィンウィンの関係が築けること」が重要だとし、関西みらいフィナンシャルグループのような子会社化のほか、システムを軸にした連携や、金融デジタルプラットフォームを使う戦略的提携など「いろいろなタイプがある」と語った。

  一方、南社長は異業種との提携の可能性にも言及。「金融に近い分野で、バンキングとその親和性が高くシナジーが出やすい分野や、東南アジアの成長の果実が期待できる分野を検討したい」と話し、クレジットカード、証券、保険、決済関連などを具体例として挙げた。

     りそなHDは21年4月に株式交換によって関西みらいFGを完全子会社化した。20年3月期には39億円だった関西みらいFGの純利益は、23年3月期には222億円に拡大した。

  南社長は、関西みらいFGの子会社化について、迅速な意思決定により、「1年で事務システムを統合し、大きくコストダウンを図りながら、早く果実を取れる準備ができた」と振り返った。りそなグループの信託・不動産機能や戦略的商品が提供できるようになり、システム統合の効果も相まって、収入増加とコスト削減を同時に進められたという。

総還元性向

  りそなHDは新中期計画で総還元性向について、従来の「中期的に40%台半ば」から「50%程度」に高めることを目指している。南社長は「今期からそれ(50%)を視野に入れている」とし、26年3月期を待たずに目標を達成したい意向を示した。

  ただ、今期計画では純利益1500億円に対して予想配当性向は34.6%(総配当額は約519億円)。100億円を上限として実施予定の自社株買いを加味しても、総還元性向50%には約130億円足りない。南社長は「状況がまだ不透明だが、当然、第二の矢も視野に入っている」と述べ、追加の自社株買いなどの可能性も示唆した。 

  りそなHDでは還元原資を確保した上で、利益や自己資本を事業拡大などに回す方針。既存の経営資源を利用した収益拡大策として南社長は、「良質な貸出債権」の増加を目指すとした。

関連記事:

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE