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イザベル マランが描く、ソフトでタフな女性像【2023年春夏 パリコレ速報】

パンク、ボーホー、グランジと、ありとあらゆるムードをミックスしたイザベル マラン(ISABEL MARANT)の2023年春夏コレクション。より多くの女性が自分自身を重ねることができる、ソフトでタフなムードで共感を誘った。
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

9月29日(現地時間)、少し肌寒さを感じるパリの夜。曇り空を吹き飛ばすかのように、イザベル マラン(ISABEL MARANT)の2023年春夏ショーが開催された。常に人生を楽しく受け入れることを表現してきたこのブランドは今季、そのアプローチをさらにブラッシュアップ。ありとあらゆるムードをミックスすることによって、より多くの女性が自分自身を重ねられるスタイルを提案した。

“ソフト”と“タフ”が共存する服

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

今シーズン、デザイナーはいわばベーシックに回帰。レーベルを立ち上げた90年代半ばから2000年代初期に至るまでの道のりを振り返りながら、自身のパーソナルな過去を見つめた。そうして生まれたのが、少しグランジでボーホー、そして限りなくクールな全く新しいムードだ。

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

一つひとつのルックはデザイナーの感性を映し出す白紙のキャンバスのようで、そこにはパンク、ヴィクトリア朝、サーフ系など、さまざまな気分がミックスされていた。「女性の脆さのようなものを表現したかったのですが、それでもちょっとした戦士のような力強さを意識しました」と語った彼女は、ソフトな印象とタフなムードを織り交ぜたエネルギー溢れるルックを展開した。

イザベル マランという鏡

Photo: Filippo Fior / Gorunway.comv

マランは、誰よりも早くケイト・モスの魅力を見出した写真家、故コリーヌ・デイの作品にも触れた。彼女はその短すぎるキャリアにおいて、女性たちのありのままの姿を映し出すことに全力を注いだ人物。デイの作品のように、誰もが自分自身を重ねることができる──これこそが、イザベル マランの真骨頂だ。

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

どこか懐かしさを感じさせるレーサーバックのタンクトップや、繊細な輝きを放つフローラルのシルクドレス、着古したような風合いを持ったレザーのセットアップやバイカーパンツは、現代女性の心を刺激する。また、ジジ・ハディッドが着用したオーバーサイズのジャケットやカーゴパンツは、このコレクションのキラーアイテムに挙げられる。

手仕事へのこだわり

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

オーガンザのキャミソールに散りばめられた小さなパールや、ブラウスに施されたマクラメなど、ふんだんに盛り込まれた職人技にも注目したい。決して主張することのない控えめなディテールには、マランが考えるファッションへの想いが込められていた。「私はいつも、手仕事が生み出すものに感銘を受けてきました。ファッション業界について考える時、私は常にそれを支えるクラフツマンシップに目を向けています」

※イザベル マランの2023年春夏コレクションをすべて見る。

Text: Mark Holgate Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.COM