IMF専務理事の関与指摘、世銀「ビジネス環境の現状」不正調査
Eric Martin-
ゲオルギエワ氏が中国の順位を上げるよう圧力かけたと報告書は指摘
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調査結果に同意できないとゲオルギエワ氏、米財務省は分析中
世界銀行の年次報告書「ビジネス環境の現状」を巡る調査報告書は、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事が世界銀行の最高経営責任者(CEO)だった当時、中国のランキングを上げるよう内部で圧力をかけたと指摘した。
ゲオルギエワ氏は調査結果には同意できないとしている。同調査報告書は世銀の指示により法律事務所ウィルマーヘイルがまとめた。
世銀は声明で、「ビジネス環境の現状」報告書を巡る調査で深刻な倫理上の問題が見つかったため、同報告書の完全な廃止を決定したと明らかにした。
世銀は昨年12月に発表したレビューで、2017年10月に発行された18年版報告書での中国のランキングは78位ではなく、本来は7つ下の85位であるべきだったと報告していた。
今回の調査報告では、18年版における「中国のデータ変更は世銀指導者から『ビジネス環境の現状』チームに対する2種類の圧力の産物と思われる」と指摘。「世銀の増資の取り組みで中国が重要な役割を果たすと期待されていたのと同じ時期に、中国のランキングを上げるために同国のデータポイントに具体的変更を加えるよう」ゲオルギエワCEOと同氏のアドバイザーによる「圧力」があったと記した。
これに対し、ゲオルギエワ氏は「データ不正調査の結果と解釈には全く同意できない」との声明を発表。「この問題ではすでに、IMF理事会に初期報告を行っている」と述べた。
事情に詳しい複数の関係者によると、ゲオルギエワ氏は16日、このニュースが報じられる前に会合でIMF理事会に対し、同調査報告が近く公表されるが、自分は通常通り仕事を続けるつもりだと伝えた。
またこの問題の協議が非公表だとして、これら関係者が匿名で明らかにしたところでは、ゲオルギエワ氏の疑惑は世銀に在職中のものだったが、この問題はIMF理事会内の倫理委員会に付託されているという。
米国の反応
米国のIMFや世銀への関与を統括する米財務省は同調査報告書を検討中だと表明。同省のラマンナ報道官は「これは重大な調査結果であり、財務省は同報告書を分析している」とした上で、「われわれの主要責務は国際金融機関の品位を維持することだ」と述べた。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官もその後、これは懸念を抱かせる問題だと指摘し、米政権はIMFのような国際機関の品位維持にコミットすると語った。
事情に詳しい複数の関係者によると、ゲオルギエワ氏は17日に全職員が参加する会合で同調査報告書に言及する見込み。IMFの報道官は同会合について、来月のIMF・世銀年次総会に先立ちIMF政策の優先課題を話し合う目的で予定されていたと説明した。
中国外務省の趙立堅報道官は北京で17日開いた定例記者会見で、「世銀は『ビジネス環境の現状』報告書の専門性と権威、世銀および加盟国の評判をよりよく守るために問題の調査に際して内部の検証手続きに従う」べきだと主張した。中国政府はビジネス環境の改善を極めて重視しているなどとも述べた。
原題:IMF Chief Risks Weakened Authority After China-Linked Probe (2)、IMF’s Georgieva Cited in World Bank Probe of Business Rankings