BEAUTY / EXPERT

「目の下のクマ」にまつわるA to Z。 美のプロが教える8つの改善法

睡眠不足やストレス、目の疲れなどさまざまな要因によって引き起こされる目の下のクマ。改善法や上手にカバーするメイクティップス、美容医療での対処法を、UK版『VOGUE』が専門家たちに聞いた。

花粉シーズンは特に注意! 目の下のクマができる原因を医師が解説

疲れた印象を与えてしまう目の下のクマの原因は、ストレスや食生活の乱れ、そして疲労と考えられている。美容外科医のマリアム・ザマーニ博士は「クマができる原因はさまざまです。一般に言われている疲労だけが原因ではありません。複合的な要素が絡んで引き起こされるのです」と語る。

色素沈着も目の下のクマの主な原因の一つだ。これは日光、喫煙、睡眠不足など外的環境要因と、遺伝の両方によって引き起こされるとされている。「アジア系やアフリカ系の人は、下まぶたの皮膚が非常に薄いという遺伝的特徴があり、目の下に色素沈着を起こしやすいと言われています。また、皮膚が薄いため静脈が透けて見え、結果的に黒ずんで見えてしまうのです」と博士は説明。

季節性のアレルギーや鼻づまりも下まぶたの血行を悪化させ、静脈の拡張を招くことがあるそうだ。「目の下の静脈が拡張すると、暗い部分がより大きく濃くなります」と、皮膚科医のデニス・グロス博士は指摘する。さらに、加齢とともに目の下の脂肪やコラーゲンが減少することも、目の下のクマの大きな原因となるという。

Photo: Dmitry Ageev / Getty Images

現代社会ではノートパソコンや携帯電話、テレビ等の画面を長時間見つめることが多く、これが目の下のクマ発生の大きな要因となっている点も見逃せない。画面を見る時間がながければ長いほど目に負担がかかりやすくなり、目の周りの血管が太くなって、暗い影ができやすくなってしまうのだ。

グロス博士は、目の下のクマの原因を突き止めるために有効なのが“ピンチテスト”というチェック法だと言う。「皮膚をつまんで表面から持ち上げてみてください。つまんだ箇所が茶色のままであれば色素沈着があると考えられます。一方、血色が良く見える場合は、静脈の拡張の問題がある可能性が高いです」

では、実際に目の下のクマを改善するためにはどうすればいいのだろう? 具体的な対策法を専門家とともに探ってみよう。

Tips.1 健康的な食べ物を摂る

「目の下のクマを改善するためには、まず食生活を徹底的に見直しましょう」と語るのは、ポーラズ・チョイス・スキンケアの創始者であるポーラ・ベグンだ。「中でも新鮮なフルーツや野菜、全粒粉、そして赤身のタンパク質等、健康的で栄養価が高い脂肪と高い抗炎症力を持つ食べ物を日常的に摂取しましょう。目もとのみならず、全身の肌の改善が期待できます」

Photo: Ania Lamboiu / 500px / Getty Images

「クマを解消、または悪化させない効果が期待できる野菜や果物を意識するのもよいでしょう。トマトにはリコピンという抗酸化物質が含まれており、血行を促進し、血管を保護する働きがあるので、たくさん食べましょう。ほかにもブルーベリーやスイカ、オレンジ、ビートルートなどがおすすめです」

一方で、毎晩ワインを飲んだり、食後のエスプレッソなどは控えたほうが良い、とグロス博士は語る。「赤ワインやカフェインの摂取を控えると、目の下のクマが改善する場合があります。また、脱水状態の肌は、より目の下のクマを目立たせ、目元全般を浅黒くする可能性があります。ですから、たくさんの水を飲むことも有効でしょう」

Tips.2 良質な睡眠で目の下のクマを軽減

「目の下のクマは睡眠不足だけが原因でできるわけではありません。ですが、睡眠不足でクマが目立つことはあります」とベグンは指摘する。「翌朝顔色が悪くなったり、寝不足で不調にならないためにも、十分な睡眠時間を確保しましょう。また、睡眠時に頭を少し高くして仰向けに寝ると、むくみを最小限に抑えられます。そして、スマホやタブレットは一日中夜間モードで使用するのがおすすめです。自然な睡眠サイクルを乱すブルーライトをカットできるからです」

Photo: fizkes / Getty Images

Tips.3 タバコは控え、生活習慣の見直しを

タバコをできる限り控えることも推奨するとベグン言う。「タバコや副流煙を吸いこむと、目の下のクマが悪化することが研究で明らかになっています。そして肥満や高コレステロール、中性脂肪も同様で、いずれも食事や薬、運動を取り入れるなどして減らすことができます。つまり、健康上良いことは、目の下のクマの改善にも有効なのです」

Tips.4 サンスクリーンは必須

肌の色素沈着を防ぐために、毎日サンスクリーンを塗布するのを忘れないようにしよう。「太陽への肌の露出を減らすためにも、UVAとUVBをカットするサンスクリーンをまつ毛の生え際まで丁寧に塗り、サングラスを併用するのがおすすめ」とザマーニ博士は話す。目もとの肌の保護と色ムラのカバーを同時に行いたい場合は、サラ・チャップマン(SARAH CHAPMAN )の「SKINESIS EYE INSURANCE SPF30 SERUM 15ML」のような、SPF値表示のあるコンシーラーを使うのも有効なのだそう。

Tips.5 アイシングで目もとをクールダウン

目もとの膨張した血管を収縮させるためには、氷が有効だ。冷凍庫に入れて冷やしたアイスグローブやクライオボールを優しく肌に当てクルクル動かすと酸素が行き渡り、むくみが改善される。目の下のクマが薄くなる効果が期待できるのと同時にリフレッシュもできる。おすすめはフレッシュール パリ(FRAÎCHEUR PARIS)の「Facial Ice Globes」だ。

Tips.6 目の下のクマに効果的な成分をスキンケアに取り入れて

数あるスキンケア製品の中にも、目の下にクマに有効なアイテムがある。「カフェイン、ヒアルロン酸、トリペプチド、そして水分をキープするセラミド等が配合された製品がおすすめです」とザマーニ博士。一方グロス博士は「ビタミンCは静脈と皮膚を隔離するようコラーゲンの構築を促進し、ヒアルロン酸は皮膚をふっくらさせる効果がある」ことから、ヒアルロン酸とビタミンCのコンビネーションも有効だと語る。中でもおすすめは、ドクターデニスグロス(DR DENNIS GROSS)の「C+ Collagen Brighten & Firm eye cream」とエムジースキン(MZ SKIN)の「Soothe & Smooth Collagen Activating Eye Complex」だという。

Tips. 7 プロ直伝のメイクテクニックでクマを補正

目の下のクマを一瞬で改善するにはコンシーラーが有効だ。そのテクニックを、M・A・C (メイクアップ アート コスメティックス)のグローバルシニアメイクアップ・アーティストのクレア・マラディーガ教えてくれた。

「目の下のクマのカバーの一番のポイントは、色補正です。まず、カバーしたい部分の肌色をよくチェックしてください。暗くてブルーもしくはグレーがかった色をしている場合に有効なのが、“ピーチ色”などの暖色系のコンシーラーです。もしピンクや赤みがかっているようなら、イエローベースのコンシーラーで中和するといいでしょう。そして、コンシーラーを目もとに塗布するときは、あくまでも薄く塗ること。決して厚塗りせず、適切なトーンのコンシーラーを薄いベールのように塗布してください。これだけでかなり見た目の印象が変わります」

もしコンシーラーを使ってもあまり見た目が変わらないようなら、光のトリックを試してみることもおすすめだとマラディーは言う。「例えば『プレップ プライム ハイライター』など繊細な光のリフレクションを利用したアイテムなら、光でぼかすこともできます。特に目頭の内側のクマ解消に有効です。ハイライターを使う場合、塗りすぎるとかえって目の下を強調する結果に。上瞼に軽くパウダーをのせるだけで十分です」

Tips. 8 美容医療で目の下のクマにアプローチ

セルフケアやメイクでも納得できる仕上がりを手に入れられないなら、美容クリニックで治療を受けるのも一つの手。代表的な手法として、以下の4つのメニューが挙げられる。

1. ケミカルピーリング
目の下のクマの原因が涙袋の色素沈着だと判明した場合は、ケミカルピーリングが有効な可能性がある。その理由を、クリニック「Skin55 Dermatology」の皮膚科医、アンジャリ・マフト博士はこう説明する。「ケミカルピーリングは、肝斑や老人斑を含む様々な顔の色素沈着の治療方法です。ですが、ディープピーリングは、瘢痕化と色素沈着の悪化のリスクが懸念されることから、目もとへの適用は本来避けるべきです。一方で乳酸、マンデル酸、グリコール酸といった一般的に使用されるピーリング剤を使って、時間をかけて少しずつ目もとの皮膚を剥離すれば、目の下のクマをある程度改善することが期待できます」

2. レーザー治療
また、マフト博士はレーザー治療も有効だと語る。「QS-ルビー、QS-アレキサンドライト、1064 Nd:ヤグ、1550nm フラクセル等、色素をターゲットとするレーザーも有効です。これらは目もとに使用できるのですが、目はレーザー損傷に弱いため、治療には経験豊富な施術者が行うことが必須。数回に分けて治療することになります」

3. マイクロニードル
マイクロニードルとは、極小の針を用いて皮膚に極小の穴を開ける最小侵襲治療法だ。針で小さな穿孔を開けることにより、皮膚細胞が本来持つ修復能力を促進しつつ、目もとに明るさをもたらすことから、目の下のクマの改善に有効だとマフト博士は言う。「マイクロニードルはピーリング剤の浸透力を高めることから、しばしばケミカルピーリングと組み合わせて施術する場合があります。施術時は麻酔クリームを使用しますから、痛みや不快感も最小限に止めることはできます。ですが、目の周りの皮膚は薄いので、術後の赤みや腫れが引くまでのダウンタイムが数日かかる場合があります」

4. 涙袋フィラー
もし、これまで述べてきたスキンケアやメイクアップでも改善できない場合は、注射等を含む革新的な治療法も考慮したい。目の下のクマは、涙袋が浅くなり、目頭の眼窩骨が目立つようになることで引き起こされることあることから、フィラーの使用で改善される場合が多い、とザマーニ博士は言う。「涙袋フィラーは、目の下のクマの改善に有効な非外科的治療法です。主に用いるのがレスチレンやジュビダームといったヒアルロン酸フィラー注射です。これにより、目の下のクマのできやすい部分の皮膚をふっくら押し上げ、血管を目立たなくします。同様の注入法として、自身の血小板を濃縮・活性化した多血小板血漿療法(PRP)も推奨することがあります」

Text : Hanna Coates, Tish Weinstock Translation : Masami Yokoyama
From VOGUE.CO.UK