コロナ禍の経済政策、党改革、対中政策で論戦-自民総裁選が告示
延広絵美-
岸田・河野・高市・野田の4氏が届け出、29日投開票
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衆院選の顔選び、大半の派閥が投票先縛らず-複数女性の立候補は初
自民党総裁選が17日告示され、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長に高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4人が立候補した。複数の女性が立候補するのは初めて。
投開票は29日で、新総裁は10月4日召集予定の臨時国会で首相に選出される。 午後3時から始まった共同記者会見では、各候補は以下のように回答した。
- 河野氏
- 直後に総選挙がある。国民からの支持が最大の争点になる
- 防衛費は無尽蔵に増やせないが最低限必要な予算は確保
- 岸田氏
- 最大のテーマは、自民党の信頼回復、改革
- 中国がTPPの高いレベルの要求受け入れられるか見たい
- 高市氏
- さまざまなリスクの最小化に対する取り組みが争点になる
- コロナ禍、2%物価目標未達成で増税は考えにくい
- 野田氏
- 争点はコロナウイルスとの対峙
- 中国のTPP参加、前向きに検討すべき
今後の日程 | |
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9月18日 | 日本記者クラブ主催 公開討論会 |
9月20日 | 青年局・女性局主催 公開討論会 |
9月23-26日 | タウンミーティング(オンライン) |
9月29日 | 議員投票および開票 |
10月4日 | 首相指名の臨時国会召集予定 |
間近に迫る衆院選に向けた「選挙の顔」選びとなるため、派閥単位ではなく自由な判断で次のリーダーを選ぶべきだとする中堅・若手議員の動向が結果を左右する。派閥領袖(りょうしゅう)の号令で菅首相誕生への流れが決まった昨年の総裁選から一転し、大半の派閥が投票先を縛らない方向だ。
岸田氏は自身が率いる岸田派が結束、河野氏は出馬を見送った石破茂元幹事長や小泉進次郎環境相らが支持を表明している。高市氏は安倍晋三前首相が支援する。野田氏は推薦人の確保が難航していたが、16日夕に出馬を表明した。
各候補は、安倍政権から約9年続く「アベノミクス」との距離感やコロナ後の戦略、エネルギー政策などで立場に違いがみられる。
総裁選は国会議員票383票と全国約110万人の党員・党友票383票の計766票で争われる。1回目の投票で有効投票数の過半数を取る候補がいなかった場合は、上位2人で国会議員と都道府県各1票による決選投票を行う。
朝日新聞が11-12両日に実施した世論調査では、次の総裁にふさわしい人として河野氏33%と首位。石破氏が16%、岸田氏が14%、高市氏が8%、野田氏が3%だった。
野田氏「首相になれば閣僚の半分を女性にする」(午後2時20分)
野田氏は初の女性首相になれば、閣僚の半分を女性にすると表明。議員定数の大幅削減を進めるべきだとも主張した。自民党の強さは多様性とした上で、「主役にならない人に向けた政策が十分ではない」と話した。
- ベースロード電源としての原発の重要性は高い
- 子ども庁創設し、子どもへの投資進める
- 経済、安保問題として扱い人口減少を止める
- 全ての働く人に現金の一律給付を行う-コロナ対策
高市氏「物価目標2%の達成を目指す」(午後2時3分)
高市氏は「国の究極の使命は国民の生命と財産を守り抜くこと、領土、領海、領空、資源を守ることそして国家の主権と名誉を守り抜くことだ」と述べた。
- 金融緩和、緊急時財政出動、大胆な危機管理、成長投資する
- 雇用を守るための大胆な財政支援行う-コロナ対応
- 給付付き税額控除の導入を目指す
- 経済安保包括法制定することを検討
- 中国海警法に対応し海保法の改正に取り組む
- 金融などの分野のサイバー防御態勢を樹立
- 小型核融合炉の開発を急ぎ国が大型支援
- 省庁再編し、環境エネルギー省、情報通信省の創設検討
岸田氏「俺が正しいと国民をねじ伏せる政治ではない」(午後1時40分)
岸田氏は「俺が正しいと国民をねじ伏せる政治ではない」「多様な声を真摯に受け止める寛容の政治が求められている」と「全員野球」を強調した。
- 数十兆円規模の経済対策を実行する
- 新自由主義的政策を転換する
- スタートアップの徹底支援を通じ新産業を創出
- 令和版所得倍増を目指す
- 台湾海峡などの課題に米国などと共に毅然と対応
- 格差に向き合い多くの人の所得を引き上げる
河野氏「いつの日か再生可能エネルギー100%」(午後1時23分)
最初に演説した河野氏は、エネルギー政策に関して「いつの日か、再生可能エネルギー100%で回していくことも絵空事ではない」と説明。経済対策に関して「GDPギャップ22兆円を何とか埋めないといけない」と述べた。
- 企業の利益から個人の所得に視点移す時期に来ている
- 地方に移った企業の法人減税をやってもいい
- 労働分配率上げた企業に法人減税
- 年金の改革をやらなくてはならない
河野氏が演説を開始(午後1時)
所見発表演説会は届け出順に河野、岸田、高市、野田各氏が20分間、自らの政策を訴える。
岸田陣営が出陣式(午前11時30分)
岸田陣営の出陣式には国会議員60人が出席。このほかオンラインでの参加もあった。岸田氏は昨年の総裁選で敗北した後、1年間多くの人の声を聞いてきたとした上で、「今の時代が求めているリーダーは私だ」と訴えた。
河野氏が会見(午前10時55分)
河野氏はオンライン形式で陣営の出陣式を開催。その後、ワクチン接種を進める行政改革担当相として記者会見に臨み、「こういう感染状況の中でできる限り、密になる状況は総裁選挙といえども避けたいという陣営の思いでやってみた。うまくいった」と述べた。
西村経済再生担当相が高市氏支持を表明(午前10時50分)
西村康稔経済再生担当相は高市氏の推薦人代表となった。09年に西村氏が総裁選に出馬した際、高市氏が推薦人となった恩を返した形。会見では「政治理念、経済対策、さまざまな分野で私と考え方が共有できる部分が非常に多くある」と話した。
告示・立候補届け出(午前10時)
自民党本部で行われた届け出には4陣営から推薦人の代表者が2人ずつ出席。コロナ禍で全員がマスク姿だった。抽選の結果、届け出は河野、岸田、高市、野田の順番で行われた。
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