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中国人女優ファン・ビンビンの矜持──パリコレ・クチュールショーで魅せた圧倒的美貌(Mayumi Numao)

パリコレ、2023年秋冬オートクチュールは中国人女優ファン・ビンビンがランウェイもフロントローも盛り上げてくれた。2018年に起きた巨額脱税騒動から5年。“チャイニーズ・モンロー”の異名をもつ彼女の突き抜けた美貌を、ファッションショーとカンヌ国際映画祭のレッドカーペット写真で振り返る。

プリンセスドレスで堂々とウォーキング

ジョルジュ・オベイカ(GEORGES HOBEIKA)の2023年秋冬オートクチュールコレクションより。

オートクチュールコレクションは、繊細な職人技が紡ぎ出す極上のファンタジーだ。膨大な時間をつぎ込み丁寧な手作業を施したドレスはそれだけでも十分に美しいが、それを纏うモデルの存在感が加わればいっそう優美なオーラを放つ。

2023年秋冬オートクチュールコレクションにおいて、その役割を担ったのが中国人女優のファン・ビンビンだ。レバノンのファッションデザイナー、ジョルジュ・オベイカGEORGES HOBEIKA)のショーにモデルとして出演し、淡いパステルブルーのシルクシフォンが幾重にも重なったボリュミーなドレスで圧倒的なウォーキングを披露した。彼女のファン目線で見ると、プリンセス風の可憐なデザインはいささか物足りないように感じたけれど、オートクチュールの盛り上げ役として大いに観客を惹きつけたようだ。

耳もとには大ぶりのトンボ形ピアスが揺れていた。

ヴィクター&ロルフの“ピースマーク”ドレスでポップに

ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)のピンクドレスでいつもとは違った印象に。

ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)のショーではゲストとして参加。鮮やかなピンクに“ピースマーク”のアップリケが付いたドレスは、スポーティーな雰囲気が漂っており、ファン・ビンビンが普段選ばなそうなデザインだ。ストローがクルッと巻かれたようなポップなフープピアスも実に新鮮。そこに彼女の真骨頂である濃いめの妖艶メイクが遊び心をもたらしている。どんな装いでもメイクのテイストを変えない姿勢もブレていない。

オートクチュールの常連カーディ・Bとツーショット

キャラ強めのツーショットはSNSでも話題を集めた。

ガウラブ グプタ(GAURAV GUPTA)のフロントローでは、オートクチュールを大いに盛り上げるカーディ・Bが隣に着席。この日のファン・ビンビンは、比較的シンプルなブラックドレスをセレクト。陶器肌とレッドリップがよく映えていた。

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いつ見ても圧倒的!母国愛を感じずにはいられないレッドカーペット集

2023年のカンヌ国際映画祭にて。

ファン・ビンビンの突き抜けた美しさは、ランウェイよりもレッドカーペットでこそ真価を発揮する。記憶に新しいのが、今年5月に開催されたカンヌ国際映画祭での「吠える虎ドレス」。中国の伝統的な猛虎下山図を繊細な刺繍やスパンコールで施したデザインは、まさに他を寄せ付けない力強いオーラを放っていた。

2012年のカンヌ国際映画祭は髷のようなヘアスタイルを披露。

彼女のドレス選びには、一貫したルールがありそうだ。これまでも、猛虎のインパクトに匹敵する古代宮廷の王女モチーフや中国で縁起の良い象徴とされている龍など、自らのアイデンティティやルーツをドレスに落とし込んでいる。2018年に起きた巨額脱税騒動後は中国芸能界から姿を消したと言われているが、彼女の度肝を抜くスタイリングから母国への愛を感じずにはいられない。

荒波に龍が描かれた1着は彼女にしか着こなせない。2010年のカンヌ国際映画祭にて。

2011年のカンヌ国際映画祭では長寿のモチーフ「鶴」を選んだ。彼女の美貌も永遠なり。

2023年のカンヌ国際映画祭は比較的トーンを抑えつつも、やはり「登り龍」。

抜け感とは無縁!

神々しさにため息が出るドレススタイル。2023年のカンヌ国際映画祭より。

レッドカーペットの着こなしにおいて、多くの女優は「抜け感」や「引き算」を意識するものだが、ファン・ビンビンには無縁。むしろ、とことん盛りまくる。今年のカンヌ映画祭で披露した女神ルック(上の画像)は、伝統的なオートクチュールに新たな息吹を吹き込む新進気鋭の韓国人クチュリエ、ソーヒー・パークによるミス ソーヒー(MISS SOHEE)のドレス。煌めくビジューで作られたローズモチーフのセクシーなトップは、自ずと抜け感が出ても良さそうだが、この熱盛り感がたまらない。ファン・ビンビンは「こうでなくちゃ!」と思わせてくれる。

ブルーのグラデーションを描いたフェザードレスも圧巻。2023年のカンヌ国際映画祭より。

2015年のカンヌ国際映画祭はロマンティックモードだった。

花びらとフサフサのまつ毛でプリンセスを極める。

大輪の花を咲かせたブラックドレス。2023年のカンヌ国際映画祭より。

ついにはレッドカーペットを着用したかのようなドレス姿を披露。直線的なシルエットとノージュエリーでいっそう美しさをアピール。

ファン・ビンビン以上に、こんなにも観る者をワクワクさせる国際的女優がいるだろうか? パリコレ・オートクチュールは、ファンタジーに満ちたモードの祭典だ。来シーズンも圧倒的かつブレない美貌でオートクチュールシーズンに華を添えてくれることを期待したい。

Photos: Getty Images