マンハッタンで家賃急上昇、70%値上がりも-コロナ禍の値引きは霧消
Misyrlena Egkolfopoulou、Claire Ballentine新型コロナウイルス禍のニューヨーク・マンハッタンの賃貸住宅市場では、夢のようなアパートに移り住めるまたとない機会が訪れた。だがそうした機会はわずか10カ月で消え去った。
家賃が急落した昨年に契約を結んだ借り主を対象に、家主が家賃を大幅に引き上げているのだ。値上げ率は50-70%になることも多い。市場がほぼコロナ禍前の状況に大きく回復する中、一部の借り主は引っ越しを余儀なくされている。家賃の値引きを提供する物件は徐々になくなりつつある。
アンディ・カルモウィッツさん(24)が昨年11月、イーストビレッジ地区にある寝室2部屋とバスルーム2室が付いたアパートを月額2100ドル(約23万円)の家賃で10カ月間契約する際、二の足を踏むことは全くなかった。だが更新の時期が近づく中で、家主は新たな家賃として3500ドルを要求した。67%の引き上げだ。
カルモウィッツさんは「家主に理由を尋ねると、『これまでとは世界が変わった』との答えが返ってきた」と述べた。テレビ業界で働くカルモウィッツさんは、ニュージャージー州からマンハッタンに移ってきていた。
ストリートイージーによると、マンハッタンにおける7月の希望家賃の中央値は3000ドルに上昇し、2020年7月以来の高水準。コロナ禍での最低は2021年1月の2750ドル。
マンハッタン全体で見れば、家賃はなおコロナ禍前を下回っている。だがフラットアイアンやイーストビレッジ、ファイナンシャルディストリクト、ノリータといった特に人気の高いエリアでは、家賃はコロナ禍前を上回る水準に上昇している。不動産業者によれば、インセンティブを提供する家主もなおいるが以前ほど多くはなく、提供するとしても対象は新規契約のみで、更新は対象とならない。
カルモウィッツさんは家主との交渉を試みた。3000ドルを提案したが、家主が首を縦に振る様子はなかった。結局、ルームメートと共に10ブロック南のロウアーイーストサイドにある家賃3000ドルのアパートに引っ越した。その後、以前住んでいたアパートが家賃4500ドルで市場に出ていたのを目にしたという。だがそれから2週間もたたずにその物件は市場からなくなったと、カルモウィッツさんは語った。
原題:NYC Renters Face 70% Increases as Pandemic Discounts Disappear(抜粋)