日銀総裁、それ以外にいい方法ない-10年間の量的・質的緩和
伊藤純夫-
目標未達は大変残念、緩和継続で持続的・安定的な物価2%は可能
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緩和で経済刺激し労働市場をタイト化、日銀が特殊なわけではない
日本銀行の黒田東彦総裁は6日、過去10年間にわたり実施してきた大規模な量的・質的金融緩和(QQE)について「金融政策として、それ以外にいい方法があるとは思えない」との認識を示した。衆院予算委員会での答弁。
黒田総裁は就任直後の2013年4月に2%の物価安定目標を2年程度で実現すると宣言してQQEを導入したにもかかわらず、10年間も持続的・安定的な2%が実現できないのは「大変残念」と指摘。時間はかかるが、金融緩和の継続で実現可能とし、「引き続き経済をしっかり支え、企業が賃上げを行う下で2%の物価安定目標が安定的に達成されるよう努める」と語った。
日銀は12月会合で長期金利(10年国債利回り)の許容変動幅を従来の上下0.25%から0.5%に拡大する金融緩和策の修正を決めた。1月18日の会合では金融政策を維持したものの、物価上昇や4月の黒田総裁の任期満了を控えて市場には一段の政策修正への思惑が根強い。
総裁は2%目標が実現できていない理由について、デフレの長期化によって醸成されたデフレマインドの根強さなどを挙げた。金融緩和で経済を刺激し、労働市場をタイトにして物価や賃金が上がりやすい状況をつくることが必要だとし、「どこの中央銀行も同じように考えている。私どもが非常に特殊な考えを持ってやっていることではない」と述べた。
足元の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比上昇率は、日銀の目標を大きく上回る4%程度に伸び率を高めているが、ほとんどが輸入物価の上昇が消費者物価に転嫁されたものと説明。今年半ばにかけて物価上昇率は低下していき、2023年度の平均では「2%を割り込む見通しだ」との見方を示した。
他の発言
- 量的・質的金融緩和の導入、外部からの要請によるものではない
- 金融緩和の副作用にも配慮し、適切な金融政策運営に努める
黒田総裁は4月8日に任期満了を迎える。日本経済新聞は6日、複数の政府・与党幹部からの情報として、政府が黒田総裁の後任人事について、雨宮正佳副総裁に就任を打診したと報じた。雨宮氏はブルームバーグのエコノミスト調査で、次期日銀総裁の最有力候補とみられていた。報道を受けて、金融政策の大きな修正はないとの見方から市場は円安・株高で反応した。
日銀次期総裁、政府・与党が雨宮副総裁に打診する案で調整-報道
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