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ビッグテックの上昇続く、リセッションリスクで選好-MLIV調査

  • 2023年のリターン最高はクオリティー高い銘柄
  • アップルやマイクロソフトのロングポジションが有望

米経済のリセッション(景気後退)リスクが、低成長期にも利益と成長が見込める銘柄に投資家を向かわせ、今年の大型テクノロジー株の上昇は続く見通しだ。

  最新の「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」週間調査に参加した492人の約41%が、今年の投資で高いリターンを上げるこつは、収益力を重視する質の高い企業の株を買い、この点で期待外れの企業は売ることだと答えた。

  こうした投資にはアップルマイクロソフトのロング(買い持ち)ポジションが含まれる。これらの銘柄は市場が景気循環に敏感な業界を敬遠し成長株を買う中で上昇してきた。

Quality Stocks Are Expected to Generate Highest Returns

We asked: Which long/short factor do you think will have the highest returns in 2023?

Source: Bloomberg MLIV Pulse survey May 22-26 with 492 respondents

  投資家は金利と経済の方向について確信を得ないまま6月入りする。こうした環境では、割高であってもキャッシュフローが潤沢で収入の伸びが見込める銘柄の魅力が高まる。

  テクノロジー株中心のナスダック100指数は2021年末のピークから22年の底に至る下げの半分以上を取り戻した。人工知能(AI)が話題をさらう中でさらに勢いづいている。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチーフ株式ストラテジスト、ジナ・マーティン・アダムズ氏は「誰もあえて危険を冒したくはない」と述べ、「長い間投資の原動力だった大型テクノロジー株への異例の執着が見られる」と指摘した。

  MLIVパルス調査では、株式を買う際の勝ち組戦略として、モメンタムやバリュー、低リスク・ボラティリティー・ベータのファクターよりクオリティーが高スコアであることを示した。売る際の戦略はこの逆になる。

  一部のストラテジストは一段と強気だ。シティグループは先週、テクノロジー株を「オーバーウエート」、米国株を「ニュートラル」に引き上げた。AI絡みの追い風と連邦準備制度の利上げ終了を見込んでいる。

  テクノロジー株への投資集中は割高な株価水準を招いている。テクノロジーセクターはS&P500種株価指数の中で最も割高で、ブルームバーグ・インテリジェンスによれば株価収益率(PER)は22年1-3月(第1四半期)以来の高水準に近い。

  調査回答者はテクノロジーセクターがアウトパフォームすると考えているものの、ハイテク株投資は安くはない。BIの米クオンツ株式ストラテジスト、クリストファー・ケイン氏によれば、「多くの場合、値上がり予想は既に織り込まれている」という。

  それでも、会社側からの強気の発言がこれまでのところ楽観を支えている。AI向けプロセッサーへの需要見通しが市場予想を上回ったエヌビディアの株価は急騰した。投資信託は総じて買いに加わらなかったため、まだ買い余力があることが示唆される。

  市場全体を見ると、S&P500種は数年ぶりの狭いレンジでの取引となっており、調査回答者の過半数がわずかな動きまたは横ばいを予想した。

Retail Investors are More Optimistic About S&P 500

We asked: Where do you expect index to end the year?

Source: Bloomberg MLIV Pulse May 22-26 with 492 respondents

  エバコアISIのチーフ株式・クオンツストラテジスト、ジュリアン・エマニュエル氏は「今年後半のある時点でリセッションが始まると予想している。株式相場はまず下落し、その後反発して本質的に現水準に戻る可能性が高い」と話した。

  向こう1年の株式相場への第一のリスクとして42%の回答者がリセッションを挙げ、23%が金利を挙げた。 

  インフレ率は低下したものの依然として高く、信用環境は引き締まっている。一方、労働市場は比較的堅調な状態を維持し消費者も支出を続けている。

  BIのアダムズ氏は「これは通常の環境ではない。リセッション予想は投資家の思考プロセスを規定し視野を制限するユニークなシナリオだ」と述べた。

  リテール投資家は今後1年について、最も有望な資産として株式を選ぶ傾向がウォール街の金融機関よりも高かった。1カ月後の米国債利回りが今よりも高いか低いかについては両グループともほぼ半々に見方が分かれ、明瞭な見通しがないことが浮き彫りになった。

  「市場はより痛みの大きい方向に動く傾向がある。従って、皆が中立のポジションを組んでいるところで市場が上または下に動けば、投資家はその流れを追い、動きを増幅させるだろう」とアダムズ氏は話した。

  MLIVパルス調査はブルームバーグ・ニュースの読者を対象にブルームバーグの「マーケッツ・ライブ」チームが毎週実施。MLIVブログは同チームが運営している。  

  今週の調査は在宅勤務とオフィス復帰について質問する。雇用主がより多くのオフィス勤務を要求し始めたら転職するか、あなたの考えを聞かせてほしい。

  調査(英語)には匿名で参加可能です。こちらをクリックしてください。

(免責事項:ブルームバーグが提供するブログ形式の「マーケッツ・ライブ」に掲載された投稿記事です。投稿者の独自の視点を提供、投資助言を意図したものではありません。市場分析をご覧になるにはMLIV)

原題:Big Tech Rally to Grow as Recession Worries Reign: MLIV Pulse(抜粋)

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