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ジャクリーン・ケネディも手掛けたビューティー界のレジェンドが伝授。Over 50のためのメイクアップガイド

ナチュラルなカバーメイクやファンデーションの色選び、目もとをぱっちりさせる繊細なトリックまで。年齢を感じさせないメイクアップのコツを、この道50年以上のメイクアップ・アーティスト、サンディ・リンターが指南!

隠すのではなく、“魅せる”50代からのメイク

Photo: Patrick McMullan/Getty Images

メイクアップ・アーティストとして輝かしいキャリアを積んできたサンディ・リンター。1969年、ブルックリン生まれ、スタテン島育ちの彼女は、ニューヨークのトップ・ヘアスタイリストのケネス・バッテルのもとで働き始め、彼の顧客であったジャクリーン・ケネディ・オナシスやバーバラ・ウォルターズのメイクアップを手がけるようになっていった。70年代には独立し、アーヴィング・ペン、ヘルムート・ニュートンアーサー・エルゴートなどの名だたる写真家たちとのエディトリアルの仕事を獲得。80年代にはスーパーモデルのイマン、シンディ・クロフォード、パティ・ハンセンのメイクを定期的に担当し、数々のブランドのキャンペーンや『VOGUE』誌のページを飾った。それ以来、彼女の勢いは衰えるどころか、クリスティ・ブリンクリー、エリザベス・ハーレイデボラ・ハリー、リタ・ウィルソンなどと多岐に渡って仕事をするようになり、年齢とともにそのスキルは高まるばかりだ。

Photo: Patrick McMullan/Getty Images

「『若きメイクアップ・アーティストのサンディ』と呼ばれていたのに、今はしっかり年齢を重ねて…...」と、過去を振り返る彼女は微笑む。ファッション業界がようやく、ある年齢以上の女性を祝福するようになった今、リンターはマチュアな女性がメイクを楽しむのに今ほど適した時期はないと考えている。「ルールはない」と言い切りながらも、「メイクは纏うもので、纏われてはダメ」とだけ言及。欠点を隠そうとするのではなく、自分の持っている魅力を引き立てることが大切だと教えてくれた。

ここではナチュラルなカバーメイクから、目もとをぱっちりさせる繊細なテクニックまで、リンター直伝の50歳以上の女性のためのメイクアップガイドを紹介しよう。

1. 輝きを持たせたベースメイク

クレンジング保湿、角質除去などのスキンケアをきちんと行うことは、素肌を健やかに保つために欠かせない。メイクの前に、潤いを与えながらも重さを感じさせないモイスチャライザーを清潔な肌に浸透させよう。リンターによると、「重いモイスチャライザーはメイクアップと相性が悪い」そう。ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)の「クレーム ドゥ・ラ・メール」は肌に栄養を与えながらくすみを抑え、その後に続くベースメイクを損なうことなく、皮脂と潤いのバランスを整えてくれる。保湿液を肌にしっかりと塗り込んだら、必要に応じてダーマブレンド(DERMABLEND)の「インスタグリップ ジェリー フェイスプライマー」のような、素早く肌に馴染む化粧下地で細かいシワや凸凹にアプローチして。

2. アラのカバーは控えめに

「シワを無理に隠そうとしないこと。隠そうとすることで、もっと目立ってしまう」とリンター。肌のトーンを均等にするために、まずは保湿力に優れたシアーファンデーションを。世界的メイクアップ・アーティストの故ケヴィン・オークインが遺したブランドの「ジ エシリオリスト スキン イリュミネーティング ファンデーション」など、さらりとした付け心地のものがおすすめだ。さらに、湿らせたスポンジまたはファンデーションブラシを使うのがポイント。こうすることによって、ファンデーションが浮くのを防ぐことができるそうだ。赤みがかった部分や色素沈着している部分には、ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI)の「パワーファブリックコンシーラー」などカバー力のある軽いクリーム状のコンシーラーを。目のまわりは、目の下と目尻を重点的にケアすると、効果的にクマ対策ができる。彼女曰く、「多くの女性は、笑ったときにできる目尻のシワとは対照的に、目頭が最も暗くなるから」だそうだ。

3. ファンデーションは1〜2トーン暗めのものを

ファンデーションやコンシーラーの色を選ぶとき、多くの人は自身の肌と完全に一致するものを求めがちだが、1〜2トーンほど暗めのものを選ぶのがベター。あまりにも完璧にマッチしていると、逆に老けて見える原因にもなりうるからだ。顔の次に、ファンデーションブラシで首にも少し馴染ませて、色の差が目立たないように。ブロンザーは頬だけでなく、頬骨の下、鼻の横、額、顎のラインにものせて、さりげなくコントゥアリングを。そうすることで肌に自然な温かみがもたらされ、奥行きのある輝きを作ることができる。

4. チークで血色をプラス&リフトアップ

世界中のプロたちは「チークは笑いながら」と口を揃えてアドバイスするが、年を重ねてからは効果的ではないとリンターは指摘。ヘルシーな血色と立体感の作り方については、「頬骨の高いところにチークをのせたら、内側に向かってブレンドするように」と説明する。色合いは、彼女が90年代から愛用しているという落ち着いたローズピンクが最適だ。さらにメリハリを与えるために、リンターはスティラ(STILA)の「コンバーチブル カラー」などクリーム状のものをまず重ね、その後にパウダーで仕上げているが、「クリームだけで十分な場合もある」と付け加える。いつもはセッティングパウダーは省略するそうだが、必要に応じてダーマブレンド(DARMABLEND)の「バナナパウダー」のような超軽量のルースパウダーを使用するときも。

5. 目はぱっちりと大きく

「目をぱっちりと、できるだけ大きく見せるだけで、より若々しい印象を与えます」とリンター。まずはビューラーをまつ毛の根もとからあてて、上向きに。次に、自分に合ったマスカラを選ぶのも重要だという。というのも、濃いマスカラは、まつ毛が細くもろくなっている場合には向かないからだ。マチュアな女性にとって「固まったまつ毛ほど悪く作用するものはない」そう。彼女が今頼りにしているのは、長持ちするシャネル(CHANEL)の「イニミタブル エクストレム」。柔らかなブラシとプロビタミンB5を配合した漆黒のフォーミュラが特徴で、まつ毛に栄養を与えながら自然な仕上がりを叶えてくれるため、比較的年齢層の高いクライアントと仕事をするときに愛用している。アイシャドウとのコントラストを作るアイライナーは、「誰でも使える!」と太鼓判を押すランコム(LANCÔME)の「クレヨン・コール」。マスカラとアイラインは基本中の基本だが、「アイシャドウは自分のスタイルを演出するアクセサリー」のようなもの。「まぶたの中央にポンポンとのせるのではなく、小さなブラシで目頭から目尻に向かって、徐々に色が薄くなるように。大きく目を見開いたような印象になりますよ」

6. 眉はナチュラルな見た目がキー

眉は自然なボリュームを持たせることが鍵。「トリムしたり抜いたりせずに、一本一本を大切にして」。リンターは、自身も使っている「リバイタブロウ」と「リバイタラッシュ」の美容液がお気に入り。故ケヴィン・オークインもとで技術を磨いたトロイ・サラット(TROY SURATT)による「Expressioniste アイブロウペンシル」の羽のように軽いブラシで、アーチを描くように隙間を埋めて。「不自然に見えることなく、細やかな線を描くのにぴったり。色合いもとてもナチュラルです」

7. リップの輪郭は左右対称に

「年を取ると顔下半分が歪み、老けて見えることがあります」とリンター。リップペンシルで輪郭を整えることができるが、それにはなめらかな描き心地が必須だ。「皮膚に触れたとき、滑るように柔らかいものを」と話す彼女は、ナーズ(NARS)の「ベルベット マット リップ ペンシル」を使っている。リップラインは常に口角から引くこと。上唇と下唇、それぞれ口の端から中心の山部分に向かって合計4回引くと、左右対称に描けるという。同じように口紅を塗ったら、あとはリップブラシで馴染ませ、ソフトな印象に仕上げて。リンターはマットなリップを塗った後に時々グロスをのせてるそうだが、決して重すぎたりベタベタするようなものは使わない。自分の好みで輝きと陰影を強調してみて。

Text: Lauren Valenti Adaptation: Motoko Fujita
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