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日銀次期総裁、政府・与党が雨宮副総裁に打診する案で調整-報道

更新日時
  • 「そのような事実はない」と磯崎官房副長官、
  • 大規模緩和を黒田総裁と推進してきた最有力候補、柔軟な発想に定評
Masayoshi Amamiya, deputy governor of the Bank of Japan.

Masayoshi Amamiya, deputy governor of the Bank of Japan.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

政府が日本銀行の黒田東彦総裁の後任人事について、雨宮正佳副総裁に就任を打診したと6日、日本経済新聞の電子版が報じた。複数の政府・与党幹部が明らかにしたとしている。一方で、磯崎仁彦官房副長官は同日午前の記者会見で報道について「そのような事実はない」と述べた。

  雨宮氏は2%の物価安定目標の実現を目指し、大規模な金融緩和政策を黒田氏と共に推進してきた。日銀のエースとして金融政策の企画・立案を担う企画畑を中心に歩み、政界や財界との人脈も豊富だ。金融政策運営に関する豊富な知識と経験に加え、前例にとらわれない柔軟な発想にも定評がある。  

  雨宮氏は6日早朝、日銀総裁の打診を受けたのかとの質問に対し、コメントを控えた。また、鈴木俊一財務相も同日、「何も聞いていない。全く知らない」と述べるにとどめた。いずれも自宅前で記者団に対し語った。日銀の広報担当は6日、雨宮氏への次期総裁打診報道について「コメントする立場にない」とした。

  日経の報道を受けて、6日のシドニー外国為替市場ではドルが対円で上昇して取引を開始。一時132円56銭を付けた。足元では132円付近で推移している。

Bank of Japan Deputy Governor Masayoshi Amamiya Speaks at Jiji Press Event
雨宮正佳日銀副総裁
Source: Bloomberg

  ブルームバーグのエコノミスト調査でも次期日銀総裁の最有力候補とみられていた。昨年12月の参院予算委員会では金融政策運営について「経済を巡る不確実性は極めて大きい状況」とし、「現段階では経済をしっかり支え、賃金上昇を伴う形で物価安定目標を持続的・安定的に実現するため」に金融緩和を継続していると説明していた。  

  10年間にわたり日銀のかじ取り役を担ってきた黒田総裁は4月8日に任期満了となる。岸田文雄首相は2月に新たな正副総裁の人事案を国会に提示する考えを表明していた。

  正副総裁の任期は5年。衆参両院の同意を得て内閣が任命する。採決に先立ち、正副総裁の候補者に対する所信の聴取と質疑を行った上で各党が賛否を判断する。両院で与党が多数を占めている現状では、政府案が可決される可能性が大きいとみられている。

  首相側近の木原誠二官房副長官は5日、NHKの報道番組に出演し、新たな日銀総裁について「一番適切な方を首相が選ばれる。金融がきちっと安定してマクロ政策が安定していくことが重要だ」と語った。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストはリポートで、金融政策の継続性を最もアピールできるのが雨宮氏だと指摘。内閣支持率が低い岸田首相にとって最大派閥の安倍派への一定の気遣いが欠かせないとした上で、「安定」というキーワードは党内情勢についてもあてはまるとの見方を示した。

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