編集O そろそろ本格的に秋のワードローブに移行するタイミングですが、今シーズンはテーラードジャケット、とりわけオーバーサイズのものが気になります。ブラトップなどの上にサラッと羽織るだけで、旬のスタイルに様変わりするので一枚は持っておきたいところ。今開催中のファッションウィークスナップでも取り入れている人をよく見かけます。
濱本 今シーズンはジャケットの気分ですよね。私はもともと好きで、いろいろ集めているのですが、理想的なオーバーサイズにはまだ出合えていなくて。ちょうど探していたところです。
編集O 私は欲しいと思う一方で、適度なサイズ感やシルエットを考え出すとなかなか決めるまでに至らずで。
濱本 確かにバランスは大事ですよね。失敗したくない人は、スナップの彼女のようにセットアップで取り入れるといいと思います。単品でも使えますし。ブラトップに抵抗がある人は、前々回にご紹介したようなカットワークトップを合わせてみてはいかがでしょうか。
編集O なるほど、すごく具体的にイメージできました。とはいえ、まだ他のスタイルも気になるのでいろいろ教えてください。
濱本 そうですね。いろいろなアイテムを見比べて、自分にとってベストなものを見つけましょう。
ドレス風に着る時は足もとのバランスに注意。
編集O 濱本さんはどんなジャケットやスタイルが気になっていますか?
濱本 ヘイリー・ビーバーも着ていますが、今シーズンのサンローラン(SAINT LAURENT)はとても素敵だと思いました。このジャケットはそこまでオーバーサイズな印象ではありませんが、逆三角形になるようなシルエットでバランスがきれい。一枚でドレス風に着たい人はぜひ参考にしてみてください。
編集O ドレス風に纏うスタイルは気になっていました。ただ、ともすればいセクシーになり過ぎる恐れもありますよね。下の方を見ると、フラットシューズの合わせは難易度が高いのかなと思いました。
濱本 見る角度の問題もあったりするので一概には言えないのですが、確かにこの感じは難しいかも。脚のラインが生々しい感じに見えるとNGですよね。ジャケットの丈がもう少し長かったり、ヒールで脚のラインに緊張感がプラスされていたら、全然印象は違ったはず。ヒールに限らず、足もとにボリュームはあった方がバランスが取りやすいとは思います。
編集O スナップではソックスとヒールを合わせている人も見かけましたが、こちらもなかなかハードルが高そう。
濱本 そうですね。自分のキャラを確立している人だったら問題ないのですが、ソックスと同じ丈ぐらいのショートブーツを合わせた方が無難だとは思います。
ヘイリー・ビーバーのようなボーイッシュな雰囲気は、かわいいですよね。ジャケットをドレスとして着る場合は、逆三角形のシルエットと足もとのボリュームを意識すれば間違いないのかなと改めて思いました。
ビッグジャケットは肌見せやカジュアルスタイルと好相性。
編集O ドレス風のスタイリングと重なる部分がありますが、ボトムとジャケットの丈を揃えるようなスタイルもよく見かけました。
濱本 その着こなしは自分の定番のひとつ。私は上の方のようなパワーショルダーのジャケットがとても好きなのですが、ショート丈ボトムと合わせるとバランス感がいいのでよくします。
編集O オーバーサイズのジャケットスタイルにも応用できそう! ジャケットの存在感がある場合は、足もとは軽い方がバランスがとりやすそうですね。
濱本 そうですね。私はヒールを合わせたりして、どちらかと言えばきれいめな印象に持っていくことが多いのですが、真逆のカジュアルなアプローチも素敵だと思います。
例えば、上の方のような感じで、スポーティなスタイルをジャケットで引き締めるバランスは今っぽくてオススメ。
編集O ジャケットをプラスすることで、かなりアップデートされた印象に見えますね。
濱本 趣向は異なりますが、この方もジャケットがあってこそ成立するバランスの好例。肌見せアイテムやスポーティスタイル、ランジェリーライクなドレスなど、単独では着こなしが難しいアイテムこそジャケットを合わせることでいい化学変化が起こると思います。ジャケット自体のフィット感は好みでいいと思うのですが、オーバーサイズを楽しむ場合は実際に羽織って肩が合うかをチェックしてみてください。合わないようであれば肩パッドを外したり逆にプラスしてみたり……。トレンやその時の気分に合わせて私もDIYをしたりお直しに出して、その時の自分に合うバランスをよく研究しています。
パンツとの合わせかたで、気をつけるポイントは?
編集O 最後に一番汎用性の効くパンツとのスタイリングについても教えて下さい。最初にスーツの提案がありましたが、より詳しいポイントを伺えたら!
濱本 パンツはシルエットが最も重要です。最初の方もそうですが、今シーズンはやっぱりダボっとしたバランスが◎。そして上下でトーンを揃えると失敗しにくいです。カラーで遊ぶと、よりファッショナブルな印象になります。
重く見せたくない人はニュアンスカラーで軽やかにするなど、色選びによってもいろいろなイメージを楽しめますよね。彼女たちの着こなしを見るとわかると思うのですが、足もとはヒールである必要はなく、胸もとをスッキリとさせて抜け感が出すをバランスよくキマります。
編集O お仕事スタイルに応用することも可能ですか?
濱本 肌見せスタイルが難しい場合には、あえてコンサバに着るのも私は素敵だと思います。
彼女のように、カラー小物で遊びを加えたりすると野暮ったく見えません。胸もとを見せない場合は、足もとで軽さを出すのもポイントかなと思います。
編集O 勉強になります!
濱本 あとはデニムとのスタイリングもハズせないですよね。この方のように程よいゆとりあるデニムを選んだり、先日もご紹介したトレンドのバレエシューズを持ってくるバランスはお手本になると思います。
濱本さんのジャケットスタイルをご紹介。
今回は私の定番であるミニボトムを合わせた着こなしをご紹介します。ジャケットはメゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)、インナーはё BIOTOP Lingerie(ヨー ビオトープ ランジェリー)、パンツはプラダ(PRADA)、シューズはセルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI )。
今季はサンローラン(SAINT LAURENT)の肩のフォルムがカチっとしたものや、バレンシアガ(BALENCIAGA)のオーバーサイズなども気になっています。大好きなパワーショルダーはヴィンテージで探したりもしますね。メンズのジャケットもサイズが合えば購入することも。
最近、メンズアイテムを着ることについても質問を受けることもあるのですが、ジャケットの場合はまず肩が合っていること、そして腕の長さに注意してみてください。インポートの場合は特に腕が長いことが多いので、腕まくりして着てもサマになるデザインか、それとも潔くお直しに出すなどすれば問題ないと思います。最近肌寒い日が増えてきたので、ぜひお気に入りのジャケットで秋らしいスタイリングを楽しんでください!
Profile
濱本愛弓
VOGUEをはじめモード誌をベースに活動。スタイリスト業と並行してブランドのディレクション業やコラボレーションでも多忙を極める。生粋のファッションラバーで、自身のモードな着こなしも話題の的。
Text: Asa Takeuchi Editor: Kyoko Osawa