トルコ・リラなど「フラジャイル3」さらに痛みか-米金利上昇に脆弱
Farah Elbahrawy、Lilian Karunungan、Sydney Maki-
トルコとブラジル、南ア通貨は米長期金利上昇で一段と動揺する恐れ
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「新興国市場は圧力にさらされ続けるだろう」とストラテジスト
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8年前に当時のバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が量的緩和(QE)の段階的縮小に言及し、米国債利回りが急上昇した「テーパータントラム(市場のかんしゃく)」の際、金融市場で最も打撃を受けたトルコとブラジル、南アフリカ、インド、インドネシアの新興5カ国は「フラジャイル・ファイブ」と呼ばれた。
新興国通貨は先週、トルコ・リラとブラジル・レアル、南ア・ランドを中心に昨年9月後半以来で最大の下げに見舞われた。これら3通貨は1週間のインプライド・ ボラティリティー(IV、予想変動率)が各国・地域通貨で最も高く、一部のアナリストはさらなる痛みを警告する。
米10年国債利回りは先週、過去1年余りで最も高い水準に急上昇し、トレーダーらは連邦準備制度が金融引き締めを迫られる時期の予想を前倒しした。
現時点では雇用市場の弱さが続く状況で引き締めの予定はないと米金融当局者は強調しており、それだけに米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の4日のイベントで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が何を話すか、なおさら注目される。
スタンダードチャータードのシニアストラテジスト、イリヤ・ゴフシュテイン(ニューヨーク在勤)は「利回り急上昇のペース緩和を図るさらに協調した動きの不在で、新興国市場は圧力にさらされ続けるかもしれない」と指摘。「高利回り通貨が今後もとりわけ悪影響を受け、新興国市場のデュレーション(金利変化への債券価格の感応度)は特に不安定な状態が続く可能性が高い」との見方を示した。
原題:Troublesome Trio in Emerging Markets Face Yield Spike Scare(抜粋)