今年の中国GDP成長率目標、未達ほぼ確実-「ゼロコロナ」堅持で
Tom Hancock-
今年の経済成長率は4.5%-ブルームバーグの最新調査
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政府当局者は今、GDP目標より雇用の安定・創出を重視
中国の「ゼロコロナ」戦略堅持は、2022年の経済成長率が5.5%前後という政府目標を大きく下回ることがほぼ確実であることを意味している。
ブルームバーグの最新エコノミスト調査によれば、中国の国内総生産(GDP)は今年、前年比4.5%増(予想中央値)となる見込み。
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約30年前に成長率目標を設定し始めた中国政府が目標未達を認めたのは一度だけだ。1998年は目標をわずか0.2ポイント下回った。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020年は、成長率目標を定めなかった。
中国が年央に成長率目標を調整したことはないため、そうした選択肢があるのか、あるとしてもどのようなプロセスで調整されるのかは分からない。エコノミストらは、雇用の維持・創出が優先課題とされ、成長率目標はひっそりと扱われることになる公算が大きいとみている。
共産党の習近平総書記(国家主席)は、厳しいロックダウン(都市封鎖)を含め、徹底的にコロナ感染を抑え込む戦略を変えていないが、習総書記の下で党が昨年採択した歴史決議にはGDPはもはや「唯一の成功基準ではない」と記されている。
政府は今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で22年の成長率目標を発表。だが、それ以後、ほとんどこの目標には触れていない。その代わり政府当局者が最近繰り返し強調するのが雇用の安定だ。コロナ関連の規制で人々が働くことができないとしても、政府は企業に補助金を支給することで雇用の維持を働き掛け、失業率を目標の5.5%未満に抑えることは可能だ。
中国政府が成長率目標をもはや「厳しい制約」と見なしていないことは「理にかなっている」と中国人民銀行(中央銀行)に助言していたこともある朱寧氏は述べた。
原題:China Growth Target in Tatters as Covid Zero Hammers Economy (抜粋)