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歌姫のシェールが登場! 100ルックで構成されたバルマンの壮大なスペクタクル。【2023年春夏 パリコレ速報】

9月28日(現地時間)、バルマン(BALMAIN)は「バルマンフェスティバル」と題した、壮大なスペクタクルショーを開催。招待客と一般客を合わせ、約7000人のゲストが来場し、100体を超えるルック数が発表された。

「私たちはこの夏、気候変動を肌で実感しました。世界中で山火事などの自然災害が起こるのを目の当たりにし、コレクション制作に取り組むにあたって、パンツのトレンドがローウエストのままなのか、あるいはハイウエストにシフトするのかといったことを考えるのは少し無意味だと思えたんです」── こう語るのは、バルマン(BALMAIN)を率いるオリヴィエ・ルスタンだ。

シェールがランウェイに登場!

Photo: Getty Images

9月28日(現地時間)、バルマンはパリのラグビースタジアム「スタッド・ジャン=ブーアン」にルネサンス調の大型セットを設置し、3回目の「バルマンフェスティバル」を開催した。100体以上のルックが披露され、元祖歌姫のシェールがフィナーレを飾った。76歳の彼女は、近未来的なキャットスーツで登場し、そのエイジレスな姿とパワフルなスピリットに観客は圧倒された。

シェールの横には、オリヴィエの姿も。彼はバックステージで、今回のコレクションは100%サステナブルであるとは言えないが、紙やバナナ、そしてウィッカー素材を取り入れ、環境への負担をできる限り考慮したと語った。「私の友人の中には、子どもが欲しくない人たちもいるんです。その理由は、明日の世界がどうなっているか分からないから。結局のところ、センスや美意識といったものは、そこまで重要ではないのです」とオリヴィエは続ける。

サステナビリティを意識。

すべてのファッションは、その本質的な儚さがゆえに、完全にサステナブルであることは不可能だ。ファッション業界に携わる一人として、この最もシビアな難題を問いかけられたとき、オリヴィエは自身の考えを明確に話した。まずはサプライチェーンを再考し、より良い方向に急進させる。そして、今後も環境負担の少ない素材を積極的に取り入れることだ。彼の前向きな姿勢と原動力に賛美を贈りたい。

しかし、コレクションを見る限り、サステナビリティと消費の関係を整理するのは難しい。バルマンのショーには、1000人以上の招待客とバルマンフェスティバルの一般チケットを入手した約6000人の立ち見客が集まった。フロントローにはネイマールやカイリー・ジェンナーの姿もあり、大いに盛り上がった。コレクションは、ルネサンス時代と宇宙的なインスピレーションを融合させたプリントやアクセサリーが目立ち、その異文化的な世界観が特徴的だった。

アシュリー・グラハムランウェイに登場すると、観客から大歓声が沸き起こった。しかし、この時点でスタート時刻を1時間半以上も過ぎており、朝からパリコレのハードスケジュールをこなし、ショーの開始を雨の中で待っていた業界人にとって、非常にチャレンジングなひとときとなった。さらに、プレタポルテの後にオートクチュールのお披露目が続き、ショーは15分ほど延長された。そのため、お腹を空かし、寒さに耐えきれないゲストたちの多くが、シェールが到着する前に退席してしまったのだ。今後、オリヴィエとバルマンは、盛大なスペクタクルのプランとともに、スケジュール管理を調和させる必要があるだろう。

Photos: GoRunway.com Text: Luke Leitch Adaptation: Sakurako Suzuki
From VOGUERUNWAY.COM