BEAUTY / TRENDS

この春、眉メイクに変化が! 眉なし派も眉あり派も、旬のオーラを纏うためにできることとは?

ブリーチされた眉を筆頭に、春の顔に変化が起こっている。アイブロウメイクの新しい流れを読み解きながら、リアルに落としこむためのコツを国内外のメイクアップ・アーティストたちが教えてくれた。

アーデム(ERDEM)2023年春夏コレクションより。

「見れば時代がわかる」とも言われるほど、メイクトレンドとは切っても切り離せないパーツの眉。近年ではK-Beautyブームの影響から広がったストレート眉や、コロナ禍のマスク生活の影響で目もとメイクが盛り上がったこともあり、カラー眉がメジャー化したりと次々と進化を続けている。そんな中、2023年春夏のコレクションで目を引いたのがブリーチ眉と、対極の自眉を生かしたナチュラル眉だ。特にフレッシュなトレンドとして顕著だったブリーチ眉に関して、メイクアップ・アーティストの耕万理子さんはこう話す。

「そもそも眉は顔に主張を与えるパーツなのですが、コレクションでは今再び強めのアイメイクやリップのようなメイク感が戻ってきていることもあって、バランスが取りにくい場合も。なので、ブリーチをして存在感をなくす傾向が色濃く出たのだと思います」。さらに、「眉をブリーチすると、目の周りに遊び心を表現することができるので、メイクの幅が広がります」と、メイクアップ・アーティストのジェーン・リチャードソンさんは話す。「まず、眉をブリーチするだけでどこか異次元のような強烈なインパクトを残すことができ、大胆さを主張することも可能になります。よりプレイフルにしたい場合は鮮やかなアイシャドウで眉全体を染めたり、眉の曲線のすぐ下にラインを描いてPOPに仕上げたりも。また、カラーマスカラやブロウジェルなどで印象的に仕上げるメイクも楽しめます」(ジェーンさん)

ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)2023年春夏コレクションより。

コレクションのように眉をなくしたルックにするにはブリーチするのが手っ取り早いけれど、懸念事項も。メイクアップ・アーティストのリンジー・アレキサンダーさんとジェーンさんは、口を揃えて「専門サロンでアドバイスを受けて」と言う。「市販のブリーチ剤を使用すると肌が炎症を起こしてしまったり、眉毛に黄みが出てソフトな質感が失われ、フェイク感が出てしまう場合があるので、サロン専用のものがベター。または、一度コンシーラーで色を消してから明るい色を重ねる技も有効です」(リンジーさん)

エルメス(HERMÈS)2023年春夏コレクションより。

それとは逆に、自眉を生かしたナチュラルブロウも健在だ。リンジーさんは「そもそも眉毛は、人それぞれの顔に個性をプラスするもの。明るくても暗くても、太めでも細めでも、どんな眉であったとしても自分の顔に合ったものを見つけて、骨格を引き立てながらオリジナルのスタイルにすることが大切なんです」と説く。「個人的には、ふんわりとした遊びすぎないナチュラルな眉が好み。的確に描けるアイブロウペンシルで、毛と毛の間を埋めていくようなイメージで、自然に溶け込むように描くのがポイントです」。さらに自眉派では、“ラミネートブロウ”と呼ばれる、毛流れを上向きに矯正する眉パーマも欧米で人気だとジェーンさんは言う。「より自然に再現するためには、ジェルやポマードを使用して、眉の毛束を作りながら毛流れをホールドするのがポイントです。また、アーデム(ERDEM)の2023年春夏のショーでは、眉の隙間を埋めて立体感が出るようにパウダーをのせ、それぞれの持つ眉を生かすことを意識しながら、クリアなジェルで優しくセットしました」(ジェーンさん)。では、日本ではどうだろうか。「一般の人たちの傾向を見ていても、ストレート気味だった眉のシェイプが、去年あたりから徐々に柔らかいアーチ型にシフトしてきている気がします。春の新色コスメもピンクやコーラルなどソフトなトーンが多く、眉も含めて全体的にナチュラルな方向になってきているのではないでしょうか」(耕さん)

ジバンシィ(GIVENCHY)2023年春夏コレクションより。

多岐にわたる眉トレンドから、「誰にでも似合うものが見つかる」と断言するジェーンさん。個性やアイデンティティを後押しするのは、服やヘアだけではない。毎日同じ眉で過ごす必要もなく、その日の気分で遊んだっていい。この春は、理想の自分をイメージしながら、眉メイクをもっと自由に楽しみたい。

話を聞いたのは……
ジェーン・リチャードソン
ロンドンを拠点に活躍するメイクアップ・アーティスト。2023年春夏コレクションでは、アーデムのメイクを担当。モード誌のビューティー撮影や、多数セレブリティのメイクも担当。またNARSのグローバルアーティストでもある。

リンジー・アレキサンダー
2023年春夏のロエベやエルメスのランウェイメイクを手掛けたほか、多くのメゾンの広告撮影や雑誌等でも活躍するメイクアップ・アーティスト。その人らしさを消さずに、大胆かつ繊細なテクニックで創り上げるルックに定評がある。

耕 万理子
メイクアップ・アーティスト。外資系コスメブランドに在籍し、アジアに数名しかいないシニアアーティストとして活動後、フリーランスに転身。その緻密な計算のもと生み出される理論とテクニックで、広告や雑誌等、幅広い分野で活躍中。

Photos: GoRunway.com Text: Kazuko Moriyama  Interview Coordination: Ellen Burney  Editor: Yu Soga

※『VOGUE JAPAN』20223年4月号「眉あり VS 眉なし? モードな眉メイク最新事情」転載記事。