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ミームの熱狂再び、ウォール街のプロ惑わす-個人のリスク選好高まる

  • ベッド・バスは7月下旬から株価3倍に、映画館のAMCも大幅高
  • 機関投資家らは「混乱している」-ミラボーのマーク・テイラー氏
Shopping carts outside a Bed Bath & Beyond store in Louisville, Kentucky.

Shopping carts outside a Bed Bath & Beyond store in Louisville, Kentucky.

Photographer: Luke Sharrett/Bloomberg

個人投資家が機関投資家や米金融当局に再び挑み始めた。米家庭用品小売りのベッド・バス・アンド・ビヨンドや映画館チェーンAMCエンターテインメント・ホールディングスなどのいわゆる「ミーム銘柄」が、昨年の熱狂をほうふつとさせる上昇を見せている。

  8日の米株市場でベッド・バスは一時、前日比63%上昇。株価は7月下旬から約3倍になった。AMC株は同じ期間に70%余り上がった。両銘柄がけん引し、ミーム37銘柄で構成されるバスケットの価格は過去1週間で11%上昇。この間、ゴールドマン・サックス・グループが算出する空売り銘柄の指数は20%近く上げている。

  市場で投機色の強い分野の復活は、個人投資家がヘッジファンドに対抗し、よりリスクを取る姿勢を強めていることが一因とみられる。

  一方で機関投資家らは「混乱している」と、ミラボー・セキュリティーズのセールストレーダー、マーク・テイラー氏は指摘。「ミーム銘柄がなぜ急速に勢いを取り戻してきたか明確に理解できず、相場が操縦されているといった負け惜しみに近い不当な観測が浮上する可能性がある」と語った。

Meme stock favorites are staging a comeback after a choppy stretch
ミーム銘柄の動き(白:ベッド・バス、青:AMC、紫:ゲームストップ)
 

  オアンダのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は「米株の広範な上げが続けば、ミーム株の上昇も継続するだろう」と述べ、「個人投資家はAMTDデジタルを見て株価急騰のポテンシャルを思いだし、取引再開を考え始めている」と続けた。

  香港を拠点とするフィンテック企業、尚乗数科(AMTDデジタル)は7月15日の上場後、株価が一時3万2000%余り上昇。その後、上昇分のほとんどを失い、市場参加者を困惑させつつも魅了した。

売り持ち圧縮

  S3パートナーズのデータによると、ベッド・バスの浮動株のうち半分以上が売り持ちされている。AMCとゲームストップ、家庭用品販売のウェイフェアの空売り比率はそれぞれ20%前後にあり、機関投資家による売り持ち高の巻き戻しも最近の株高を後押ししたとみられる。

  LPLファイナンシャルのチーフ株式ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は、「ヘッドライン1本で株式相場の方向性全体が変わり得るため、個人投資家は即座に動く必要がある」と指摘。「個人投資家は米金融当局やプロの投資家に挑んでおり、今のところはうまくやっている。ただ、相場が急速に逆方向に動くこともあるためリスクを伴う」と述べた。

Retail traders are on track for best month since Jan. 2021 relative to hedge funds
 
 

原題:Meme-Stock Frenzy Returns, Baffling Wall Street’s ‘Smart Guys’(抜粋)

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