ガウディとサグラダ・ファミリア展
「未完の聖堂」ガウディ建築の魅力に迫る
アントニ・ガウディは唯一無二の建築で今なお世界中の人々を魅了し続けると同時に、様々な芸術分野に影響を与えてきたひとりだ。本展ではいよいよ完成の時期が視野に収まってきた「未完の聖堂」サグラダ・ファミリアに焦点を絞り、ガウディの建築思想や創造の源泉、そしてこの壮大な聖堂のプロジェクトの持つ社会的意義を解き明かす。図面のみならず膨大な数の模型を作ることで構想を展開していったガウディ独自の制作過程や、多彩色のタイル被覆、家具、鉄細工装飾、彫刻を含めた総合芸術志向にも光を当て、100点を超える図面、模型、写真、資料や最新の技術で撮影された建築映像も随所に交え、時代を超えて生き続けるガウディ建築の魅力に迫る。
期間/6月13日(火)〜9月10日(日)
会場/東京国立近代美術館 東京都千代田区北の丸公園3−1
https://gaudi2023-24.jp/
※滋賀、愛知へ巡回予定
エマイユと身体
エマイユ(釉薬)に注目したエルメス財団によるグループ展
エルメス財団による書籍『Savoir & Faire 土』刊行を記念したグループ展「エマイユと身体(からだ)」。本展では陶芸に用いられ、火と空気によってガラス質へと変容するエマイユ(釉薬:うわぐすり)という素材に注目しながら、粘土と身体の関係を考察する。参加アーティストはシルヴィ・オーヴレ、ジャン・ジレル、内藤アガーテ、ユースケ・オフハウズ、小川待子、フランソワーズ・ペトロヴィッチ、そして安永正臣の7人だ。エマイユがもたらす色彩や光沢、強度などの効果を、7人のアーティストがそれぞれ異なる解釈で用いた作品が並ぶ。セラミックの儚く美しい作品を見逃さないで。
期間/6月17日(土)〜9月17日(日)
会場/銀座メゾンエルメス フォーラム 東京都中央区銀座5-4-1 8・9F
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/230617/
劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ
日本初開催。劉建華による芸術的問題提起
上海を拠点に活動するアーティスト、劉建華(リュウ・ジェンホァ)は、中国における経済や社会の変化や、それに伴う問題をテーマに、土や石、ガラス、陶磁器などを使って立体作品やインスタレーションを制作する。日本初の個展となる本展では、メインとなる展示室に、ペットボトルや靴などの日用品を磁器で制作した《遺棄》を展示。私たちが土に還らない素材に囲まれて生活していることや、処分できないものを蓄積し続けている現状を想起させる。その他にも瓶や壺の口と首の部分だけを切り取った最新作《塔器》や、十和田市現代美術館の常設作品《痕跡》の造形とも繋がる浮遊する枕《儚い日常》、壁につたう墨汁や陶器の仕上げに使う流動的な釉薬を思わせる《兆候》など、劉の初期から近年までの作品が並ぶ。
期間/6月24日(土)〜11月19日(日)
会場/十和田市現代美術館 青森県十和田市西二番町10-9
https://towadaartcenter.com/exhibitions/liu-jianhua/
蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる
宇宙や見えない世界をテーマに、創作の旅を辿る
現代美術家、蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう)の大規模個展「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」が国立新美術館とサンローランの共催によって開催中だ。30年前に蔡が発表した「原初火球」を作家の芸術における「ビッグバン」と捉え、この爆発を引き起こしたものとその後何が起こったかを探求する。広大な空間で再現される〈原初火球〉は勿論、没入型の大規模なキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》も圧巻。本展では国内の国公立美術館の所蔵作品と、日本初公開のガラスや鏡に焼き付けた新作を含む作家所有の約50件の作品の他、貴重なアーカイブ資料や記録映像、そしてアーティスト自身による説明が掲示されている。
期間/6月29日(木)〜8月21日(月)
会場/国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2
https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/cai/
ソール・ライターの原点 ニューヨークの色
NY伝説の写真家ソール・ライターの奇跡を辿る
生誕100周年を迎える伝説の写真家、ソール・ライター。「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」では、Bunkamura ザ・ミュージアムの過去2回の展覧会の内容をスケールアップ。近年再発見されたソール・ライターの多数の未公開作品を中心に、最新の作品群を紹介する。交流のあったアンディ・ウォーホルやジョン・ケージの姿を収めた作家の知られざる一面が滲む作品を加え、複数のプロジェクションを駆使し200点を超える作品が集結。写真家自身が作品鑑賞時に使用したカラースライドや大規模プロジェクションなど、これまでにない手法でソール・ライターの奇跡を辿ることのできるユニークな展覧会となる。
期間/7月8日(土)〜8月23日(水)
会場/ヒカリエホール ホールA(渋谷ヒカリエ9F) 東京都渋谷区渋谷2-21-1
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/23_saulleiter.html
テート美術館展 光 ーー ターナー、印象派から現代へ
「光」をテーマにした名作約120点が集結!
英国を代表する国立美術館テートから「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目した展示が開催。「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや風景画の名手ジョン・コンスタブルといった英国近代美術史を彩る重要な画家たちの創作をはじめ、クロード・モネをはじめとする印象派の画家たちによる光の描写の追求、モホイ=ナジ・ラースローの映像作品やバウハウスの写真家たちによる光を使った実験の成果、さらにはブリジット・ライリー、ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン等の現代アーティストによってもたらされる視覚体験にまで目を向ける。時代や地域、ジャンルを超えた「光の作品」の競演は見逃せない。
期間/7月12日(水)~10月2日(金)
会場/国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2
https://tate2023.exhn.jp/
No Concept -「THE WORLD」A place where “No Concept” is allowed – 展 アウトサイダーアート
概念やカテゴライズがない、アウトサイダーアートの世界に浸る
ジャイル ギャラリーにおいて、「No Concept=コンセプト無し」と題された展示は4回目となる。マルセル・デュシャン以降作品のアイデアやコンセプトが重視されてきた現代アートにおいて、作品を深く理解するためには背景にある政治や宗教、社会状況などを知ることが必要だ。一方で人間の「身体性」を根源とするもうひとつの表現の世界が存在する。それがアウトサイダーアートであり、美術を専門的に学んでいない人による作品のこと。主に子どもや老人、精神疾患を抱えた患者などが作者として挙げられる。本展では北海道から九州まで、全国の福祉施設に主催者自らが足を運び、44名の作家との交流を経て出合った作品を厳選し、アートとして適正な値付けをした上で展示する。
期間/7月15日(土)〜8月27日(日)
会場/GRYE gallery 東京都渋谷区神宮前5-10-1
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/outsiderart2023/
デイヴィッド・ホックニー展
日本で27年ぶりの大規模展が開催!
現代芸術において最も革新的な画家のひとり、デイヴィッド・ホックニーによる、日本では27年ぶりとなる大規模な個展が今夏スタート。絵画、ドローイング、版画、写真、舞台芸術など多彩な分野から作品を発表し、近年ではiPadを用いて身近な主題を描き続けている。本展は60年代にアメリカ西海岸で描いた初期の代表作から、故郷ヨークシャー東部の自然を描いた大型絵画のシリーズ、新型コロナウイルスによるロックダウン中にフランス北部のノルマンディーで描いた全長90メートルにも及ぶ新作まで、100点以上の作品を紹介する。
期間/7月15日(土)〜11月5日(日)
会場/東京都現代美術館 東京都江東区三好4-1-1
https://www.mot-art-museum.jp/hockney/
ケリス・ウィン・エヴァンス 個展「L>espace)(...」
ネオンの巨匠ケリス・ウィン・エヴァンスの作品が東京に
哲学、音楽、天文学、物理学など多彩な分野を背景に、光や音などの非物質的な素材を用いて作品を手がける芸術家ケリス・ウィン・エヴァンス。多彩な作品群の中でもネオンを使用した大型作品がで知られる。本展は、パリにあるフォンダシオン ルイ·ヴィトンの所蔵コレクションを東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ·ヴィトンにて展示する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環の国際的プロジェクト。エスパス ルイ·ヴィトン東京で、普段は中々見ることのできない名作を目にするチャンスだ。
期間/7月20日(木)〜2024年1月8日(月)
会場/エスパス ルイ·ヴィトン東京 東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室
ジョセフ・アルバースに迫る国内初の回顧展
画家、デザイナー、そして美術教師として知られるジョセフ・アルバース。ドイツで生まれた彼は、造形学校バウハウスで学び、のちに教師となって基礎教育を担当。同校の閉鎖後は渡米し、ブラックマウンテン・カレッジや、イェール大学に勤務し、戦後アメリカの重要な芸術家たちを育てたことでも有名だ。アルバースは、授業の目的を「目を開くこと」だと述べ、自身もまた色彩や素材のもつ新しい可能性を生涯に渡り探究し続けた。本展ではバウハウス時代のガラス作品から、家具や食器などのデザイン、絵画シリーズ〈正方形讃歌〉などの作品を、彼の授業をとらえた写真・映像や、学生による作品とともに紹介。制作者と教師というふたつの側面からアルバースに迫る日本初の回顧展だ。
期間/7月29日(土)〜 11月5日(日)
会場/DIC川村記念美術館 千葉県佐倉市坂戸631
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2023/albers/
イヴ・サンローラン展
1962年に自身の名を冠したブランド、イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)を発表して以降、2002年の引退まで約半世紀に渡りファッションシーンに変革を起こしてきた、モードの帝王、イヴ・サンローラン。本展はイヴ・サンローラン美術館パリの全面協力を得て行われる、没後日本初の回顧展だ。展示は序章と11章から構成され、ディオール(DIOR)での鮮烈なデビューから、ブランドとして初のコレクション、そして独自のスタイルを確立するまでをルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真を一堂に集めて紹介。イヴ・サンローランという人物が生み出してきた、豪華絢爛な美の世界をご覧あれ。
期間/9月20日(水)〜12月11日(月)
会場/国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2
https://ysl2023.jp/
パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ
50年ぶりの大キュビスム展を目撃せよ
世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から貴重な作品が多数来日。焦点を当てるのは、20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって生み出されたキュビスムだ。西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらした、貴重な作品群は見逃せないものばかり。ピカソの傑作《肘掛け椅子に座る女性》やブラックの重要作《大きな裸婦》をはじめ、彼らとは異なるキュビスムの流派を築いたサロンキュビストのロベール・ドローネーの大作《パリ市》の他、初期の傑作《ロシアとロバとその他のものに》を含むシャガール作品など見どころが盛りだくさん。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな世界を堪能しよう。
期間/10月3日(火)~2024年1月28日(日)
会場/国立西洋美術館 東京都台東区上野公園7-7
https://cubisme.exhn.jp/
開館20周年記念展 コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより
高価な素材から解放された美しきコスチュームジュエリーの世界
20世紀初頭にヨーロッパで誕⽣し、ポール・ポワレが先駆けとなりシャネル(CHANEL)によって広く普及したコスチュームジュエリー。宝⽯や貴⾦属を使⽤しないコスチュームジュエリーは、その優れたデザインや⾐服との組合せの魅⼒によって、パリ・オートクチュール界で瞬く間に不可⽋の要素となり、やがてニューヨークをはじめ、各都市で文化が華やぎ出したアメリカへと伝わっていく。コスチュームジュエリーの歴史を包括的に紹介する日本初となる展覧会で、1910年代から80年代までの400点を超えるアイテムが一堂に会する。美しきコスチュームジュエリーの華やぎに胸をときめかせて。
期間/10⽉7⽇(土)〜12月17⽇(日)
会場/パナソニック汐留美術館 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階https://panasonic.co.jp/ew/museum/
Text: Mei Fujita