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日本勢のシェアは低下へ、自動車3大市場のEVシフトで-米調査会社

米調査会社S&Pグローバルモビリティは12日、世界3大自動車市場における電気自動車(EV)への移行に伴い、同分野で出遅れる日系自動車メーカーの世界シェアは低下していくとの見通しを示した。

  S&Pグローバルモビリティの西本真敏ダイレクターは同日開催されたウェビナーで、日本勢の世界シェアは足元の28%から2030年に23%まで低下するとの見方を示した。EV普及が加速する中、日本の自動車メーカーの展開が遅れていることを理由に挙げた。

  西本氏は、燃料の採掘・輸送から車両走行までを含めた「Well to wheel(油田から車輪まで)」の考え方の下では、電源構成などによってはEVが二酸化炭素(CO2)削減において最適な手段ではない可能性はあると指摘。ただ、電動化の流れは技術の優劣では決まらず、「あくまで政策で決まる」との見方を示した。

  世界の自動車市場の約6割を占める中国、米国、欧州がEVを推進する限り、「当面はEV主体で電動化は進んでいくと考えるのがメインシナリオとしては正しい」と西本氏は語った。

  • 中国:EVなどの新エネルギー車(NEV)の普及は政府想定をはるかに上回るスピードで進んでおり、6月は約3割に到達した可能性
    • 2026年以降の規制はまだ発表されていないが、さらにNEVの普及を促進する政策がとられる可能性が高い
  • 米国:EVへの税額控除を盛りこんだインフラ抑制法(IRA)の成立を受け、日本勢はシェア維持にはEVを北米で作る必要があるが、生産開始は早くても25年になるとみられる
    • それまでは日系メーカーのシェア低下するリスクが高い

  内燃機関車では先行する競合他社に追いつくことは可能だったが、EVでは3大市場で保護主義的な政策をとられており「参入障壁が上がっている」という。西本氏は「ここに一体どうやってキャッチアップできるのかというストーリーが見えにくくなっているのが現状だ」と続けた。

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