俳優・アーティスト 森崎ウィンの飛行機探求──Vol.12 JALエアバスA350徹底解剖!後編

芸能界きっての飛行機フリークである俳優・アーティストの森崎ウィンさんが、エアラインを支える舞台裏を見学、普段見られない光景に出合った。Vol.12は、日本航空(以下、JAL)が導入したエアバス社の最新鋭機「A350-900」型機(以下、A350)に関するお話の後編。
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Hiromitsu Yasui

ゴージャスなファーストクラス

JALが導入した最新鋭のエアバスA350型機は、キャビンも自慢だ。同社が運航する旅客機のなかでも、最大の座席数、369席を誇る。ファーストクラスとクラスJ、普通席の3クラス制だ。

「JALには何度か乗っていますが、ほかの機種とシート・デザインが異なりますね」と、森崎さん。

【前編:コクピットなどの詳細はコチラ!】

A350のために新規開発されたロールス・ロイス社製エンジンを2基搭載。胴体や主翼など広範囲に複合材を用いることにより軽量化を図り、同サイズの既存機種に比べて大幅な低騒音化と燃費改善を実現した。

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その通りで、A350はすべてのシート、および機内のデザインを一新したのが特徴である。

まずは前方に、たった12席しかないファーストクラスへ。

「国内線のシートとは思えないほど豪華! まるで自宅のソファーのような座り心地です。しかも、リクライニングなどは電動調整式だから操作も簡単ですね」

12席しかないファーストクラスでくつろぐ森崎さん。ちなみにA350は、全席に個人用画面を装備し、各種エンターテインメント機能のほか、機外カメラによる映像を楽しめる。

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A350と一部のボーイング「787」が使用する、新デザインのファーストクラス用シートは、前後の座席幅(ピッチ)が約134cm(普通席 約79cm)、シート幅が約51cm(普通席 約41~44cm)とゆったりとしたつくりになっている。

「マッサージ機能もあるとは……至れり尽くせりじゃないですか。羽田〜伊丹線のようなフライト時間が短い路線だと、このシートで過ごせる時間がちょっとしかないからもったいないですね」

A350のファーストクラス用シートはブラックの革張りだ。

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シートサイドにある電動調整用のスイッチ。サイズが大きく、操作性は良い。

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前編でも記したようにA350投入路線は、羽田〜伊丹・新千歳・福岡・那覇、伊丹〜那覇線の5路線のみ。もしファーストクラスの魅力をじっくり味わうなら、約2時間45分を要する羽田〜那覇間がオススメだ。

「モニターがデカい。こんな大画面、国内線で見たことないですよ。しかも機外カメラもすごい! 機体を見下ろすように見られるんですね」

15.6インチのモニターは、画面をタッチするか専用コントローラーで操作する。

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国内線最大級を謳うモニターサイズは、なんと15.6インチ。映画やNHKのニュース番組などのさまざまな映像コンテンツが観られる。「もはや国内線の域を超えています」と、森崎さんの驚きは止まらない。

ほかにも読書灯やカクテルトレイ、大型の折りたたみ式テーブル、USBポート・AC電源なども用意されている。森崎さんが感心したのは、可動式ディバイダーだ。シートのあいだに設置された“仕切り”である。「これがあると隣の人を気にしなくて済みますね」

可動式ディバイダーを前方に出した状態。

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LEDを使った読書灯。

森崎さん、ファーストクラスの座り心地に大満足で、睡魔に襲われてしまったようだ。

「国内線のファーストクラスに搭乗する機会なんて滅多にないと思いますが、そのときは、A350に乗りたいですね。と言っても、なかなか予約がとれないようですが」

普通席の倍以上する運賃ではあるものの、人気が高く、そのうえたったの12席しかないこともあって満席となる場合が多いという。「でも、そのほかのシートも完成度が高いので、十分満足ですけどね」

A350のシートは、すべてに個人用モニターを設置しているのも特徴だ。クラスJの場合、前後の座席幅(ピッチ)が約97cm、シート幅が約47cm。細かく調整出来るレッグレストや読書灯、AC電源およびUSBポート、カクテルトレイなどが備わる。普通席でも、可動域が上下に大きく、細かなポジション調整が可能なヘッドレストやジャケットフックなどがついている。

クラスJは94席。細かく調整出来るレッグレストが特徴だ。

普通席は263席。ヘッドレストの調整機能を装備した。

さらに、次世代の機内インターネットシステムを装備し、「JAL Wi-Fiサービス」を無料で利用出来るのも嬉しい。どのクラスでも快適なフライトが楽しめるよう工夫されているのだ。

「これほどシートが快適なら、このまま国際線に投入しても良いのでは?」

筆者もそう思ったが、国際線とはギャレーのつくりなどが異なるため、そのままの投入は難しいらしい。なるほど、だからJALは国際線用に「A350-1000」型機を導入するのだ。

A350のギャレー。

機内食へのこだわり

国内線ファーストクラスといえば、こだわりの機内食にも今回は注目したい。そこで、JALの機内食を手がける株式会社ティエフケーに向かった。

現在、国内線ファーストクラスの機内食のうち、夕食(17時以降出発の便、沖縄線は18時以降到着の便)は「JAL Chefs' Relay ~匠がつなぐ美食のバトン~」なる企画のもと、有名シェフとコラボレーション中だ。今年の4月を担当したのは、福岡にあるフレンチ・レストラン「Restaurant Sola」のオーナーシェフ・吉武広樹さん。5月の担当シェフは、吉武さんの紹介によって決まったというから(料理屋まえかわの前川浩一シェフ)、まさにリレー形式というわけだ。

今年4月上旬のメニューを森崎さんに試食いただく前に、まずは機内食のエピソードを訊いた。

「生まれて初めて乗ったブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスの機内食が忘れられません。ビーフが出てきたときに『どうせ硬いんだろうなぁ』と想像していたのですが、おどろくほど柔らかくて、美味しかったんです。パンも美味しかったのですが、おかわりが出来ることを知らなくて……あのパンはもっと食べたなかったなぁ(笑)」

機内食のこだわりを説明する株式会社ティエフケーの伊東 正シェフ。

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近年、機内食のクオリティはかなり向上している。理由のひとつには、スチームオーブンの導入がある。過熱水蒸気であたためることで、ふっくらと仕上がるのだという。客室乗務員の経験を有するJAL商品・サービス開発部担当者によると「スチームオーブンによって、とくにお肉の味が大きく変わりました」。

早速、試食に移る。まず食したのは羽田発便・那覇発伊丹便の夕食である。内容は以下の通りだ。

(1)アペタイザー
・烏賊シュウマイのフリット バルサミコのヴィネグレット
・スナップエンドウとイタリア産生ハム(ストラッチャテッラチーズ)

(2)メイン
・和牛モモ肉のローストビーフ 大根とりんごのおろしソース
焼茄子、オクラ胡麻和え

(3)俵御飯 
・福岡県産米 元気つくし 脇山米

(4)スープ
・コンソメスープ(キャベツ、柚子)

(5)デザート
・フロマージュプリン ハチミツレモンのソース

4月のメニュー・コンセプトは“春らしさ”。目で見てもお楽しみいただけるよう、華やかで彩りあふれるメニューとなっている。吉武シェフのレストランが福岡にあることから、九州各地の食材をたっぷり使っている。

4月上旬の羽田発便・那覇発伊丹便の※夕食(17:00~)。朝食(始発便~10:29)と昼食(10:30~16:59)、そして夕食ではメニューが異なる。※沖縄線では18:00以降到着便で提供。

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森崎さんがまず注目したのは俵御飯だ。

「ご飯が温かいことに感動しました! しかも、開封すると湯気が出るのには驚きです。味、ツヤ、香りも素晴らしい! 自宅で炊く白米より美味しいかもです(笑)」

俵御飯は地上で炊いたものを、機内であたため提供するという。

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この俵御飯は、ティエフケーの自信作だそうで、時期により異なるお米の銘柄を使っているという。ちなみに、洋食メニューにパンではなく俵御飯を組み合わせたのは吉武シェフの意向である。

「ローストビーフもとろけるような味わいで最高! 組み合わせるソースの酸味と甘みも絶妙です。メインとペアリングしたスパーリング・ウォーターもぴったりです」

森崎さん、最新の機内食に感動! ちなみに、JALの国内線ファーストクラスの機内食は、月の上旬(1日〜10日)、中旬(11日〜20日)、下旬(21日〜月末)でメニュー変えている。

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ファーストクラスはドリンクにもこだわっている。森崎さんが試飲した「奥会津金山天然炭酸の水」のほかに、大谷茶園本店(京都府)の宇治煎茶や月替わりでお楽しみいただける「今月のおすすめドリンク」、またJALオリジナルドリンクの「スカイタイム ももとぶどう」などを揃えている。

アルコールも充実しており、日本酒や(2カ月ごとに銘柄変更)、シャンパンまたはスパークリングワイン、焼酎「芋焼酎 森伊蔵」などが楽しめる。思わず森崎さん、「1食、かなりの金額になりませんか!?」と、質問していた(金額は非公開)。

ちなみに4~5月提供の日本酒は、伯楽星(はくらくせい)純米大吟醸(株式会社新澤醸造店/宮城県)。バナナやメロンを思わせる心地よい香りがほんのりと漂い、口中にパインのようなフレッシュさが広がるという。※写真はイメージです。

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「たとえば国際線の機内食の場合、海外発の場合は現地で作ると思いますが、食材はどうしているんでしょうか?」

担当者によれば、基本的には現地で調達するそうで、とくに和食の場合は大変になるという。JALはワンワールドのメンバーのため、アライアンス同士、品質向上に取り組んでいるそうだ。

今回は羽田着便の機内食(夕食)も味わった。ホタテ好きの森崎さんは、アペタイザーの「帆立の燻製とグリーンアスパラのミモザサラダ(ストラッチャテッラチーズ)」に感動していた。

4月上旬の羽田着便の夕食(17:00~)。機内食のほかに、JALオリジナル麺(らーめんですかい/うどんですかい)も食せる(羽田-伊丹線は除く)。

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「ホタテってこんなに美味しいんですね……今、試食しているのは地上ですが、これとおなじものが機内で味わえるんですよね? すごいとしか言いようがありません。もはや空の上のレストランです」

ちなみに、メインの「糸島豚と春キャベツのファルス 菜の花と柚子胡椒のソース」は、細かく刻んだ春キャベツを取り入れることによってヘルシーに仕上げたという。日本航空並びにティエフケーでは減塩に取り組むなど、健康にも配慮したメニューづくりを心がけている。

「機内食だけでもJAL国内線のファーストクラスに乗る価値はありますよね。はやく、僕も乗りこなせるよう仕事をさらに頑張らないと……」

A350のファーストクラスで味わう贅沢な“空旅”。読者の皆さんもぜひ、体験してみてはいかがだろうか? 今後、就航路線は拡充されていく予定とのことなので、気になる向きはJAL公式ホームページなどをチェックすべし。

Hiromitsu Yasui

【プロフィール】
森崎ウィン(俳優・アーティスト)

1990年8月20日生まれ。現在、日本のみならず母国ミャンマー、そしてアメリカのハリウッドでも活動中。

<出演情報>
最新SINGLE「My Place, Your Place」配信中
https://morisakiwin.lnk.to/Music

「EnerGia2022 広響POPS CONCERT。」
日時:2022/07/03(日)開場:15:30 / 開演:16:30 
会場:広島国際会議場 フェニックスホール
ゲストヴォーカリスト:森崎ウィン
指揮:藤野浩一
http://hirokyo.or.jp/news/info/19321.html

主演ブロードウェイミュージカル「ピピン」
【東京公演】2022 年8月30日(火)〜 9月19日(月・祝)会場:東急シアターオーブ
【大阪公演】2022 年9月23日(金・祝)〜 9月27日(火)会場:オリックス劇場
主催:フジテレビジョン 、キョードー東京、ワタナベインターテインメント
共同制作:バリー&フラン・ワイズラー 、ハワード&ジャネット・ケイガン
https://www.pippin2022.jp

映画「バイオレンスアクション」
2022/08/19(金)全国公開
https://www.va-movie.jp

映画「HiGH&LOW THE WORST X」
2022/09/09(金)全国公開
https://www.high-low.jp/movies/theworst-x/

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まとめ・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・森田晃嘉 ヘアメイク・KEIKO