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「ゆがんだ」TIPSにダブルパンチ、テーパリングとインフレピーク説

  • 実質利回りはテーパリングに伴い50bp上昇するだろう-UBS
  • 今年のTIPSリターンはプラス4.7%、米国債はマイナス1.4%
Flags fly above the Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S.

Flags fly above the Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S.

Photographer: Andrew Harrer

債券ストラテジストと投資家の間では、米インフレ連動債(TIPS)の2009年以来のアウトパフォーマンスがリスクにさらされているという見方が強まっている。

  UBSグループやアバディーン・アセット・マネジメントなどは、連邦準備制度による月1200億ドル(約13兆円)の債券購入が、比較的取引の薄いTIPS市場に不釣り合いな大きさの恩恵をもたらし、TIPS利回りを大幅なマイナスに押し下げたと指摘する。同時に、投資家はインフレ高進に対するヘッジを求めかつてないほどの資金をTIPSに投じている。

  しかし今、1兆6000億ドル規模のTIPS市場を支える両方の柱が圧力にさらされている。量的緩和(QE)を通じて債務市場を支えてきた金融当局は年内の購入縮小開始の可能性を示唆。一方でインフレはピークを付けた兆しがあり、ヘッジとしてのTIPS需要は減退する可能性がある。

  14日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)が7カ月ぶりの小幅な伸びを示したことでインフレ期待は低下した。

  UBSのチーフストラテジスト、バヌ・バウェジャ氏は、「インフレ連動債への需要は総合インフレ率の上昇を背景に過去1年3カ月は急増していた。また、連邦準備制度が量的緩和によって介入しているためTIPSの供給は減っていた。この両方が変わるだろう」と話した。

Ten-year real yields are rising from historical lows
 
 

  TIPSを価格設定が最も誤っている資産の一つだとする同氏は、10年物実質利回りが今後数カ月に現行水準から50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇すると予想している。現在はマイナス1%程度だ。

  ダブルライン・キャピタルの最高投資責任者を務める資産家のジェフリー・ガンドラック氏は14日のウェブプレゼンテーション で現在のTIPS価格は「かなり高い」ように見えると述べた。

  実質利回りとして知られる10年物TIPS利回りは先月、過去最低のマイナス1.2%に達した。その後に約20bp上昇し、潜在的な成長期待である実質利回りがようやく底を打ったという見方が強まっている。

  ブルームバーグの指数によれば、TIPSの今年これまでのリターンはプラス4.7%で、米国債のマイナス1.4%に対して年率で12年ぶりの大きなアウトパフォーマンス。

  アバディーンで50億ドル相当の債券運用に携わるジェームズ・エイシー氏は、投資家のTIPSポジションがまだ集中している時点で金融当局が購入を減らすことで実質利回りが上昇することを確信している。金融当局によって「ひどくゆがめられた」TIPS市場は「テーパリングによって打撃を受けるだろう」と語った。

 

原題:
‘Distorted’ TIPS Face a Reality Check as Fed Tapering Approaches(抜粋)

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