ゴールドマン、4-6月業績低迷ほのめかす-決算控え市場に心の準備
Sridhar Natarajan-
アナリストは四半期利益予想を大幅に引き下げ
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4-6月純利益のアナリスト予想は前年同期比48%減の15億ドル
ゴールドマン・サックス・グループは、四半期決算が3回連続で投資家を失望させるの避けるべく、19日に発表する4-6月(第2四半期)業績への市場の期待を抑えるよう努めている。そのため同社の慣習に反して、幹部らが業績の悪さを示唆する発言を重ねている。
この結果、アナリストは同社の四半期利益予想を6月半ば以降にほぼ半分に引き下げた。デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)の下での決算発表前としては、これまでで最大の修正。予想される減益率は同業者の中で最大の部類に入る。自己資本利益率(ROE)は5%を下回る可能性もある。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏はインタビューで、「ソロモン氏がCEOになってから最悪の四半期となる公算が大きい。弱い、悪い、ひどいというカテゴリーに入る項目が恐らく半ダースはあるだろう」と話した。
ゴールドマンは過去6週間で、トレーディング収入の25%減見込み、不動産ポートフォリオの大幅な評価額引き下げ、融資プラットフォーム「グリーンスカイ」売却での減損処理について明らかにした。事実上あらかじめ決算を発表しているようなものだとメイヨー氏は述べた。
これまでに出された情報の多さは、実際の決算発表後の株価への圧力を軽減するかもしれない。1月の決算発表後には一時6%安となり、4月にも同業他社の株価パフォーマンスを下回った。戦略の失敗は過去のものになったと主張する同社にとって居心地の悪い展開だった。
バークレイズのアナリスト、ジェーソン・ゴールドバーグ氏は、ゴールドマンが四半期途中に具体的な業績見通しを示すのは「本当に久しぶりだ」と述べた。多くの銀行と異なりゴールドマンは通常これをしないが「問題となりそうな点について市場に備えさせることは決算発表日の株価ボラティリティーを抑えるのに役立つ」と話した。
ゴールドマンの広報担当者はコメントを控えた。
アナリストはゴールドマンの4-6月純利益が15億ドル(約2100億円)と、前年同期から48%減少したと見積もっている。これに対し、モルガン・スタンレーについては19%減益、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とJPモルガン・チェースについては増益を見込んでいる。ゴールドマンの1株利益の予想は4.23ドル。最近には3ドルを下回る予想もあった。
このような数字は、ROEが5%を下回り得ることを意味する。ゴールドマンは2桁台の半ばという目標を掲げている。決算内容次第では、ゴールドマンは業績の変動が大きいという評判が補強されるかもしれない。同社は新たな事業分野への進出でこうした印象の払しょくを図ってきた。
ソロモンCEOがリテール事業への進出を撤回した後、ゴールドマンの幹部は同社が転換点にあると株主に示す必要性に迫られている。また、内部に対立があり幹部は緊張状態に気付いた顧客に説明するのに時間を割いているという。
ブラックロックのラリー・フィンクCEOは先週のTVインタビューでゴールドマンについて「組織内に分裂があることは明らかだ」と述べていた。ブラックロックはゴールドマンの第2の株主。フィンク氏はソロモン氏への支持を表明した。
ソロモン氏がCEOに就任してからの5年間に、ゴールドマンの純資産価値は上昇した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期を通じた中核業務の利益拡大が寄与した。しかし投資家は評価せず、株価純資産倍率は2018年の水準を下回っている。
株価は今年に入り7%下げ、21年後半に付けたピークからは24%下落している。
アトランティック・エクイティーズのアナリスト、ジョン・ヘガティ氏は、ゴールドマン自身の失敗が「信頼を傷つけた」と指摘。リテールバンキング進出から方向転換し、投資銀行と資産運用、ウェルスマネジメントに注力している現在の「戦略は正しい。5年前に正しい戦略を取るべきだった」と述べた。
幹部らは資本市場の再開やトレーディングの相対的な堅調など明るい見通しに言及している。資産運用からの手数料収入の安定的な伸びを挙げ、消費者向け事業参入の失敗は終わったことだと強調する見込みだ。
原題:Goldman Breaks Own Rule to Flag Results Much Worse Than Rivals(抜粋)